98歳のおじいさんと89歳のおばあさんの奇跡とも思える純愛物語
ドキュメンタリー映画『あなた、その川を渡らないで』が7月にシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開することが決定いたしました。
2014年11月、小さな規模で公開をスタートすると、たちまち感動が口コミで広がり、公開館数は800スクリーンまで増え、『インターステラー』などのハリウッド大作を押さえて大ヒットとなりました。
映画に登場するおばあさんに取材が殺到する事態が起こり、監督から自粛を求めるメッセージが発表されるなど異例づくしの中、ついに観客動員数1位を記録。韓国国内では10人に1人が観たこととなる480万人を動員し、韓国ドキュメンタリー映画史上「No.1」の観客動員数を達成して、この作品を見た観客のうち、20代の若者が全体の40%という老若男女を巻き込んだ社会現象となりました。
その勢いは国内に留まらず世界中の映画祭で上映され、高い評価を受けてロサンゼルス映画祭最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞。そして、モスクワ国際映画祭を皮切に、多くの映画祭で一般の観客の心をつかみ“観客賞”に選ばれたのです。世界中が涙した話題作が、ついに日本公開です。
美しい小さな村。川のほとりで暮らす結婚76年目の98歳のおじいさんと89歳のおばあさん。おそろいの洋服を着て、手をつなぎ、いつも一緒に出かけてゆく。
春、山菜を採ってナムルを作る。花を摘みお互いの髪に飾る。
夏、ポーチで昼下がりにお昼寝をする。涼風が吹く縁側に腰かけて談笑する。
秋、庭の落ち葉を掃除する。葉っぱを投げてふざけ合う。
冬、真っ白になった庭で雪合戦をする。凍りついた手に息を吹きかけて温め合う。
いつも笑い声が響き渡る、愛に溢れた生活を送る白髪の恋人。
いまの生活に満足しながらも、日々の気苦労は絶えず、ふたりは小さな心を痛めている。
妊娠してしまった飼い犬。ふたりを心配するあまり喧嘩をしてしまう子供たち。
痛みが治まらないおばあさんのひざ。そして、おじいさんの身体。
雨がしとしとと降る日、おばあさんは、ひどくなってゆくおじいさんの咳を聞きながら、「天国でも着れるように」と、たき火におじいさんの洋服を静かにくべるのだった。
監督のチン・モヨンは15ヵ月間に渡ってふたりに寄り添うように密着し、愛おしい日常生活と韓国・江原道横城(カンウォンドウフェンソン)郡の古時里(コシリ)という小さな村の美しい四季の様子をカメラに収めた。
結婚生活の破綻という苦しみを経験した監督が、現代社会では奇跡ともいえる、この幸せな純愛物語を感動的に映し出す。