台湾、香港、中国本土など中華圏での仕事歴20年(うち半分の10年は中国暮らし)
自称!日中友好大使の小松拓也です。
前回の記事では、中国人ホワイトカラー層は中国国内ではブランド商品を正規店で買う傾向が強く、偽物にはあまり手を出さない!というようなことと、日本においては、それにも関わらずブランド中古品を求める中国人が多発している日本基準のブランド力の信頼性の高さ!に関して紹介しましたが、今日はそれに関連した中国の80後、90後の話題に触れたいと思います。
現在、日本に観光に来る中国人観光客はそのほとんどが、ある程度裕福なホワイトカラー層が主流です。
かつては日本を観光で訪れる中国人のほとんどは団体ツアーでの旅行客に絞られていましたが、2010年に個人旅行客向けのビザが解禁されたことを発端に、その後は一気に個人来日客が増えました。
2015年にはビザ取得の条件が更に緩和され、いまや団体旅行客、個人旅行客ともに日本中あちこちで中国人観光客を見かける状況となりました。(ちなみに個人旅行客は個人ビザの取得条件が高いため、個人旅行している中国人旅行客は基本的に富裕層と見なしてほぼ間違いありません。)
中国のネット情報によると、2015年末までの中国人年収(日本円に置き換えて)約1200万円以上のホワイトカラー層は1528万人に及ぶそうです。
また、そのうちの8割近くが45歳以下だと言われています。
ただ、これはあくまで公になっている数字なので、日本と違いサイドビジネスなどによる副収入を得ている比率が高い中国の事情を考慮すると、更に多くの隠れ富裕層が存在する可能性はあるでしょう。(副収入の方が本業よりも何倍も稼いでいるという中国人も決して少なくありません。)
日本でも近年は格差が問題化していますが、中国国内の格差比率は、日本とは比べものにならないほどその差に開きがあります。
元々国内における格差の開きが顕著だった中国において、長い間、富裕層と貧困層の違いはあまりに明確でした。
だから、富裕層はブランド商品を持つならば必ず正規品を買うことにこだわりを持ち、偽物を持つ人間との差別化を図ろうとしてきたし、偽物ならば絶対に中国国内に出回っていないような数量限定モデルや海外限定モデルなどをより強く求める傾向が高かったのです。
近年の中国経済の急発展に伴い、富裕層の割合は急増したし、新たに富裕層の仲間入りをした中国人にとっても、かつての富裕層たちにしか味わえなかった嗜好性を真似することは、彼らにとっての大きなステータスとなったので、結果としてホワイトカラー層は中古ブランド商品はあまり手を出さない!という人間が多かったのです。
それが「何故中古ブランドを買うように変わっていった」のか?
その市場の開拓には、日本が世界に誇る日本という信頼のブランド力が大きく起因したことは間違いないと個人的に思っています!
加えて、今回のブログの目玉と言える80後、90後の存在です。
そもそも中国人は世代によって価値観や感覚、それに伴った購買意欲なども日本人とは比べ物にならないほど差があります。
その中でも最も顕著なのが80年代、90年代以降に生まれたいわゆる80後、90後の存在とそれ以前に生まれた中国人の違いでしょう。
80後、90後は中国人同士でも度々異質な目を向けられる世代で、さらに上の世代とは異なり、感性や感覚がより国際的で新しいものへの関心も強く、ファッションや美容などへの意識も高い世代だと言われています。
中国はオンラインビジネスの市場も非常に大きいのですが、80後、90後はそのコアなユーザー層にもあたります。
前回のコラム「中国人の爆買いはなぜ?その理由と攻略に迫る!①」でも紹介した文化大革命を経験した世代の中国人は、倹約家も多く無駄な浪費は好まない傾向が強いのに対し、80後、90後は浪費的な人間も少なくないし、新しいものへの関心が上の世代に比べて高いのも顕著です。
日本に旅行に来る中国人旅行客の中にも多くの80後、90後が含まれますが、中国の中でも異端児扱いされる新世代の彼らが、今まさに中国国内だけではなく、日本においても新たな市場ルートを開拓しているのです。
その一端に、日本の中古ブランド市場が加わったのでしょう!
日本の安全、安心、高品質という基準が、世界でも高い評価を得て来た実績があってこそ、成り立った市場なのでしょうが、そこには異端児とも言われる80後、90後の存在が大きく起因しているんですね~。
かつての富裕層がブランド商品は正規品しか買わない!という概念を、いとも簡単に壊してしまったんですね!(もっとも、いまだに中古品は絶対にNGであったり、中途半端な金持ちが求めるようなサービスや遊びはしたくない!と考える富裕層もまだまだ多いのですが)
また、上記に追随する人間も増えたことから、良い物ならば中古品だろうが買う!という中国人にとっての新しいスタイルや概念が生まれたのだと思います。
日本の中古ブランド商品を受け入れる中国人が増加し、中国に持ち帰る人が近年増加したことがきっかけで、中国では現在、国内でも急激に中古品市場が拡大しています。
その中でも日本からの中古品は信頼性も高く、評価されやすいのだとか!
ただ、多くの中国人にとって日本旅行はまだまだ始まったばかり。
リピーターの数などたかが知れています。
そもそも現在日本旅行している中国人の数は、中国総人口の数パーセントにしか満たないわけでして、いわゆる一見さんが観光するエリアや食べる物、体験するサービスなどはまだまだ限られているし、お土産に買って帰る品物も中国人同士の口コミ評価が高いものに集中しているのも事実です。
だからこそ、中国人旅行客を相手にビジネスを展開している日本人にとっては、まだまだ多くのチャンスが秘められているわけで、爆買いと並行して、今後はリピーターとして訪れる中国人旅行客を相手にした日本の各種サービスの需要も確実に取り込める確率が高いのだと思います。
次回のコラムでは、その具体的なツールをご紹介したいと思います。
小松拓也
1977年生まれ。
高校を卒業するとともに金城武のような多言語を操る国際的な俳優を目指し、台湾へ語学留学。
2003年に台湾でリリースした北京語CDアルバム「一萬個為什摩」は二万枚のセールスを記録。2007年に中国の国民的テレビオーディション番組「加油!好男児」に参加をし、約八万人の応募者の中からトップ20位に残った唯一の外国人ということで大きな注目を浴び、番組終了後は数多くの中国のテレビやイベント、雑誌などに出演するほか、数社の企業広告のイメージキャラクターを務め、日本の音楽を紹介する「音楽物語in Japan」のMCを務めるなど幅広く活動。
また、国家プロジェクトである上海万博の開幕式への参加や、世界中の華僑を台湾に集めて台北小巨蛋をステージに行われた四海大同では、2万人を前にイベントのテーマソングを歌うなど、その功績を中国からも認められている数少ない日本人の1人。
小松拓也オフィシャルブログ
http://profile.ameba.jp/takuyashanghai/