映画『レヴェナント 蘇えりし者(原題: The Revenant)』

レオナルド・ディカプリオと『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で第87回アカデミー賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が初タッグを組み、実話に基づくマイケル・パンクの小説を原作に、狩猟中にグリズリーに襲われて瀕死の重傷を負ったハンターが自分を荒野に置き去りにした仲間に復讐するため壮絶なサバイバルを繰り広げるさまを描いたドラマ。

画像: シネフィル映画短評 第192回 『レヴェナント 蘇えりし者』

主演のディカプリオとは『インセプション』でも共演したトム・ハーディが主人公の仇敵として出演し、音楽には坂本龍一も参加。
撮影監督を『バードマン』に続きエマニュエル・ルベツキが務め、屋外の自然光のみで撮影を敢行した臨場感溢れる映像にも注目。

第88回(2016年)アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞など同年度最多の12部門にノミネートされ、ディカプリオが主演男優賞を受賞して自身初のオスカー像を手にした他、イニャリトゥ監督が前年の『バードマン』に続いて2年連続の監督賞を、撮影のルベツキも3年連続となる撮影賞を受賞した。

圧倒的な映像美!! 圧倒的な演技!! これでもかと生々しい“生”と“死”。そして大自然の美しさと残酷さと。157分間、共に闘い、共に生き抜いたと思うほどの臨場感。

どっと疲れた…。冒頭から鳥肌ですな。どうやって撮影したんだ? と思う間もなくもの凄い臨場感とスピード感に度肝を抜かれて目が離せなくなった。
被写体にも背景にも全体的にピントが合ってたり、長回しだったり、固定カメラだったり、手持ち(背負い?)カメラだったり、対話シーンはそれぞれ息でレンズが曇るほどドアップだったり、臨場感たっぷりで、“静”と“動”や、“生”と“死”を感じる。そういった意味では映像が物語すべてを語っているようなものだ。

無駄なものが一切ない。そこにある樹々も月も太陽も、音楽も台詞も何もかも。大してストーリーもないし、台詞も少ない。だからこそ俳優陣の演技が際立つんだよね。死に物狂いで生き抜こうとするディカプリオの鬼気迫る演技はオスカー受賞も納得だ。トム・ハーディの演技も異彩を放っていた。時折挿み込まれる妻や息子の幻想的な映像や、樹々の根元から空を仰ぐ映像が印象的だった。

そしてラスト、ディカプリオの瞳の不思議な色…。しっかりと余韻が…。生きるということ、いや生き抜くということを美しく描いた作品。絶対に映画館で観るべき作品だ。

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