「特別展 国宝 燕子花図屏風 歌をまとう絵の系譜」が5月15日まで、根津美術館で開催されています。

尾形光琳(1658~1716)によって生みだされた国宝「燕子花図屏風」は、『伊勢物語』第九段の一節に基づくと考えられています。東国に下る途中の主人公が、三河国の八橋で燕子花の群生を目にし、「かきつばた」の五文字を各句の冒頭において「唐衣きつゝなれにしつましあれば はるばるきぬる旅をしぞ思ふ」と歌を詠む場面です。「燕子花図屏風」の象徴的な画面には、この歌が響き渡っているように感じられます。

画像1: 国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 photo©cinefil

国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
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古来、歌と絵は密接な関係を結んできました。本展覧会では、和歌と関わりをもつさまざまな絵画作品を集め、そのなかで「燕子花図屏風」を味わってみたいと思います。あわせて、室町時代に制作された「伊勢物語絵巻」(個人蔵)3巻を特別に展示します。『伊勢物語』の世界に触れる絶好の機会ともなるでしょう。

画像2: 国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 photo©cinefil

国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
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「吉野龍田図屏風」は、爛漫の桜と錦繍のごとき紅葉を描いた華やかな屏風。画中の木々の枝に 結ばれた短冊には桜と紅葉、あるいはそれぞれの名所である吉野と龍田川 を詠んだ和歌が書かれています。名所絵の伝統と日本美術の装飾性が融合 した作品です。

画像1: 吉野龍田図屏風 6曲1双 紙本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 photo©cinefil

吉野龍田図屏風 6曲1双 紙本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
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画像2: 吉野龍田図屏風 6曲1双 紙本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 photo©cinefil

吉野龍田図屏風 6曲1双 紙本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
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「誰が袖図屏風 」は、衣桁にかかる着物を主題とする謎めいた作品です。「誰が袖図」という名称は、 次の和歌からつけられたといわれています。

色よりも 香こそあはれと 思ほゆれ 誰が袖ふれし 宿の梅ぞも
『古今和歌集』

画像: 誰が袖図屏風 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 photo©cinefil

誰が袖図屏風 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
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「砧打ち図 」は、下記の古歌をベースにしたと思われる美人 画です。博学多才の浮世絵師・窪俊満(1757~ 1802)の代表作です。

松風の 音だに秋は さびしきに 衣うつなり 玉川の里
『千載和歌集』

画像: 砧打ち図 窪俊満筆 1幅(展示風景) 絹本着色 日本・江戸時代 18~19世紀 根津美術館蔵 photo©cinefil

砧打ち図 窪俊満筆 1幅(展示風景) 絹本着色 日本・江戸時代 18~19世紀 根津美術館蔵
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新緑のこの季節、根津美術館が誇る庭園のカキツバタ群生も花を咲かせます。尾形光琳筆「燕子花図屏風」のご鑑賞とあわせ、初夏の庭の風情とカキツバタをお楽しみいただけます。

また、本展覧会最終週の5月10日(火)~5月15日(日)は開館時間を夜7時まで延長します。初夏の宵の根津美術館でゆったりとした時間をお過ごしください。

画像: NEZUCAFÉのコーヒーカップにもさりげなくカキツバタの図 photo©cinefil

NEZUCAFÉのコーヒーカップにもさりげなくカキツバタの図
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画像: 新緑が眩しい根津美術館の庭園 photo©cinefil

新緑が眩しい根津美術館の庭園
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画像: 庇と壁面・床の素材感、そして陰影が美しいアプローチ空間 photo©cinefil

庇と壁面・床の素材感、そして陰影が美しいアプローチ空間
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開催概要

展覧会名:特別展「国宝 燕子花図屏風 —歌をまとう絵の系譜—」
主催:根津美術館
開催期間:2016年4月13日(水)~5月15日(日)
開館時間:午前10時〜午後5時 [入館は午後4時30分まで]
     夜間開館: 5/10(火)~15(日)は午後7時まで開館 [入館は午後6時30分まで]
休館日:毎週月曜日、ただし5月2日は開館
入館料:一般1300円(1100円) 学生1000円(800円)
    *( )内は20名以上の団体料金、中学生以下無料
アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線〈表参道〉駅下車 A5出口(階段)より徒歩8分、B4出口(階段とエスカレータ)より徒歩10分、B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分
住所:〒107-0062 東京都港区南青山 6-5-1
お問合せ:TEL 03-3400-2536 (代表)
ホームページ:http://www.nezu-muse.or.jp (日本語・English)

イベント   

イブニングレクチャー「国宝 燕子花図屏風」
日時 2016年5月10日(火) 午後5時30分から約45分間
場所 根津美術館 講堂
定員 130名
講師 野口 剛(根津美術館 学芸第二課長)
参加方法 事前申込は不要です。地下講堂にお越しください。午後5時15分開場。
※聴講は無料ですが、入館料を別途お支払ください。

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