日米合作、リリー・フランキー15年ぶりの単独主演最新作『シェル・コレクター』の公開を記念して、坪田義史監督、本作のプロデューサーであるエリック・ニアリ、そしてそのニアリがプロデュースした西島秀俊主演映画『CUT』の監督であるアミール・ナデリがトークイベントに登壇。

自身も熱狂的な映画マニアであるアミール・ナデリが同じく映画狂の西島秀俊を主演に据え、日本で撮り上げた『CUT』と、同じく映画マニアで知られるリリー・フランキー、寺島しのぶ、池松壮亮、橋本愛が出演し、米原作を日本で舞台に置きかえた『シェル・コレクター』。
商業作品に媚びない作品を手がけてきた監督同士の映画トークに花が咲きました。

画像: 坪田義史監督、アミール・ナデリ監督

坪田義史監督、アミール・ナデリ監督

【日程】3月6日(日)12:10~12:40(10:40の回上映後)
【場所】テアトル新宿
【登壇者】
坪田義史監督、エリック・ニアリ(プロデューサー)、アミール・ナデリ監督(『CUT』)

<イベント内容>
ナデリ監督『CUT』のプロデューサーで、本作のプロデューサーでもあるエリック・ニアリ氏を介して『シェル・コレクター』にアドバイザーとして参加していたナデリ監督。開口一番「日本映画を20年来教えてきているが、坪田監督は素晴らしい!」と絶賛。色使いや台詞の少なさ、リリー・フランキーや池松壮亮など日本で一番おもしろい役者たちの起用など、映画の面白さを挙げながら、ナデリ監督は興味津々の様子で坪田監督を質問攻めに!最後は「坪田監督はこれからの日本映画界を担う人!」と太鼓判を押しました。

★ラッシュ段階で見てナデリ監督が衝撃を受けた映画『シェル・コレクター』

ナデリ:エリックさんは私の前作『CUT』や新作「Monte(原題)」のプロデューサーで、彼は鋭くもあり優しい意見をいつもシェアしてくれるのです。そういった関係性もあって、はじめに彼は僕に坪田監督の8ミリ作品と『シェル・コレクター』を編集段階で見せてくれました。
エリック:坪田監督の8ミリ作品『でかいメガネ』をナデリ監督に見せたらとても気に入ってくださって、「『シェル・コレクター』で私にできることがあれば是非!」とおっしゃってくださったのです。そして(昨年の)夏に編集段階で映画を見せて貴重なアドバイスをたくさんいただきました。今日完成したものをよくやく見てもらうことができました。
坪田:NYで編集していたのですが、ある日を境にエリックさんの意見がとても論理的になったんです。「これは裏に誰かいる!」と思ったら、それがナデリ監督でした。
ナデリ:日本映画を20年教えてきていて、常に新しい才能を探していますが、坪田監督は久しぶりに現れた新星だと感じています。監督はみな他の作品から影響を受けていることが多いと思いますが、坪田監督の作品は自分自身の経験や内から湧き上がってきたものが描かれていると思います。それはとても大切なことです。海や水、その関係性、そこにいる魚や貝類の描き方が、自分でもこう撮るだろうと思うものに近く、関わりたいと思うようになりました。
若い監督は自分の言いたいことを言葉や台詞で伝えようとすることが多いと感じますが、彼は違って水や水中、空気感、雰囲気など、ロケーションで語ろうとしているのが素晴らしいです。

★原作の選択、色彩、キャスティング…
オリジナリティあふれる世界にナデリ監督敬服!

ナデリ:なぜこの原作を選び、日本の沖縄を舞台に置き換えてどう映画化しようと思ったのですか。
坪田:2012年に渡米し、異国の地で日本人としてアイデンティティを打ち出せる作品を作りたいと思っていました。震災後だったので、自然と人が対峙する映画を撮りたいと思ったときにアンソニー・ドーアの『シェル・コレクター』が浮かびました。日本人としてのアイデンティティを提示するのに、西洋の文芸作品を日本の情景に脚色してみたかったんです。
ナデリ:私は原作を知らなかったので、日本の話だと思っていました。リリーさんのボディランゲージが日本的だし、海との繋がり方、キャラクターの立ち振る舞いも非常に日本的に感じました。これほど日本のものにしてしまうとは、お見事です! 水彩画を思わせる色使いも日本的で印象的でしたね。
坪田:私は色には過敏な方で、16ミリのフィルムが捉える鮮やかな色にはこだわりました。海の青さだけでなく、植物の緑であったり、(橋本愛演じる)嶌子の着ているドレスの赤など、色はポイントになるように設計しています。

★日本を代表するシネフィル俳優たちがすごい!

ナデリ:日本でいま一番おもしろい役者たちが出演していますね。演出はどうしたのですか?
坪田:リリーさんはアーティストであり、役者であり、小説家でもあり、とてもボーダーレスに活躍されている方です。今回ファンタジーと現実の境界線上を演じてほしくて、「現実と寓話の狭間」についてリリーさんとよく話し合いました。リアルではなくファンタジーを跨ぐ芝居をしてほしいと。
ナデリ:まさにボディランゲージを通じてそれが綴られていますね。台詞は少ないけれど、掃除をしているだけでも、その立ち振る舞いからどんなことを考えているのかが伝わってきます。情報を役者に与えすぎなかったのではないですか? 伝えすぎることがなかったから、演じる側のイマジネーションが触発されて良い演技を引き出したのではないかと思います。
坪田:(『無伴奏』の)矢崎仁司監督とも話しましたが、池松壮亮さんは日本映画を助けてくれる、映画を豊かなものにしてくれるひとだと思います。作品との関わり方が誠実です。池松さんの存在で、商業とアートをつなぐことができるのだなと思っています。
ナデリ:池松さんは『CUT』を見に来てくれて、その後話をしました。「監督と仕事をしたい」と言ってくださいました。『シェル・コレクター』を観たとき、「彼を知ってる!」と驚きましたね。『CUT』を見たあとに映画について熱く語るその姿から、彼がいかに映画が好きなのかが伝わってきました。この作品では、イノセンスがあって、感じているものが観客に伝わる演技でしたね。

坪田監督についてナデリ監督から一言!

ナデリ:坪田監督は新しい、素晴らしい、これからの日本映画界を担っていく監督になると思います。間違いなく将来日本を代表する監督になると確信しています!

画像: 坪田義史監督、エリック・ニアリ(プロデューサー)、アミール・ナデリ監督(『CUT』)

坪田義史監督、エリック・ニアリ(プロデューサー)、アミール・ナデリ監督(『CUT』)

アミール・ナデリ監督『CUT』予告編

画像: 映画『CUT』予告篇 youtu.be

映画『CUT』予告篇

youtu.be

<貝の螺旋が描き出す官能的な美しさに魅入られた人々の物語>
盲目の貝類学者を演じるのはリリー・フランキー。本作が実に15年ぶりの単独主演作となる。
いづみを演じるのは日本映画界に不可欠な女優、寺島しのぶ。学者の息子・光役に、受賞が続く若手実力派俳優・池松壮亮、いづみと同じ奇病に冒された娘・嶌子には話題作の公開が相次ぐ女優、橋本愛。貝が魅せる螺旋の美しさ、沖縄の海と空の雄大さ、そして実力派俳優たちが織り成す孤独と再生……。
貝の毒は奇病を救う薬なのか、それとも自然が人間に与えた警鐘なのか。自然の中で生きる人間に向けたメッセージが詩的な映像美で描き出されます。

大絶賛公開中の『シェル・コレクター』

画像: 映画『シェル・コレクター』予告編 youtu.be

映画『シェル・コレクター』予告編

youtu.be

◆ストーリー
貝の美しさと謎に魅了され、その世界で名を成した盲目の学者は妻子と離れ、沖縄の孤島で厭世的生活を送っていた。
しかし、島に流れ着いた女・いづみの奇病を偶然にも貝の毒で治したために、それを知った人々が貝による奇跡的な治療を求めて次々と島に押し寄せるようになる。その中には息子・光や、同じく奇病を患う娘・嶌子を助けようとする地元の有力者・弓場の姿もあった。
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リリー・フランキー  池松壮亮 橋本 愛 普久原明 新垣正弘 / 寺島しのぶ
監督・編集:坪田義史(『美代子阿佐ヶ谷気分』
脚本:澤井香織、坪田義史
原作:アンソニー・ドーア『シェル・コレクター』(新潮クレスト・ブックス刊)
(C)2016 Shell Collector LLC(USA)、『シェル・コレクター』製作委員会

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