映画『ローマに消えた男(原題: Viva la liberta)』

『グレート・ビューティー 追憶のローマ』などで知られるイタリアの名優トニ・セルヴィッロが、失踪した政治家とその替え玉を演じた双子の兄弟を1人2役で演じ、イタリアの政界の裏側に迫るヒューマンドラマ。

画像: 映画『ローマに消えた男(原題: Viva la liberta)』

行方をくらました政治家の弟の替え玉となった兄が、次第に大衆を惹き付けていくというエキセントリックな物語が展開する。
主人公の部下を『天使が消えた街』『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』などのヴァレリオ・マスタンドレアが演じ、元恋人を『華麗なるアリバイ』『ふたりの5つの分かれ路』などのヴァレリア・ブルーニ・テデスキが好演。『そして、デブノーの森へ』のロベルト・アンドが監督を務めた。

「イタリア映画祭2014」では『自由に乾杯』のタイトルで上映されている。
いやあ、素晴らしい作品だ。オシャレで皮肉でときどきミステリー、ところによりユーモアとロマンティックといった感じでしょうか。
奇想天外な物語は意表を突かれっぱなしの展開で全然目が離せない。軽妙な笑いで覆ってはいるけれど、魅力的な(?)志のある(?)政治的指導者不在の世界の政界を痛烈に批判してるよね…。

そんな物語をグイグイ引っ張るトニ・セルヴィッロが絶品だ。眉と瞳で台詞以上にコッテリと表現する“凄み”も素晴らしいが、過剰にすら感じそうな兄弟の演じ分けの演技も絶妙だ。芸達者とはこのことか。
主役も素晴らしいんだけれど、それを引き立てるヴァレリオ・マスタンドレアの名演も見事だし、中年の色気たっぷりのヴァレリア・ブルーニ・テデスキの魅力も忘れられない。全然違う場所で全然違う感じに過ごす兄弟2人の対比だったり、それらを交互にテンポ良く描いていたり、いつの間にか見分けがつかなくなっていたり、ほぼ全編イタリアな感じの音楽が流れていたり、煙に巻かれたような寓話っぽい巧みなラストだったり、演出も素晴らしいねえ。

自身の小説の映画化だからか、細かい説明はあまりせずに、視線(?)視覚(?)を効果的に使ってるんだよね。いやぁ、とってもお上手だ。男女の政治家がダンスを踊るシーンは印象的だった。景色も良かったなあ。
ボクもトニ・セルヴィッロのような笑顔ができる男になりたいな。90分間引きずり込まれて全く飽きない作品。

シネフィル編集部 あまぴぃ

「ローマに消えた男」(11/14公開)予告編

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