映画『先生と迷い猫』
埼玉県岩槻で実際にあった地域猫捜索の模様を記したノンフィクション「迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生の物語」(木附千晶著)を原案に、オリジナルキャラクタやストーリーを加えて映画化した感動の人間ドラマ。
『太陽』以来9年ぶりに映画主演を務めるイッセー尾形が主人公となる頑固な元校長先生に扮した。近所でかわいがられていた野良猫捜しを通して、カタブツの主人公や美容師など地域の人々が心を通わせていく姿を描く。
『60歳のラブレター』『神様のカルテ』の深川栄洋監督がメガホンをとり、染谷将太、北乃きい、ピエール瀧、もたいまさこ、岸本加世子ら実力派俳優たちが豪華共演。名演を見せた三毛猫の活躍はもとより、一匹の猫が起こす小さな奇跡に涙する。ホッコリ温かいなあ。
ノーンビリした空気感にほのぼのして愛がぎっしり詰まってる。なんたって猫アレルギーでも猫が大好きっていう登場人物が出てくるくらい猫愛に溢れた作品だよ。
何より出てくる住人がみんな心優しくて温かいんだよね。猫と暮らす幸せとでも言うのかしらね。
舞台になってる伊豆・下田の景色も素晴らしいんだ。
どのシーンものどかでどこか懐かしい街並みでさ。自然も豊かでさ。
イッセー尾形演じる元校長は最初は頑固で偏屈なんだけど、 猫と触れ合っていく中でどんどん柔らかくなって人間性も広がっていくんだよね。街の人たちも心にゆとりを持っていくんだよね。
俳優陣は猫を通して変化していく人々の心を見事に演じ切ってて素晴らしいよ。
それにしてもイッセー尾形の必死な姿って温かくもユーモラスで奥ゆかしくもどこか切ない感じがホントに良いねえ。ラストシーンは印象的だったなあ。優しいんだけど胸がギュッと締め付けられる感じっていうか。でもその余韻が心地良くってさ。失くしてからでは伝えられない想いもあるってことよね。どことなく物足りない感はあるものの味わい深くて素晴らしい作品。
代役なしで全編一発OKで演じ切った三毛猫・ドロップも立派に主役だと思う。猫好きにはたまらない作品(ボクは猫好きではないけれど…)。
シネフィル編集部 あまぴぃ