京都文化博物館フィルムシアター、脚本家・依田義賢の世界。
『新平家物語』(1955)。吉川英治作の同名歴史小説が原作。
溝口監督は平安時代についての考証を徹底的に行うために京都撮影所内に研究会を設立。天皇家や貴族の系図、官位、そして建築、衣裳、甲冑、刀、そして照明具の変遷までみっちり調査し二百頁以上に及ぶ研究資料集にまとめさせた。
平安末期、貴族政治から武家政治に革命される激動の時代。
宮中の藤原氏と上皇、天皇、女御、中官などの関係、その政治的策謀による皇后冊立と父子の悩み、また対立という時代の流れの中で生きる青年清盛の心情を中心に描く。
上映フィルムが退色しております、ご了承下さい。
#ミニシアター http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/
『新・平家物語』
1955(昭和30)年大映京都作品/105分・カラー
※上映フィルムは退色しております、ご了承下さい。
製作:永田雅一 企画:川口松太郎、松山英夫 原作:吉川英治 脚本:依田義賢、成沢昌茂、辻久一 監督:溝口健二 撮影:宮川一夫 録音:大谷巌 照明:岡本健一 美術監督:水谷浩 衣裳考証:上野芳生 和楽:小寺金七、望月明太吉 洋楽:佐藤勝 編集:菅沼完二
出演:市川雷蔵(平清盛)、久我美子(妻・時子)、林成年(藤原時忠)、木暮実千代(泰子)、大矢市次郎(平忠盛)、進藤英太郎(伴卜)、菅井一郎(木工助家貞)、千田是也(左大臣・頼長)、柳永二郎(白河上皇)、石黒達也(藤原時信)、羅門光三郎(了観)、沢村国太郎(如空)、杉山昌三九(映範)、荒木忍(乗円)、香川良介(久世治久)、十朱久雄(関白忠通)、河野秋武(平六)、夏目俊二(鳥羽上皇)、中村玉緒(藤原滋子)
保延三年、平忠盛・清盛の親子は海賊征伐から凱旋するが、新興武士に対する公家の態度は冷たく、長年の貧窮から抜け出せないでいた。
清盛は忠盛が実の父ではないと聞かされ苦悩するが、商人の伴卜から天下取りをけしかけられて自信を得る。その頃、延暦寺と朝廷との間に起こった紛争を解決した忠盛は、昇殿がかなうことになった。それを喜ばない公家の一派が父の謀殺を企てていると知った清盛は、陰謀を叩きつぶした・・・。
『新・平家物語』
1955(昭和30)年大映京都作品/105分・カラー
昭和25年から5年以上にわたって週刊朝日に連載された吉川英治作の同名歴史小説が原作。約半世紀に亘る平家興亡を描いた長編小説の映画化に当たって、先ずは若い頃の清盛を中心に溝口健二監督で本作『新・平家物語』が企画された。大映は後に衣笠貞之助監督で『義仲をめぐる三人の女』(1956)、島耕二監督で『静と義経』(同)を作り三部作としている。本作で溝口監督は平安時代についての考証を徹底的に行うために、美術部と照明部を中心に京都撮影所内に研究会を設立。天皇家や貴族の系図、官位、そして建築、衣裳、甲冑、刀、そして照明具の変遷まで二ヶ月間みっちり調査し二百頁以上に及ぶ研究資料集にまとめさせた。平安末期、僧兵を率いる寺院が台頭するなか、武士階級が公卿にとって代わり、貴族政治から武家政治に革命される激動の時代。本作は宮廷の中の藤原氏と上皇、天皇、女御、中官などの関係、その政治的策謀による皇后冊立と父子の悩み、また対立という時代の流れの中で生きる青年清盛の心情を中心に描く。キャメラは宮川一夫で、『地獄門』(1953)で宮島ロケを担当した後、本作でカラーフィルムでの映像表現に本格的に取り組んだ。
脚本家・依田義賢
京都木屋町で生まれ、京都を拠点にして活躍し、140作品以上のシナリオを手がけた依田義賢(1909~1991)。
『浪華悲歌』以来、20年近くに渡って溝口健二作品の脚本を担当し、その全盛期を支えた。
「溝口あっての依田」とされる一方、「依田あっての溝口」とも評価される。一方、伊藤大輔、内田吐夢、今井正ら巨匠の作品から娯楽映画や左翼系映画にまで幅広く最高品質の脚本を提供している。今回の特集では、映像学会関西支部での依田義賢回顧特集にあわせ、溝口以前からその後まで、幅広いジャンルで上質な脚本を練り上げた依田義賢の実績をふりかえる。
ついに明日、依田特集の最終上映です!
10月18日(日)17:00〜のみ
ある映画監督の生涯
『ある映画監督の生涯』
1975年近代映画協会作品(カラー・150分)/監督:新藤兼人/
出演:伊藤大輔、田中絹代、依田義賢