東宝撮影所の思い出(1985年頃)…。
東宝撮影所で働いていた頃、映画『mishima』(製作:フランシス・フォード・コッポラ&ジョージ・ルーカス、監督:ポール・シュレーダー)を、撮影していました。
ボクは映画『mishima』のスタッフではなかったのですが、その製作の舞台裏にふれることができました。
なかでも三島の小説世界を再現した、石岡瑛子の美術デザインが圧巻で、
これらのセットを全て見ることができたのは幸運です。
この映画、素晴らしい作品なのですが、三島のホモセクシャルな描写を、三島夫人(故人)が気に入らず、今だに国内で上映できていないのが残念です。
三島本人が観たら、むしろ喜びそうな映画なのにね…。
三島役は緒形拳で、当初はミスキャストだと言われたのですが、映画を見ていると、全く違和感がないどころか、本人が憑依したような演技です。
せめてBlu-rayの国内版でも、出して欲しいものですね。
これは三島の遺作になった『豊穣の海』(四部作)の第二部『奔馬』の場面。
島倉二千六さんによる背景画は、見事でした!
撮影後、金閣寺が東宝撮影所の裏に捨ててありました。
あと『癇王のテラス』の仏頭も。
これは撮影されなかったか、撮影してもその場面がカットされたのかもしれませんね。
本編では、三島の戯曲『鹿鳴館』の舞台裏が出てきますが、上手い処理の仕方だと思います。
仁科 秀昭
:天井桟敷、東宝撮影所などの美術スタッフを経て、
現在はミュージアムプランナーとして、活躍中。