映画『ピエロがお前を嘲笑う(原題: Who Am I - No System Is Safe)』。過激なハッカー集団に加担した天才ハッカーがいつしか危険な世界へとはまり込んでいくドイツ製サイバースリラー。全編に仕掛けられたトリックが話題を呼び、ドイツ・アカデミー賞6部門にノミネートされた他、世界各地の映画祭でも支持された。

画像: シネフィル映画短評第96回『ピエロがお前を嘲笑う』

メガホンを取るのは『23年の沈黙』などのバラン・ボー・オダー。主演は『コーヒーをめぐる冒険』などのトム・シリング、共演には『4分間のピアニスト』などのハンナー・ヘルツシュプルンク、『愛さえあれば』のトリーネ・ディアホルムらが名を連ねる。ドイツの人気エレクトロ・ユニット、ボーイズ・ノイズが楽曲を提供。うーん、宣伝文句に煽られ過ぎたかな…。自分の中でハードル上がり過ぎちゃったな…。テンポの良いカット割り、スタイリッシュな映像(特にネット内での攻防の映像化とか掲示板を地下鉄の車内として表現するとか面白いね)、二重三重のドンデン返し、駆け抜けるような疾走感、カッコイイ音楽などなど表現力に溢れた素晴らしい作品だと思う。でも何だろう? 感情移入ができなかったんだよなあ。ハッカーそれぞれのキャラがイマイチだったり、ハッキング行為も幼稚なレベルだったり、ヒロインがあまり好みじゃなかったり…。それでもボクらの予想を裏切りながらどんどんボクらをスリリングで非日常的な作品の世界に引き込んでいくのはさすがだけどね。捜査官役のトリーネ・ディアホルムの演技が物語的にも深みを与えてて印象的かなあ。主人公を演じたトム・シリングもただのヘタレがどんどん成長していくのは良かったね。監督との知恵競べを楽しんだといえばそうだけれど、字幕追うのがつらかったし、宣伝文句の「100%見破れない!」のせいで身構え過ぎて映画そのものを楽しめなかった…。ハリウッドリメイクも決まったそうで更なる期待だね。肩肘張らずに気持ちよく騙されたい作品。2015年9月12日(土)公開。

映画『ピエロがお前を嘲笑う』予告編

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