映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』
2009年版「このミステリーがすごい!」海外編で1位を獲得したトム・ロブ・スミスのベストセラー小説を基にしたサスペンスミステリー。
1950年代のソ連を舞台に子供ばかりをターゲットにした連続猟奇殺人事件の真相を暴こうとする秘密警察捜査官の姿を追う。
製作はリドリー・スコット、監督は『デンジャラス・ラン』などのダニエル・エスピノーサ。
主演を務める『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディを筆頭に、ゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス、ヴァンサン・カッセルらが顔を揃える。
謎が謎を呼ぶ展開に加え、演者たちが織り成す緊迫感に満ちたストーリー展開に引き込まれる。
スターリン独裁政権下の息詰まるような空気感が重苦しく、暗く描かれている。
犯人探しや猟奇殺人鬼の深層心理などよりも保身に走る官僚たちの醜さや生きづらい時代を生き抜く夫婦の愛に重きを置いているのかなあ。
そのせいで全体的に緊張感が足りず、サスペンスを期待したボクには物足りない印象か…。画面を暗くしたり、何かで隠したりして相手を映さない演出がボクらを不安にしてスリリングたっぷり。
役者たちがみんなソ連訛りの英語を話すのがなんか不思議…。
トム・ハーディは風貌もなりきってて演技も輝いてるね。笑顔がとっても魅力的だ。ゲイリー・オールドマンは出番は少ないものの存在感たっぷりにいい味出してるね。ノオミ・ラパスは意外とアクションが良かった。
ハリウッドらしいというか、ソ連時代が遠いというか、恐怖政治感は緩いように感じたけれど、正直に生きられなかったり、正義が通用しなかったりする時代はツラそうで思わず主人公夫妻を応援したくなった。
ラスト、4人の顔が明るい光に照らされるシーンは印象的で、小さな希望の光が見えたかな。
原作 3部作の続く『グラーグ57』『エージェント6』も映画化されると良いな。137分と少し長め。
2015年7月3日(金)公開。
シネフィル編集部あまぴぃ