「涙するまで、生きる」
アルジェリア戦争の停戦を訴えて、挫折を味わったカミユの葛藤を受け継いだような、ヴィゴ・モーテンセンの演技が光る!

「涙するまで、生きる」は、ノーベル文学賞作家、アルベール・カミユの短編小説「客」を原作に、ダヴィド・オールホッフェン監督が撮ったフランス映画。
フランスを悩ませたアルジェリア戦争を、裏側から見たような感じの作品だ。

山奥で現地の子供たちを教える、学校教師ダリュ(ヴィゴ・モーテンセン)のところに、憲兵がモハメド(レダ・カテブ)を連行してくる。食料を奪いに来た、いとこを殺害した罪で、裁判にかけるという。元軍人のダリュに、山を越えた町まで連行するように命じたが、ダリュは断る。

映画『涙するまで、生きる』予告編

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ダリュはモハメドを放してやり逃げるように告げたが、モハメドは動かない。
翌日、村人たちがモハメドを渡すよう要求する。ダリュが断ると襲ってきた。やむなくダリュは、モハメドを連れて山を越える。

アトラス山脈の荒涼とした大地を旅する二人の男。フランス軍と反乱軍の戦いに巻き込まれながら友情の絆が強まる。
アルジェリア戦争の停戦を訴えて、挫折を味わったカミユの葛藤を受け継いだような、ヴィゴ・モーテンセンの演技が光る。

RESPECTレスベ、スプリングハズカム配給。
5月30日よりイメージフォーラムほか全国順次ロードショー公開中。

「パトレイバー首都決戦」押井守監督

「パトレイバー首都決戦」は押井守監督が自らの原作・脚本で実写VFX作品に組み上げた。

映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』予告編

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パトレイバーとは、20世紀末にレイバーと呼ばれる人間型ロボットの犯罪に備え、開発された高さ8メートルの警察ロボット。
21世紀。レイバーの衰退で、パトレイバーを擁する警視庁特車2課は、解体の危機にあった。

そんなとき、最新鋭の戦闘ヘリを自衛隊から強奪した特殊部隊が、東京を攻撃する。

もっとパトレイバーが大暴れするストーリーかと思ったら、意外にも強奪された最新鋭戦闘ヘリVS航空自衛隊の戦闘、という図式に重きが置かれている。
そのメカこそが押井守の世界であって、実物のヘリやジェット戦闘機が画面を切り裂くさまは、押井ファンの血を湧き立たせる。
YFXは、世界最高級と認識できる。

松竹配給。5月1日より、全国順次ロードショー公開中。

「王妃の館」浅田次郎原作 橋本一監督

「王妃の館」は浅田次郎の小説を、橋本一監督で描く、パリのツアー人間模様。

映画『王妃の館』予告編

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「憧れのシャトー・ドゥ・ラ・ネールに泊まる10日間の旅」のツアーに参加した、日本人の団体2つ。
旅行代金200万円の豪華ツアーに参加したのは、小説家の北白川右京(水谷豊)、OLの桜井香(吹石一恵)、成金の金沢(緒形直人)と愛人のミチル(安達祐実)。
率いるのは、旅行会社社長(田中麗奈)。

一方、旅行代金29万8000円の別団体には、元詐欺師の丹野(石橋蓮司)、堅物警察官の近藤(青木崇高)、ショーパブの女装スター・クレヨン(中村倫也)、編集者(山中崇史)とその部下(野口かおる)。率いるのは添乗員の戸山(尾上寛之)。

実は旅行会社社長と添乗員は夫婦。会社の経営が危なくなって、ホテルとグルでダブルブッキングをした。
豪華ツアーが昼間の観光。貧乏ツアーは夜の観光で、決してかち合わせてはいけない。
豪華組が出かけると、ホテル従業員総出で荷物を片付け、貧乏組を入れる。
貧乏組が出かけると、今度は豪華組が帰ってくる。
しからば貧乏組はどこで寝るのかというと、「スィートルームは文化財で夜間使用禁止」とごまかし、屋根裏部屋に寝かせる。

どう考えたってうまくいくはずのない設定だから、嘘っぽくてしょうがない。
このツアー騒動に、北白川が描く中世の物語が混然一体になる。まるで児童ミュージカルだ。
まあ、パリに行ったことがない人には、雰囲気が味わえよう。
ルーブル美術館やヴェルサイユ宮殿の中で、大規模なロケが行われたので、観光した気分にはなれる。

東映配給。4月25日より、全国順次ロードショー公開中。

野島孝一の試写室ぶうらぶら 、オリジナル版は、アニープラネットWEBサイト
に掲載されています。
野島孝一@シネフィル編集部

アニープラネットWEBサイト
http://www.annieplanet.co.jp/

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