着るシェルターとしてのプロダクト、FINAL HOME

この連載を始めるにあたり「脳内サバイバル術」というタイトルをつけましたが、私は脳科学者でもなく、無人島でサバイバルした経験もありません。
むしろ都会で楽な生活を送りたいと思っている、ファッションデザイナーであり、美大の教授です。

「サバイバル」と関係があるのは、私がデザインした全身ポケットとして機能する、FINAL HOMEという衣服です。

ファッションアイテムとして、日常使用と非常アイテムを常備できる、「着るシェルター」というプロダクトです。

「脳内」という部分は、デザイナーという職業で必要な創造性が関係すると思います。
その二つを合体させて、私たちが日々感じる些細な問題や疑問を、違う角度から見つめ解体し、別物に仕上げリサイクルしとうという企みです。
間違ってガラクタが生まれるかもしれませんが、楽に暮らすヒントになれば幸いです。

画像: まぼろし探偵

まぼろし探偵

画像: 8マン

8マン

街に1軒だけあった「忍館」という古い映画館で怪獣映画を見る

私はテレビの登場とメディアの進化と共に、成長してきた世代です。
「まぼろし探偵」や「怪傑ハリマオ」、「ナショナルキッド」などの実写のヒーロー物から、「鉄人28号」「エイトマン」「鉄腕アトム」などのアニメに夢中でした。

街に1軒だけあった「忍館」という古い映画館で怪獣映画を見る事は、最上位の楽しみでしたが、年上の不良とも遭遇するスリルと、カビ臭さを伴った映像体験は、テレビの明快さとは違う悩ましさも含んで、私の映画への興味を、深いものにしていきました。

映画館の予告として張り出される白黒写真を、毎日学校帰りに食い入る様に眺めていたものです。ゴジラやガメラのハリボテが映画館の前に飾られた時は、興奮して家に帰り新聞紙で工作しました。映画や写真、漫画が、地味で退屈な日常から私を救い出してくれたのです。

画像: 初代ゴジラ

初代ゴジラ

当時の作品全般に共通しているテーマは、科学技術の進歩や工業化に警鐘を鳴らす事だったと想います。
怪獣は悪役として登場しますが、原始の地球からの使者であり、人間が作り上げた文明の犠牲者でもある訳です。
また、2通りの科学者が登場します。
環境破壊を省みず科学技術を自分達の利益の為に使うタイプと、未来を守ろうとする少年少女達と一緒になって戦う科学者です。

私はどのタイプにも自己投影する事が出来たので、
正義のヒーロだけに憧れた訳ではありませんでした。
悪役であっても、そこに至るまでの理由がありました。

本当の悪がどこのあるのか答えが無いまま、観客に考えさせる終わり方にも感化された事が、その後の私のデザインやファッションに、大きな影響を与えている事は否めませんーー。

画像: 津村耕佑

津村耕佑

KOSUKE TSUMURA Profile
津村耕佑 プロフィール

Art director・ fashion designer
FINAL HOME project 主催
編装会議 主催
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授
文化服装学院ファッション工芸専門課程非常勤講師
日本文化デザインフィーラム会員

https://www.facebook.com/kosuke.tsumura.9
https://www.facebook.com/hensoukaigi


1982年三宅一生氏の下
クリエーションスタッフとして
パリコレクションに関わる。
1994年ファッションブランド
KOSUKE TSUMURA並びFINAL HOMEを
(株)A-netからスタート
パリ、ロンドン、東京でコレクションを発表
2015年 独立 
FINAL HOME project始動

1959年  埼玉県生まれ
1982年  第52回装苑賞受賞
1992年  第21回現代日本美術展」準大賞受賞
1994年  第12回毎日ファッション大賞新人賞
資生堂奨励賞受賞
2001年  織部賞受賞

1992年 「Regard de Meduse 」スパイラルガーデン

1993年「JACKET/JACKETS」個展 (プラスマイナスギャラリー)
    「INCOMER」個展 (YKK R&Dセンター)

1994年 「INCOMER」パリ.ファッションショー
    「Art Today 1994 サンクチュアリ-」
(セゾン美術館)

1995年 「モードとジャポニズム展」(パリ市立衣装美術館)
「AIR WEAR」(神戸ファッション美術館)

1999年 「身体の夢」展 (東京都現代美術館)

2000年 「ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展」

2001年 「spiralランデブープロジェクト」
「ロンドンJAM展」
「Re Design」(青山スパイラルガーデン)
2002年 「東京JAM展」(東京オペラシティーアートギャラリー)
「構成された布切れ展」(神戸ファッション美術館)
「上海ビエンナーレ展」(上海美術館)

2004年 「日本建築・美術展」(イスラエル美術館)
「衣服の領域」(武蔵野美術大学)

2005年 「愛地球博ファッションショー」
「衣服の領域」(霧島アートの森)
「SAFE DESIGN TAKES ON RISK」(MOMAニューヨーク近代美術館)

2007年 「美麗新世界」(北京)
「シェルター×サバイバル」(広島市現代美術館)
21_21DESIGN SITE 「THSPLAY!」展 アートディレクション

2008年 「夢神/MUZIN」個展 NANZUKAUNDERGROUND

2009年 「TOKYO FIBER09」(ミラノ・トリエンナーレ美術館)

2010年 「MODE less CODE」個展 NANZUKAUNDERGROUND
2010年~2011年 「Future beauty30 years of Japanese fashion 」
ロンドンバービカンアートギャラリー


2011年 「千住 博美術館」ユニホームデザイン 軽井沢千住博美術館
  「代官山蔦屋」ユニホームデザイン 代官山蔦屋
tokyoeye tech 上海 ディレクション

2012年 「Future Beauty  日本ファッションの未来性」東京都現代美術館 

2012年  「ドクメンタ13」(ドイツ・カッセル)

2013年 「フィロソフィカル ファッション1」金沢21世紀美術館 
  「LOVE」展森美術館 開館10周年記念

2013年 「アーネム・モード・ビエンナーレ」MºBA 13 – Fetishism in Fashion
2014年  LEATHER JAPAN 2014Thomas Erben Gallery
TOKYO DESIGNERS WEEK 北斎インスパイア展
東京ミッドタウン・デザインハブ「いろは展」総合ディレクション

2015年 神戸ファッション美術館 「衣服にできること―阪神・淡路大震災から20年」
TOKYO DESIGNERS WEEK in MILANO 葛飾北斎インスパイア展
2015年 ファションイベント「HAPPENING」参加

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