映画『Mommy / マミー』。

『わたしはロランス』『トム・アット・ザ・ファーム』などで世界の映画界から熱視線を浴びるカナダの俊英グザヴィエ・ドラン監督が母と息子を題材に描く人間ドラマ。
架空のカナダを舞台に型破りなシングルマザーと問題児の息子、そして隣人の女性が織り成す人間模様を映し出す。

画像: 映画『Mommy / マミー』。

『マイ・マザー』などのアンヌ・ドルヴァルが母親を演じ、『わたしはロランス』のアントワーヌ・オリヴィエ・ピロンが息子を熱演。
第64回(2014年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、大御所ジャン=リュック・ゴダールの『さらば、愛の言葉よ』と並んで審査員特別賞を受賞した。
ボクが注目している監督の5作目だ。

今回も何から何まで計算され尽くした作品で、その圧倒的なオリジナリティに改めて驚く。
あまりにも美しい映像表現とあまりにも斬新な映像表現に感動。

冒頭、とてもキレイな母親のイメージショットが続く。
「あれ? タイトルから母親への愛を想像したのに、もしかして近親相姦的な?」と思わされ、その独特の空気感に早くもドキドキだ。
そして今回も登場人物の心象風景を映像で巧みに表現していて、1:1の正方形で母と息子それぞれの孤独や閉塞感に溢れた日常を、一瞬訪れた至福のひとときや終盤の夢(?)未来(?)妄想(?)は通常の16:9で表現。
他にもスローモーションの使い方が印象的だったり、登場人物との距離を感じさせる画面作りで寄り添い切れなかったり、音楽の効果が存分に発揮される使い方だったり…。
今回も画面が拡大したシーンでオアシスの名曲”ワンダーウォール”がほぼフルで流れ、やっと息ができたような気がしたし、やっと映画に参加(?)したような気がした。

主演3人の演技は脚本、撮影、演出、編集、音楽に負けず、素晴らしい。
アントワーヌ・オリヴィエ・ピロンは神懸かってるし、アンヌ・ドルヴァルは全身全霊でぶつかってくる息子に辛抱強く向き合う愚直な母親を体当たりで演じてる。

上っ面の親子関係とか、世間に押し付ける子育てとか、親であり続けることの難しさとか、親であり続けて欲しいという子供の願いとか、とても難しいテーマの泥臭い作品で、“傑作”とか“感動”とかそんなチープな言葉では足らない気がする作品。

シネフィル編集部 あまぴぃ

映画『Mommy/マミー』グザヴィエ・ドラン監督 予告編 4.25公開

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