シネフィル新連載:ミュージアムプランナーの映画そぞろ歩き
ケネス・ブラナー。
俳優で舞台演出家、映画監督のケネス・ブラナー(1960―)。
若いときはローレンス・オリビエの再来とも言われ、
シェイクスピア俳優として天才の名を欲しいままにしたにも関わらず、
このところ節操なく、ハリウッドの商業主義的な映画『マイティ・ソー』
『エージェント・ライアン』『シンデレラ』等を、監督しまくっていますね。
しかしまあ、人生を楽しんでいるというか、演出するのが好きなのでしょう。
ただ、たとえばオーソン・ウェルズの晩年と比べると、幸せかもしれませんが、
歴史に残る作品を生み出しているかとというと、難しいところですね。
もっともお金と社会的な評価を得て、自分の本当にやりたい作品があるのかも知れませんが…。
それと余談ながら、彼としてはロンドン・オリンピックの開会式の演出をやりたかったのでしょうね。
開会式には、彼自身もある場面に出演していましたが、
テレビで生中継していたアナウンサーは、彼について一言のコメントもなく、
寂しい思いがしました。
それと、日本のメディアの教養の低さも…。
仁科秀昭:天井桟敷、東宝映画製作所などの美術スタッフを経て、現在はミュージアム・プランナーとして活躍中。