映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』。
直木賞他多数の文学賞を受賞するベストセラー作家の宮部みゆきが「小説新潮」で9年間にわたり連載したミステリー巨編「ソロモンの偽証」を『八日目の蝉』『孤高のメス』などの成島出監督が映画化した2部作の前編。
ある中学校で起きた不可解な生徒死亡事件と、その真相を暴こうとする女子生徒が開く学校内裁判の行方を追い掛ける。
『超高速!参勤交代』などの佐々木蔵之介、『小さいおうち』などの夏川結衣、『八日目の蝉』などの永作博美といった実力派が結集。
物語の中心となる12人をはじめとした中学生キャストは1万人の応募があったオーディションで選出。藤野涼子役の新人女優・藤野涼子は本作での役名をそのまま芸名に女優デビューを飾った。
事件を機に浮かび上がる、人間が抱える闇の深さに息をのむ。よくもまあ文庫本で6冊に及ぶ小説を2部作とはいえ映画化したもんだ。
原作を少し脚色して藤野涼子を第一発見者として物語の中心に据え、物語と同級生たちを牽引させるという構成は秀逸だろう。その藤野涼子の正義感に溢れ堂々とした大型新人現る的な演技はじめ、少年少女たちの初々しく自然な演技にすっかり引き込まれた。
中学生の純粋さや狡賢さ、傷付き易さ、危うさ、正義感と周囲への不信などが本当に普通に本当に普通に表現されてるんだよね。
新人たちからここまで見事な演技を引き出した監督の手腕と根気も凄いということだろう。
アングルを変えて何度も繰り返される回想シーンや緻密な展開にもゾクゾクしたね。
明らかになった事実の提示とまだ隠されているだろう謎の提示が絶妙なんだよね。
前篇はフリだけかよーとか前篇だけでいいやーとか前篇意味あった?
とかならず、前後篇モノとしても良くできてるんじゃないかしら。
今日から公開の『後篇・裁判』での“判決”を楽しみにしよう。
シネフィル編集部 あまぴぃ
おまけに、台湾でも大ヒット中らしく、予告編をどうぞ---