石田忍道監督『ライフ・イズ・ビューティフル・オーケー』が劇場公開決定
第25回TAMA NEW WAVEでグランプリ&ベスト男優賞(主演・田丸大輔)のダブル受賞をした映画『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』
2025年10月4日より ユーロスペースにてロードショー!!
初長編監督作品「リバーシブル/リバーシブル」がぴあフィルムフェスティバルPFF 2023アワードで審査員特別賞を受賞した石田忍道監督の初の劇場公開作品である本作。解禁されたビジュアルと共に、石田忍道監督によるコメント、レビューをお届けします。
©Life is Beautiful Okay
監督コメント
監督・脚本 石田忍道(いしだしのみち)
1988 年生まれ。愛知県出身。 大学卒業後、障がいを抱える子どもの療育施設に従事。担当した高校生たちと映画を撮ったこ とを機に、映画監督を志す。
初長編監督作品「リバーシブル/リバーシブル」が第 23 回 TAMA NEW WAVE ある視点部門 入選、ぴあフィルムフェスティバル PFF2023 アワード審査員特別賞を受賞。 長編映画脚本「ひかるの合唱」は 2024 年サンダンス・インスティテュート/NHK 賞の NHK 推薦作品に選出。
「異例規模の引きこもり実態調査結果を発表しました」
僕は何気なくそのニュースを目にし、衝動的に引きこもりについて取材を始めていました。 その時にたまたま入った定食屋で主人がひとり忙しなく働く姿から着想を得て「ライフ・イ ズ・ビューティフル・オッケー」とういう物語がスタートし、新奇に富んだキャストやスタ ッフ、ロケーション、様々な人の可能性が交差しながら劇場公開に至っています。 脚本製作時のメモにこんなことが綴ってありました。
障がい、人種、その他、全て関係ない。
配慮は必要だが優遇、特別扱いともまた違う。
「そこにいていい」世界を。
非認知で生きろ
「ライフイズビューティフルオッケー」
それぞれの速度で「今」を自由闊達に生きていくのはどんなことでも素晴らしいことだと思 っています。ぜひご鑑賞ください。
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主演コメント
店主・牧原和章役 田丸 大輔(たまるだいすけ)
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1974 年2 月生まれ。神奈川県出身。
2002 年に劇団天然工房に入団。2012年以降は数々のドラマや映画に出演。現在は映像作品をメインに活動中。出演作にドラマ『幼獣マメシバ』、『BAR レモン・ハート シーズン 1』、『赤シャツの逆襲』など。
本作『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』で 第25回TAMA NEW WAVE ベスト男優賞を受賞する。
立川談志さんの「落語は業の肯定」という言葉があります。「ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー」 この言葉は主人公牧原と牧原に絡む登場人物全ての人生に象徴するもので、まさに「業の肯定」に通じます。肩肘を張らずに他人の人生をちょっと覗く感じで見てくださると幸いです。
キャスト
長子・木下美和役 田中 祐理子(たなかゆりこ)
黒沢清監督の「アカルイミライ」を観て胸を打たれ、映画俳優を志す。現在は映像作品を中 心に活動中。映画美学校アクターズ7期修了。 ミスiD2021にてアメイジングミスiD2021受賞。主な出演作は映画「淵に立つ(16/深田 晃司監督)」「フィクショナル(24/酒井善三監督)」「ライフ・イズ・ビューティフ ル・オッケー(24/石田忍道監督)」本作にて第25回TAMA NEW WAVE女優賞ノミネー ト。
俳優活動だけではなく、「TXA-TENGA by Artist-」では第二弾のモデルも務める。
次子・木下優実役 斎藤 千晃(さいとうちあき)
1990年10月22日生まれ。鹿児島県出身。映像作品を中心に活動中。 また夫婦でキッチンカーを営んでいる。そちらはイベントやケータリングを中心に活動中。
三子・木下竜矢役 小松 遼太(こまつりょうた)
静岡県熱海市出身。 大学時代に身体表現と映画を学ぶ。在学中、多数の自主映画や舞台に出演。 大学卒業後、本格的に俳優としての活動をスタート。 2023年度映画美学校アクターズコース修了。 主な出演作に『逆火』内田英治監督、『それでもお前らは平和だった。ボケ』神山大世監 督、『オキシトシン』前田航希監督、『キックボード』畔柳太陽監督、『網戸』中江伶乙監 督、『歩兵の本領』西貴大監督、などがある。石田忍道監督の前作『リバーシブル/リバー シブル』にも出演。
帽子屋店員・関 波瑠夏役 伊藤 亜和(いとうあわ)
1996年横浜市生まれ。文筆家。学習院大学 文学部 フランス語圏文化学科卒業。著書に 『存在の耐えられない愛おしさ』(KADOKAWA)『アワヨンベは大丈夫』(晶文社)が ある。4月に最新刊「私の言ってること、わかりますか」を刊行。 好きな食べ物は海藻類。
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REVIEW
混ぜる、ゆきかう、反転する。
『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、時間と空間を「どうにかする」洒脱な レシピである。ゴダールとは違うやり方で、ゴダールが生涯やり続けたことと同質ななにか を生み落とす。ひねくれたところがまるでない作品の性質は、早々にクライマックスのように料理法を明 滅させる。なんとすこやかなことか。カムフラージュや暗喩に頼らず、この監督は素手でも のを創っている。
バニラアイスに粒あんを混ぜる。きな粉も混ぜあわせる。彼は「隠し味」と呼ぶが、すぐ に「隠れてないよね」と指摘される。そう、これは隠し事のない映画だ。大理石プレート上 の卓越したシークエンスは、心情吐露ではなく、「よーし、いくぞー!」という所信表明で ある。歌をうたいながら、己の信じていることをしっかり示すから心地好い。
主人公が料理人であり、料理の様も音もきちんと凝視されるのは必然なのだ。彼=映画 は、時間と空間を混ぜ、ゆきかわせ、反転させる。「営業中」の札を「準備中」にひっくり 返すような単純さで。
食事を終えた彼女を送っていくショットが反復される。反復は生と死の境目を意識させ る。高橋さんの生死をめぐる日常的な会話。墓参り。夏祭り。あの世とこの世が隣接してい る。何度か、登場人物は全員亡くなっているのではと夢想した。たこ焼きの味。
全編に敷き詰められた日本語字幕は沈黙を意識させる。〈無音〉という文字化は、手話に よる豊かなコミュニケーションの予告であり、過去と現在がゆきかう情景を用意する。声と 字幕の関係がある時、反転する。それがエモーションなのだとわたしたちは気づく。
現実か。執筆中の小説の出来事なのか。どちらでもいい。わたしたちが生きる時間と空間 には「改善の余地がまだある」のだから。
青と白のポロシャツ。青と白の浴衣。混ぜる、ゆきかう、反転する。夏の青空が見ている。泥の寿司をあむあむ食べる。
──相田冬二(映画批評家)
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COMMENT
石川慶(映画監督)
奇想天外なのに、なぜか見覚えのあるリアルさ。たぶんそれは、石田監督が描くキャラクタ ーたちが、本当に“人間”だから。 リアルな人って、実は一番予測できなくて、だからこそ面白くて、愛おしい。 この映画は、そんな人間たちを通して、静かに、でもまっすぐに語りかけてくる。
Life is beautiful.
たぶん、それだけで十分なんだと。
ジェーン・スー(コラムニスト/ラジオパーソナリティ)
誰かのしあわせの形を勝手に決めて、それを叶えてあげようとするなんて、その力が自分に あると思うところまで含めておこがましい。忘れがちだけど、忘れてはならないことだ。
忍足亜希子(俳優)
『日常生活の風景はどの家庭でも存在してる』 人間生き物はいろいろな事情を抱えて生きています。時代の流れでマジョリティとマイノリ ティという言葉が浸透してきましたが、個性も十人色、多様性社会に変化してきています。 この作品を通して「今をどう生きていくか」もう一度自分を見直してみませんか?
五十嵐大(作家)
誰も追いつけないような速さで人生を突き進んでいける人もいれば、その場で停滞している ように見える人もいる。そしてしばしば、後者は軽んじられ、あるいは「いつまでそんなとこ ろにいるのだ」と蔑まれる。本作の美和もまさにそうだろう。
でも、主人公の“おじさん”は、そんな美和にさり気なく寄り添う。ただそばにいて、美味しい ご飯を作ってやる。それはどれだけ優しく、難しいことだろうかと、ふたりのやりとりを見守 りながら、胸の奥がじんわりと温かくなっていった。
そうして気が付く。“おじさん”と美和のことを撮り続けた石田監督の眼差しこそが、誰よりも優しいのだと。
INTRODUCTION
ブラックホールのように、人の想いも人生も飲み込んでしまう中華料理屋。
そこには“人生のレシピ”があった。
舞台はとある中華料理屋。 亡き店主の代わりに厨房に立つ牧原と、働かずに店にこもり続ける長子・美和。
第45回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2023で審査員特別賞を受賞した石田忍道 監督による長編第2作。
第25回TAMA NEW WAVEグランプリ受賞作がついに劇場公開! 物語の中心となる店主・牧原役には、次世代のバイプレイヤーとして注目される田丸大輔。 どこか掴みどころのない飄々とした存在感を持ち前のコミカルさで体現する。「人の役に立つって、つまらないじゃない」
人情ドラマかと思いきや、まさかの“パンク”が炸裂する異色のヒューマンドラマ。 中華料理屋の片隅で生まれる、破天荒な“ひと夏のファンタジー”。
STORY
牧原和章は木下家が営む中華料理屋で居候をしながら働いていた。 長子の美和は働きもせず、未完の物語を書き続ける日々。 牧原は美和のために賄いのオムライスを作る。美和はそのオムライスを食べる。 二人の日常は、変わらずこのまま続いていくものだと思われた。 ある日の営業中に訪れた客・聡美が美和の食べていた賄いのオムライスを「自分も食べた い」と牧原に頼む。
その出会いをきっかけに牧原の日常に小さな変化が生まれていく。
一方、父の命日で次子の優実と三子の竜矢が久しぶりに店に集まる。
仕事もせずパソコンとにらめっこの美和を助けたいと家族は画策するが..。
蝉時雨、牧原と木下家の人々はそれぞれの形で「今」に向き合おうとする。
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CREDIT
監督・脚本:石田忍道
田丸大輔 田中祐理子 斎藤千晃 小松遼太 伊藤亜和 平良良樹 レオ 川岸宜弘 南 翔
撮影:さのひかる 平良良樹
録音・整音:小畑智寛
照明:大澤愛花 松田恒太
テクニカルサポート:伊藤昭浩
ミドルマネージャー:斎藤千晃 藤井憂憂
手話監修:今井ミカ
フードスタイリスト:笈川端乃
音楽:MIDORINOMARU
撮影協力:国立市フィルムコミッション
制作:一眼制作シネマ
宣伝美術:M!DOR!
ビジュアルイラスト:我喜屋位瑳務
ウェブデザイン:北川太我
配給宣伝協力:細谷隆広
製作・配給:ひと夏の冒険出版 ©Life is Beautiful Okay
2024年/日本/DCP/84分/5.1ch/全編日本語字幕あり