日本では江戸時代に「美人画」というジャンルが生まれました。
洗練された衣装や優れた着こなしを絵画として愛でる文化が広まり、浮世絵師たちが描いた作品を多くの人々が求めました。
近代に入ると、展覧会の場でも美人画が重視されるようになり、日本画家たちが理想の美人画を追求し、作品は美しく、麗しく、妍(けん)を競う時代が訪れます。
「美人画」は、なぜこんなにも多くの人々を惹きつけるのでしょうか。「美人画」の尽きない魅力の源は、「君があまりにも綺麗すぎる」という、画家たちの思いでした。

このたび、京都嵐山の福田美術館、嵯峨嵐山文華館では、福田コレクションの中から選りすぐりの近世から近代にかけての約190人の美人たちを一堂に集め、その魅力に迫る展覧会「君があまりにも綺麗すぎて ―福田コレクションの美人画―」が2024年4月19日より7月1日まで開催されます。
福田美術館では2021年以来、約3年ぶりとなる美人画展です。容貌だけでなく、服飾品や背景に至るまで、画家たちがすべてにこだわって描いた美の世界をご堪能ください。

第1会場:嵯峨嵐山文華館
近世から始まる美人画のルーツを辿る—浮世絵美人の変遷

日本における美人画のはじまりは、江戸時代の浮世絵で見られる遊女などを描いた立美人図と呼ばれる作品あたりからと言われています。
第1会場の嵯峨嵐山文華館1階展示室では、美人画のルーツとなる浮世絵が紹介されています。歌川広重や葛飾北斎など、江戸で活躍した著名な浮世絵師によって描かれたものから、近世に京都や大阪で活躍した画家によるものまで、様々な作品が展示されています。

葛飾北斎《墨堤三美人図》19世紀 後期展示

葛飾北斎(1760-1849)は江戸時代後期の浮世絵師として知られ、《富嶽三十六景》で有名ですが、美人画も手がけています。
本作では、隅田川で涼む三人が描かれています。柳の葉が風にそよぐ様子が画面に爽やかさをもたらしています。

小田富弥《秋宵》20世紀 通期展示

小田富弥(1895-1990)は、挿絵画家、日本画家、木版画家。
秋らしい色合いの着物に身を包み、お酒の入った盃を手にこちらを振り向く妖艶な女性が描かれています。今にも話しかけてきそうな魅惑的な女性です。

上村松園《静御前》1910年頃 前期展示

画家たちの琴線に触れた実在のモデルを描いたものから、非実在の物語の登場人物に想いを馳せて表現したもの、さらには、記憶の中の美人を理想的な形で再現したものなど、美人画には多種多様な着想や表現をまとって私たちを惹きつけてやまない不思議な魅力があります。
松園は御用画として王朝風俗画の《清少納言》や《紫式部》を描いていました。

2階展示室(畳ギャラリー)ではさらに浮世絵の流れを汲む鏑木清方や北野恒富、伊東深水らの近代美人画の名手たちによる作品を通して、時代とともに変化していった浮世絵美人の系譜を辿ります。

第2会場:福田美術館
時代を彩った次世代の美人画—「東の清方、西の松園」の競演

「東の清方、西の松園」と称され、お互いを認めあっていた近代を代表する美人画家、上村松園・鏑木清方の共演をメインに、近代美人画の名品が紹介されています。
なかでも、福田美術館が誇る名品で、第1回文展に出品され3等を受賞した上村松園の《長夜》と、同展に同じく出品された女流画家・池田蕉園による《もの詣で》が、約120年の時を経て共に展示されるところは見逃せません。

上村松園《長夜》1907年 前期展示

京都を代表する日本画家・上村松園(1875-1949)は、女性が画家を職業として生きることが困難だった時代に、独自の美人画で道を切り開いた功績により、 女性初の文化勲章を受章しました。
松園は独自の目線で、女性の日常の何気ない生活を題材にし、長い画業のなかで多くの作品を描きました。
《長夜》では秋の夜長、読書に興じる姉妹が描かれ、その着物にも注目です。

池田蕉園《もの詣で》1907年 前期展示

《もの詣で》は池田蕉園(1886- 1917)が21歳頃に制作され、第1回文展で3等賞を受賞した作品です。出品後、長らく行方不明となっており、幻の作品とされていました。
江戸後期の女性の姿を描いた本作の中心の女性の帯や四季折々の花が描かれた着物の柄はとても美しく、細部までこだわって描かれています。

上村松園《初雪》1939年 通期展示

「美人画」とは単に美しい容姿を描いたものではなく、上品で美しい所作や、佇まい、その時代の風俗、装い、衣装の艶やかさ、そして感情の動きや内面から醸し出される美しさを描いたものが含まれます。
松園《初雪》では、美しい装い、上品でどこか儚げな女性美と楚々とした振る舞いが感じられます。

大林千萬樹《四季美人図1》20世紀 通期展示

大林千萬樹《四季美人図2》20世紀 通期展示

大林千萬樹(1887‐1959)は、富岡永洗、川合玉堂に師事した後、鏑木清方に師事しました。清方の影響を受けたのか、美しい日本情緒を感じさせる、穏やかで清楚な、気品漂う美人画です。

歌川広重や葛飾北斎などの浮世絵から、上村松園、鏑木清方や北野恒富、伊東深水らの近代美人画の名手まで、百花繚乱「あまりにも綺麗すぎる」様々な美人画をご堪能ください。

展覧会概要

会期 2024年4月19日(金)~2024年7月1日(月)                              
   <前期>4月19日(金)~5月27日(月)<後期>5月29日(水)~7月1日(月)        会場 第1会場:嵯峨嵐山文華館 第2会場:福田美術館                   住所 嵯峨嵐山文華館:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11                      
   福田美術館:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16               時間 両館とも10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)                     休館日 両館とも5月28日(火)展示替え 6月18日(火)設備点検                観覧料 嵯峨嵐山文華館一般1,000円(900円)高校生 600円(500円)
           中学生・小学生 400円(350円)※障害者手帳提示と付き添い1名 600円                             
    福田美術館 ⼀般 1,500円(1,400円)高校生900円(800円)小・中学生 500円(400円)    
             ※障がい者と介添人1名まで各900円(800円)                         
             ※( )内は20名以上の団体料金                               嵯峨嵐山文華館 福田美術館 共通券 ⼀般 2,300円 高校生 1,300円 小・中学生 750円        ※障がい者と介添人1名まで各1,300円                            ※幼児無料  
 URL 嵯峨嵐山文華館 https://www.samac.jp/ 
    福田美術館  https://fukuda-art-museum.jp/ 

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「君があまりにも綺麗すぎて」@京都 嵯峨嵐山文華館、福田美術館シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年5月13日 月曜日 24:00
記載内容
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