イタリア恐怖映画界の至宝、マリオ・バーヴァの傑作9選を特集上映!

ティム・バートン、クエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・リンチ、ギレルモ・デル・トロら、ハリウッド映画界を牽引する名監督たちに影響を与えたイタリアン・ホラー映画の父マリオ・バーヴァ。日本初紹介作品を含む彼の名作を総力特集!

マリオ・バーヴァとは

イタリアン・ホラーのみならず全世界のホラー映画に大きな名前を残した、イタリアン・ホラー黄金期を作った巨匠。1914年サンレモ生まれ。映画カメラマンであった父親の影響を受け、撮影技師として映画界入りする。1939 年には撮影監督になり、1957年には長編映画監督となる。1960年に撮ったモノクロのゴシック・ホラー『血ぬられた墓標』はホラー映画史に残る名作となる。その後『白い肌に狂う鞭』などのカラー作品のホラー映画でも高い評価を得る。1963年の『知りすぎた少女』は、その後大きな映画のジャンルとなる“ジャッロ映画”の初めての作品となり、1965年の『バンパイアの惑星』はリドリ-・スコット『エイリアン』に、1966年の『呪いの館』はジャパニーズ・ホラーを始め多くの映画監督たちに大きな影響を与える。1971年の『血みどろの入江』はスプラッター映画の最初期作品と言われ、後に『13日の金曜日』シリーズを始め、多くのフォロワー作品を生み出す事になる。1976年の『ザ・ショック』が遺作。1980年死去。息子は『デモンズ』シリーズで知られるホラー映画監督ランベルト・バーヴァ。

『モデル連続殺人!』

イタリア映画の大きなジャンルであるジャッロ映画の代表作。幻想的な映像美、謎の殺人者による残酷な殺人とジャッロ映画の原型を完成させた本作はダリオ・アルジェントをはじめ、多くの後続監督たちに大きな影響を与えた。ファッション・モデルの美女が謎の覆面をした殺人者に殺された。捜査が進むなか、殺害されたモデルの日記が発見される。モデルたちの内部事情まで詳細に記されたその日記は仲間のモデルの手に渡るが、日記を手にしたモデルたちは次々と殺されてしまう。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:エヴァ・バートック、キャメロン・ミッチェル
1963年/イタリア/89分

『知りすぎた少女』

ダリオ・アルジェント監督『サスペリア』に代表されるイタリアのスリラー映画のジャンル“ジャッロ”映画の原点と言われるミステリー。20歳のノーラは飛行機で偶然隣り合わせた男からタバコをもらう。だが、男は空港に着くや否や、麻薬所持の容疑で逮捕される。そしてノーラの周りでは知り合いが死に、強盗に遭い、人が殺されるのを目撃し…。彼女はすべてが幻覚ではないかと疑い始めた。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:レティシア・ロマン、ジョン・サクソン、ヴァレンティナ・コルテーゼ
1963年/イタリア/86分

『白い肌に狂う鞭』

名優クリストファー・リーを主演に迎えたマリオ・バーヴァの代表作。殺されたはずの夫の兄・クルトが毎晩現れ、若く美しい妻ネベンカの肌に鞭を振るう。ネベンカは酷い悪夢だと周囲に悩みを打ち明けるが、彼女の肌には不思議と打たれた跡が残っていた。クルトはまだ生きているのだろうか。一族はさらなる悲劇に見舞われる――。美しい映像の中でサドマゾの猟奇を描いた傑作ホラー。本作でマリオ・バーヴァはカラー作品のホラー映画でも大きな評価を得る。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:ダリア・ラヴィ、クリストファー・リー、トニー・ケンダル、イズリ・オベロン
1963年/イタリア/88分

『ファイブ・バンボーレ』

アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」をベースにしたサスペンス。孤島に集まった紳士淑女たちが奇妙な事件に巻き込まれ、それはやがて彼らの命の危険にまで及んでいく。モダンな美術、音楽、撮影が光る一編だが、マリオ・バーヴァ本人は“最大の失敗作”と位置付けている。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:ウィリアム・バーガー、イラ・フルステンベルグ
1970年/イタリア/78分

『クレイジー・キラー 悪魔の焼却炉』

花嫁姿の女性を殺害する連続殺人鬼の男。ある時、激昂した彼は妻を殺してしまい、焼却炉で死体を焼く。彼女は灰となり、跡形もなく消えた。ところが、彼のもとに妻の亡霊が出現し、付きまとうようになり…。連続殺人鬼の異常心理が描かれたカルト作品。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:スティーヴン・フォーサイス、ダグマー・ラッサンダー
1969年/イタリア/89分

『処刑男爵』

『血ぬられた墓標』などに並ぶゴシック・ホラー作品。『悪魔の棲む家』のサミュエル・Z・アーコフが製作総指揮を担当。オーストリアのある町で“処刑男爵”と恐れられた中世の暴君が蘇る。ジョセフ・コットンが処刑を繰り返す男爵を不気味に演じ、当時人気女優だったエルケ・ソマーがヒロインを務める。

監督:マリオ・バーヴァ 脚本:ヴィンセント・フォートル
出演:ジョセフ・コットン、エルケ・ソマー
1972年/イタリア/98分

『ラビッド・ドッグス』

劇場未公開の伝説の作品が遂に日本初公開! マリオ・バーヴァが手掛けた壮絶バイオレンスで描く犯罪映画。女性を人質に取った強盗トリオが、強盗に失敗した男の車をハイジャックする。一行は安全な場所まで逃亡することになったが…。殺戮の逃避行が幕を開ける。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:リカルド・クッチョーラ、リア・ランデール、モーリス・ポリ
1974年/イタリア/96分

『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』

トルストイ、チェーホフ、モーパッサンの短編3作品を原作にしたホラー・オムニバス。絶交した女友達からかかり続ける脅迫電話におののく女性の姿を描いた第1話「電話」、映画全体の案内役も務めるB・カーロフが主演する第2話「吸血ブルダラック」、悪霊の宿った指輪の恐怖を描いた第3話「一滴の水」の3話構成。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:ボリス・カーロフ マーク・ダモン ミシェル・メルシェ
1963年/イタリア/92分

『新エクソシスト 死肉のダンス』

カンヌ映画祭で大きな評価を得つつも配給先がなくお蔵入りになった傑作『リサと悪魔』に悪魔憑きシーンを追加撮影し、再編集した作品。『エクソシスト』の世界的ヒットにあやかり、ヒットを記録した。日本でもテレビ放送され、マニアックなファンを持つ作品。監督のマリオ・バーヴァは、本作ではミッキー・ライオン名義になっている。

監督:マリオ・バーヴァ
出演:エルケ・ソマー、テリー・サヴァラス
1975年/イタリア/92分