10月28日(月)に東京・六本木を中心に開幕したアジア最大級の映画祭・第32回東京国際映画祭が、本日閉幕を迎え、東京国際フォーラムにてクロージングセレモニーを行いました。
ジェムストーン賞や各部門における各賞の発表・授与、さらに小池百合子東京都知事も会場に駆け付け、【東京グランプリ】作品を受賞した『わたしの叔父さん』のフラレ・ピーダセン監督へトロフィー授与をおこないました。その後、各賞受賞者の方々との記者会見を行いました。

©2019 TIFF

第32回東京国際映画祭 各賞受賞作品・受賞者

コンペティション部門

東京グランプリ
『わたしの叔父さん』

『わたしの叔父さん』予告編 | Uncle - Trailer HD

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東京グランプリ/東京都知事賞 『わたしの叔父さん』 フラレ・ピーダセン監督コメント
「本当に光栄で、心臓がバクバクしています。この映画はインディペンデントの小さな作品で、少人数のクルーで一生懸命に撮影し たものです。コンペティションに選んでいただいただけでもうれしかったです。この作品をコンペティションに選んでくださった皆様、優しく おもてなしてくれたスタッフの皆さまの愛を感じました。滞在中は素敵な時間を過ごさせていただき、ホテルでも素晴らしいおもてなし の精神を感じました。おそらく舞台となった地域で撮影するのは初めてではないかと思います。デンマークの皆様にも感謝いたします。そして最後になりますが、観客の皆様にも感謝申し上げます。この映画を観てくださった、素晴らしい観客の皆様が素晴らしいリアクション・質問をし て下さいました。」

審査員特別賞
『アトランティス』

『アトランティス』Clip | Atlantis - Clip HD

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最優秀監督賞
サイード・ルスタイ監督『ジャスト 6.5』

『ジャスト 6.5』予告編 | Just 6.5 - Trailer HD

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最優秀女優賞  ナディア・テレスツィエンキーヴィッツ『動物だけが知っている』
最優秀男優賞   ナヴィド・モハマドザデー『ジャスト 6.5』
最優秀芸術貢献賞 『チャクトゥとサルラ』

最優秀脚本賞
足立 紳監督『喜劇 愛妻物語』

足立 紳監督
©2019 TIFF

足立紳監督コメント
「まだ監督は2作目、本業はシナリオライターなので脚本賞が取れて助かりました。この作品は私生活をさらけ出していますが、私と妻をそのまま演じていただいたわけではありません。濱田岳さんと水川あさみさんが、シナリオの文字をあそこまで体現してくれました。それによってできた映画だからこそ、脚本を評価していただいたと思いますので、俳優さんに感謝したいです。小さな個人的な話 を映画にすることができたスタッフさんに感謝したいです。コンペの中では珍しい、ただ笑えるだけの喜劇を選定してくれた矢田部吉彦さんに感謝したいです。」

観客賞
『動物だけが知っている』

『動物だけが知っている』クリップ | Only the Animals - Clip HD

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アジアの未来部門

作品賞
『夏の夜の騎士』

『夏の夜の騎士』予告編 | Summer Knight - Trailer HD

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国際交流基金アジアセンター特別賞 レザ・ジャマリ監督『死神の来ない村』

審査員記者会見
〈審査を終わって一言〉

チャン・ツィイー審査委員長
「みなさんこんばんは。オープニングが昨日のように感じ、閉幕まであっという間でした。改めて東京国際映画祭に御礼を申し上げたいと思います。ハイレベルな映画を観る機会を与えて下さってたくさん素晴らしい作品を観ることが出来ました。東京で様々な素晴 らしい作品に出会うことが出来ました。またすぐ再会したいです。」

ビル・ガーバー
「今回は審査委員を務めさせていただき、非常に楽しい時間を過ごさせて頂きました。審査委員メンバー内でも仲良くなれました。 審査員内で意見をシェアしてかなりの議論を重ねたが、公平な判断となりました。東京もエンジョイ出来た。マイケル・ノアーさんと 都内をサイクリングして、楽しい探検の旅を満喫できました。」

ジュリー・ガイエ
「皆様も仰っているように、審査員同士、非常に仲良くさせて頂いた。審査員として東京に来たことは特権だと思った。審査をする上でコンペ作品を1本ずつ貸し切りの劇場で観るなど、組織の運営がハイレベルだと思います。非常にハイクラスな映画祭だと思う。 感謝いたします。」

マイケル・ノアー
「都内のサイクリングはエンジョイしました。審査員を務めさせていただき、長年忘れかけていた映画を観る喜びを思い出させてくれた。 映画学校にいた時は、友だちとひたすら映画を観て映画について語り、全くプライベートはなかったのですが、すごく楽しかったなと思いだしました。映画を通して話をすると、その人の深いところを知ることができると再確認しました。審査員の皆さんと議論を重ねるこ とでお互いを知ることができた。

廣木隆一
「東京にいながら遠い存在だった映画祭がど真ん中で身近な存在になった。皆さん映画に愛情があった。映画祭は人と人との出会いが大事だと感じさせてくれた。みなさんが映画のいいところを見ようとしていて、それを同じく感じることができた。僕も頑張らない と、と思った。」

Q:グランプリの決め手は?全体を通した総評

チャン・ツィイー
「答えは簡単。満場一致で単純に良い作品だった。コンペの14本の作品は、『喜劇 愛妻物語』のようなコメディ、『動物だけが知っている』のような作品もあって多種多様な作品が選ばれている。素晴らしい脚本や素晴らしい役者の演技などリッチなセレクションだった。」

Q:国際的な視点を持って、映画祭の全体の盛り上がりや雰囲気。他の映画祭と比べていい点や改善は?
チャン・ツィイー
「かつてカンヌで審査委員を務めたことがある。カンヌは9人の審査委員いるが、東京は5人。あまり喧嘩が少ないと思う。映画祭にとって大事なのは作品。つまりどんな作品がコンペに揃って、それを我々がどう世界に発信することが大事。どんな作品を選び、それを多くの人に見てもらうことが大切。私もなぜこの作品が色々な人に見てもらうことになるのか、ということをいつも考えている。

ジュリー
「言葉の壁があったということもあり、普段観ることができない作品がたくさんあった。珍しい映画をたくさん見られるということが映画祭ならではだと思う。ウクライナが舞台の作品が、ロシア語通訳を介してのスピーチがあったり、レアな地域や言語の映画がたくさんあって、中国映画でもモンゴルを舞台にしたものもありました。『わたしの叔父さん』が劇場公開されたら走ってでも見に行く。なかなか見ることができない映画がフランスでもあるように日本でもそういう状況であるということは察する。私はプロデュ-スや配給もやっているので、フランスでも配給したいなと思う作品もあった。

廣木
「いつもと立場が違うことが、今でも恥ずかしい。その国々の映画でとても攻めている。こういう映画を観ることが出来て、いい刺激に なった。」

最後に一言。
チャン・ツィイー
「とても強く感じたこと。東京映画祭がどんなキャラクターでどんなDNAをもっているのかが大切。どの映画祭でもカラーがあるから、 これから東京映画祭がどんな立ち位置を国際的に確立していくのかが大切なこと。」