「幽霊は本当にいるのか?」――人類史上最大の謎に迫る戦慄の<心霊検証>ホラー『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』が7/21(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国順次公開となりました。

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オカルト否定派の教授が始めた、“絶対にトリックを暴けない”という3つ怪奇現象の調査。
そこで彼を待ち受けていたのは、想像を絶する恐怖だった……。
原作は、世界中で100万人を動員した大ヒット舞台「ゴースト・ストーリーズ」。今や国際的スターとなった英国俳優マーティン・フリーマンが脚本に惚れ込み、メインキャストを演じています。

7月21日(土)に、東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷にて映画公開を記念して、初日トークイベントが行われました。
TBS番組「クレイジー・ジャーニー」でも有名な怪談やオカルト研究家である吉田悠軌(よしだゆうき)さんに、映画上映前に登壇いただきました。

吉田悠軌氏

まず映画の感想を吉田さんに聞いてみると「僕から観て、まずこの(ジェレミー・ダイソン&アンディ・ナイマン)監督さん2人は、ホラーも好きなんだろうけど、怪談も好きなんだろうな、という感じでしたね。(2人は)怪談をよく分かっている。」と感想を語った。

MCから「通常、私たちは“怪談”も“ホラー”も同じジャンルだろうと考えがちですが、明確な違いはありますか?」と質問に吉田さんは「明確な違いというか、キッパリと分かれている訳ではないんですけど、恐怖文化という意味では同じですが、ホラーと怪談は分けて考えて欲しいですね。ホラーというのは例えば、怪物にワッと出てきて襲われるような恐怖、命の危険にさらされて、何度かそれと緊張を保ちながら、逃げたり、戦ったりするという感覚。殺人鬼に追いかけられるような恐怖、ですよね。恐怖ってそれだけじゃなくて色んな感情のヒダがあるんですよ。」と、ここまで話したところで、吉田さん、急にある左前方の客席に目をやり、突然「え、そこの人、何で首が逆さまになっているんですか?」と観客に語り掛け。会場も「え?」というように一瞬静まりかえったが、すぐに笑い声に包まれた。「……って、なったら怖いじゃないですか(笑)。これは殺人鬼に追いかけられる感情とはまた違う感情ですよね。怖さの質が違うので、笑いにも色んな種類の笑いがあるように、恐怖にも色んな恐怖があるんです。怪談というのは、ホラーよりはそこまで露わじゃなく、ちょっと隠されていて……想像させられるものだと思います。直接、命の危険にさらされるというよりは、何か異世界のものが一瞬だけふっと現れて私たちに接触してくる。そういった恐ろしさですね。」と説明した

MCから「日本では古くから多くの怪談がありますし、日本人も大好きだと思います。英国も“オカルトの本場”と言われていますが、何か共通性があったりするのでしょうか?」と投げられると、「そうですね、イギリス人はオカルト全般も好きなんですが、怪談も好きですね。実はイギリス人と日本人は世界で双璧を成すくらい“怪談”好きなんです。どちらかといえば他の国々が好むのは、“ホラー”なんですよね。恐怖の質が。血がバーンと飛び出るような。でもイギリス人って、怪談的な怖さが好きなんですよね。英国と日本って、どちらも島国で、様々な文化の到着点にもなっています。様々な民族の人々が流れてきて、文化や歴史が地層のように重なり、今でも残されている。過去の。ストーンヘンジとかもそうですし。異世界のものがすぐそばでリアルにある中で、そういうものに接し続けてきた。(両国とも)そうして千年、二千年と培ってきたから、恐怖の感性が共通しているんだと思います。」と、二つの国に共通する感性の理由を語る。

続いてMCより「今回、吉田さんには、劇場パンフレットにも英国のお薦めの心霊ツアーについて寄稿いただいているが、そこに書かれていない、お勧めのお話を教えてください」と尋ねられると、「ちょっと注目しているのは、都市伝説に近いものなんですけど、【泣く少年の絵】というのが、一時期、イギリスで流行った事があります。大体、1960年頃にデパートとかで結構売り出されていて、インテリアとしてその絵のレプリカが売れたようです。その絵は実は、その子は家を火事で失くしてしまった孤児で、その子も【火をおこす能力】があったようなんです。画を描いたのはイタリアの画家なんですけど、その男の子が「自分の周りのものが全部すぐ燃えてしまうので悲しい」と泣いている姿を書いたのがその絵のなんです。その画家のアトリエもその画家自身も、その後火事で燃えてしまって、男の子はその後、交通事故で無くなったらしいです。その後、イギリスのある地方では、消防士たちがまず気付いたようですが、よく最近火事が起こる、その燃えた家の跡からは、その【泣く少年の絵】が燃えずに残っているというのです。それがイギリス「サン紙」がゴシップ的に記事にして大流行となったようで、絵を持つ人々がその絵を燃やしまくったようです。」と驚きの話を語ってくれた。「まだ絵はいくつか残されていて、今でもe-bayで買えます。僕の友人も買いましたし(笑)。」

MCより「実際、幽霊に会った事はあるんですか?」と聞かれると「いえ、僕は見たことは一切ないです。霊感もないですし。周りには体験している人はいますが。」映画では、オカルト否定派の教授が、心霊現象を「いないんだ」と信じ、トリックを暴いていきますが、実際はいると思うかを改めてMCから聞かれると、「絶対いると思っていないし、絶対いないとも思っていないですね。いるってなった時点で、それはもう幽霊じゃない。科学的に証明された時点で、それはもう心霊現象じゃなくなる。いるのか、いないのかって宙ぶらりんになっているのが心霊現象だと思います。それが怖いし面白いところ。」とコメント。
また、「最近はJホラーが世界の映画に影響を与えているかな、と思いますね。Jホラーの成功以降、怪談的な表現というのは、それ以前と比べると増えたかなと思いますね。ホラーの中でも、何かが幽霊とかがフッと通り過ぎるとか、特に不条理な何か起こるとかの怖さとか、そういう気持ち悪い怖さとか日本人的感性のものが増えたかなとは思います。Jホラー自体も、元はイギリス的な感性を参考にしていたりするんです。それはイギリスで活躍した米国人作家、ヘンリー・ジェームズの小説『ねじの回転』というホラー小説だったり、映画だったりがJホラーに影響を与えていると思います。」と語った。

また今月の「月刊ムー」への紹介記事の中で、英国とイギリスの関連について吉田さんが書かかれていた話に流れると「19世紀後半から、20世紀初頭にかけて、英国心霊主義というのが台頭して、それこそこの映画のような幽霊はいるのか、いないのかを、科学的に証明できるんじゃないかっていう動きがありました。本作には、『SHERLOCK/シャーロック』のマーティン・フリーマンが出演しているということもあり、彼のファンとか多く来場されていると思いますが、あのコナン・ドイルもド嵌りしたんですよね。それで、当時、三菱の創始者である岩崎弥太郎さんも英国ケンブリッジ大学にいたので、影響があったのかな?といような記事を書いたんです。だから心霊現象は合理主義のコインの裏表というようなところがあって、いわゆる近代合理主義から生まれたシャーロック・ホームズというが一番の象徴的なキャラクターじゃないですか。観察して、分析して、解明するという。でも、そこまで行き過ぎると、逆にホラーとか、幽霊とか、心霊にくるっと反転したりするんですね。そうじゃない物、そこから漏れるものとして。そのあと、コナン・ドイルは神秘主義、心霊主義にど嵌りしていましたし。で、日本ではというと、推理小説とホラー表現などは相性がいいんですよね。江戸川乱歩もそうですし、横溝正史もそうです。結局それは、近代的な解明をして、観察して、分析して、解明するという完全に近代自然科学の手続きっていうものが、逆にそこからこぼれ落ちるものが神秘、心霊、オカルトと相性がいい、そっちはそっちで行き着いちゃう。異世界とか、死とかは解明できないものですから。解かれない不思議に惹かれるのはイギリス人の特徴だし、日本人も似たようなところがあるますね。」と締めくくった。(終)

■吉田悠軌(よしだ・ゆうき)氏プロフィール怪談蒐集家。オカルト探偵。東京都出身。怪談サークル「とうもろこしの会」会長。オカルトスポット探訪マガジン『怪処』編集長。怪談現場、伝奇スポットへの探訪をライフワークとして、執筆活動やメディア出演を行う。著書に『ムー実話怪談「恐」選集』(ムー・スーパーミステリー・ブックス)、『一行怪談(二)』(PHP文芸文庫)、『一行怪談漢字ドリル 小学1・2年生』(幻冬舎)などがある。

マーティン・フリーマン主演[心霊検証]ホラー『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』予告編

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<STORY>

心理学者のフィリップ・グッドマン教授は、イギリス各地でニセ超能力者やニセ霊能者の嘘を暴いてきた。ある時グッドマンは、長らく行方不明になっていた憧れのベテラン学者・キャメロン博士から「自分ではどうしてもトリックが見破れない」という3つの超常現象を調査するよう依頼を受ける。初老の夜間警備員、家族関係に問題を抱える青年、妻が出産を控えた地方の名士……3人の超常現象体験者に話を聞くため、グッドマンは旅に出る。しかし、そこで彼を待っていたのは、信じがたい怪奇現象の数々と想像を絶する恐怖だった……。

監督・脚本:ジェレミー・ダイソン&アンディ・ナイマン
原作:「ゴースト・ストーリーズ」byジェレミー・ダイソン&アンディ・ナイマン
出演:アンディ・ナイマン、アレックス・ロウザー、ポール・ホワイトハウスandマーティン・フリーマン

2017年/イギリス/英語/ 98分/シネスコ/ DCP /カラー/ 5.1ch /原題:GHOST STORIES / PG-12 /日本語字幕:ブレインウッズ/
配給:トランスフォーマー 
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