ベルリン国際映画祭 2018 に正式出品された『港町』が絶賛公開中、さらに初めてアメリカを舞台に映した『ザ・ビッグハウス』 が 6 月 9 日より公開中となる想田和弘監督。
連続新作 2 作品の公開を記念して、渋谷シアター・イメージフォーラムにて特集上映 【想田和弘と世界】の開催が決定いたしました。
未ソフト化の『牡蠣工場』の上映、さらに豪華ゲストを招いてのトークイベントなども予定しております。

【想田和弘と世界】の開催が決定!
なぜ想田和弘はドキュメンタリーを撮るのか? 「観察映画」とは何か?
その全貌を劇場初公開のリマスタリング版で一挙上映。

事前のリサーチやテーマの設定をせず、ナレーションや音楽を一切使用しないなどといった「観察映画の十戒」を自ら掲げ「観察」をキーワードにドキュメンタリー映画の制作を続け、ベルリン国際映画祭正式招待・2007 年公開の 『選挙』以降、コンスタントに作品を発表し続ける想田和弘監督。

公開中の新作『港町』まで一挙公開される初の特集上映です。「観察映画」の軌跡と、その進化・深化が堪能できる 1 週間となっています。

6/3(日)には珠玉の 5 時間 42 分『演劇1』『演劇2』の上映後、青年団の演出部にも所属する、劇作家・演出家・俳優の岩井秀人さんと想田和弘監督によるトークショーも開催。ほか、豪華ゲストをお招きしてトークイベントも開催予定です。詳しくは公式 HP,FB ページでお知らせいたします。

■上映作品:全 8 作品

※コメントは敬称略,封切時のチラシ等より転載.

◎『選挙』観察映画第 1 弾

|120 分|2007 年 ◎リマスタリング版初上映

(C)Laboratory X, Inc

ニッポンの民主主義を大解剖 選挙運動の裏まで見せた史上初のドキュメンタリー

米国ピーボディ賞,ベオグラード国際ドキュメンタリー映画祭・グランプリ受賞.ベルリン国際映画 祭ほか正式招待

(C)Laboratory X, Inc

「日本のどぶ板政治の典型とも言える市会議員選挙の舞台裏に密着したカメラは、最後まで近からず 遠からず微妙な距離感を保ち続けて、見事にニッポンの根っ子を活写した。このダイレクトシネマは監 督の想田和弘が、日本を離れアメリカに暮らした余所者の視点で最も日本的な集団と組織のあり方を 見つめたが故に可能になったのであろう。そこにこの映画のユニークな新しさがある。」
ー佐藤真(ドキュメンタリー映画監督『阿賀に生きる』)

◎『精神』観察映画第 2 弾

|135 分|2008 年 ◎リマスタリング版初上映

(C)Laboratory X, Inc

これまでタブーとされてきた精神科にカメラをいれ、「こころの病」と向き合う人々がおりなす悲喜こもごもを、モザイ ク一切なしで鮮烈に描きだす。

釜山国際映画祭・最優秀ドキュメンタリー賞,ドバイ国際映画祭・最優秀ドキュメンタリー賞,香港国際映画祭・優秀ドキュメンタリー賞受賞.ベルリン 国際映画祭ほか正式招待.

(C)Laboratory X, Inc

「進化するメディアを媒介にして二分化が進む。そのひとつが精神の正常と異常。その二分がいかに空しいものであるかを、この作品は教えてくれる。狭間が いかに豊かであるか、そしてその狭間こそが僕らが生きている領域であることを、しっかりと呈示してくれる。想田に言いたい。ありがとう。あなたはまた、世界 をひとつ広げてくれた。」
ー森 達也(映画監督/作家)

◎『Peace』観察映画番外編

|75 分|2010 年 ◎リマスタリング版初上映

(C)Laboratory X, Inc

平和へのヒントは、野良猫たちから教わった。
東京フィルメックス・観客賞,香港国際映画祭・最優秀ドキュメンタリー賞,ニヨン国際映画祭・ブイエン&シャゴール賞受賞.韓国・非武装地帯ドキュメンタリー映画祭・オープニング作品.

(C)Laboratory X, Inc

「何も物語が生まれないと思い込んでいる日常が、鮮やかに立ち上がる瞬間。小さな世界、猫たちのルール、ゆるやかな変化と調和。不満と諦め、たまにきら めき。「平和」はいつもわたしたちの手の中にある。」
ー今日マチ子(漫画家「センネン画報」「みかこさん」)

◎『演劇 1』 観察映画第3弾
◎『演劇 2』観察映画第4弾

人間とは、演じる生き物である――想田和弘監督が迫る、劇作家・平田オリザと青年団、そして現代社会。

ナント三大陸映画祭・若い審査員賞受賞.釜山国際映画祭ほか正式招待.

◎『演劇 1』 観察映画第3弾

|172 分|2012 年

(C)Laboratory X, Inc

『演劇 2』観察映画第4弾

|170 分|2012 年 ◎リマスタリング版初上映

(C)Laboratory X, Inc

(C)Laboratory X, Inc

「たいへんに面白かった。何がどう面白かったのか、手持ちの映画批評の用語ではうまく表現できない。そういう種類の経験だった。この映画の「成功」(と言っ てよいと思う)の理由は二つある。一つは「観察映画」という独特のドキュメンタリーの方法を貫いた想田和弘監督のクリエーターとしての破格であり、もう一つ は素材に選ばれた平田オリザという世界的な戯曲家・演出家その人の破格である。この二つの「破格」が出会うことで「ケミストリー」が生み出された。二人が それぞれのしかたで発信している、微細な歪音がぶつかりあい、周波数を増幅し、倍音をつくり出し、ある種の「音楽」を作り出している。」ー内田樹(凱風館館長)

◎『選挙 2』観察画第5弾

|149 分|2013 年 ◎リマスタリング版初上映

(C)Laboratory X, Inc

民主主義の素顔とは?想田和弘監督が再び挑む、知られざる選挙の裏側。
現代ニッポンの限界と可能性。

シネマ・デュ・レエル,MoMA ドキュメンタリーフォートナイト,ドバイ国際映画祭,香港国際映画祭ほか正式招待.

(C)Laboratory X, Inc

「山さん、ストライクス・バック!!! いまだかつて、こんな「政治ドキュメンタリー」が、そしてこんな「反原発映画」があっただろうか? と同時に、これは一種 の「活劇映画」でもある。このヒーローならざるヒーローの、破天荒で孤独で悲喜こもごもの戦いを、われわれ観客は固唾を呑んで見守ることになる。」ー佐々木 敦(批評家)

◎『牡蠣工場』観察映画第6弾

|145 分|2015 年

(C)Laboratory X, Inc

美しき瀬戸内の海。
過疎の町にグローバリズムがやってきた。「歴史の歯車」が、いま、静かに回りだす!

キノタヨ映画祭で観客賞(最高賞)受賞.ロカルノ国際映画祭,ナント三大陸映画祭,バンクーバー国際映画祭,香港国際映画祭ほか正式招待.

(C)Laboratory X, Inc

「観察する「カメラ=身体」は記述の道具ではなく、偶然性を受け入れ、変化する現場の一部となるくらいダイナミックで生き生きとしている。」港千尋(写真家) 「大切なことは、いつも小さな声で語られる」。本作の、カメラはそう言っているように思える。」ー平川克美(文筆家)

◎『港町』観察映画第 7 弾

|122 分|2018 年

(C)Laboratory X, Inc

生きて、死ぬ。死んで、生きる。比類なき映画体験。ドキュメンタリーの驚天動地。

ベルリン国際映画祭,シネマ・デュ・レエル,香港国際映画祭ほか正式招待

(C)Laboratory X, Inc

「人の営みというものを成り立たせている根幹のサイクルを、これでもかという丁寧さで「観察」してゆくカメラ......ミクロからマクロを浮き上がらせる視点の鋭さ は相変わらず流石!というほかないが、 今回の作品ほど、切り取られた「その時間」の絶対的なかけがえなさと、儚さを思い知らされたことはなかった。ほと んど神話的と言っていいような余韻を残す、これは間違いなく想田さんの新境地!」ーライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)

■開催日程:2018 年 6 月 2 日(土)―6 月 8 日(金)
■劇場:シアター・イメージフォーラム(渋谷区・宮益坂上)
■料金:当日一般 1,500 円|学生・シニア 1,200 円|会員 1,100 円 (『港町』のみ当日一般 1,800 円)

■スケジュール
6月2日(土)13:00 牡蠣工場|16:00 港町 ★上映後:トークあり(ゲスト調整中)|19:30 Peace
6月3日(日)13:00 演劇1|16:25 演劇2
★上映後トーク:岩井秀人さん(劇作家・演出家・俳優)×想田和弘監督
6月4日(月)13:00 精神|15:45 Peace|17:30 演劇1
6月5日(火)13:00 港町|15:30 牡蠣工場|18:30 選挙
6月6日(水)13:00 Peace|14:45 選挙|17:15 選挙2 ★上映後:トークあり(ゲスト調整中)
6月7日(木)13:00 選挙2|16:00 精神|18:45 港町
6月8日(金)13:00 Peace|14:45 牡蠣工場|17:40 港町 ★上映後:トークあり(ゲスト調整中)

6 月 9 日(土)より公開 観察映画第 8 弾『ザ・ビッグハウス』

ディス・イズ・ア・メ・リ・カ!
「観察映画」史上最高のスペクタクルで描かれるアメリカ合衆国の光と影

(C)2018 Regents of the University of Michigan

ついに想田和弘がアメリカで観察映画を撮った。しかも舞台は、全米最大のアメリカンフットボール・スタジアム、 通称“ザ・ビッグハウス”。パブリック・アイビーと称される名門ミシンガン大学が誇るウルヴァリンズの本拠地だ。 収容人数は10万人以上、地元アナーバー市の総人口に迫る。

想田を含めて 17 人の映画作家たちが廻すキャメラが捉えたダイナミックなプレイ、熱狂する観衆、バックヤード で国民的スポーツを支える実に様々な人々...。それらの映像群が、想田の大胆かつ緻密なモンタージュによって、 まるで巨大な生命体のように機能するスタジアムの全貌を描き出していく。 それは現代アメリカの縮図でもある。
教育とスポーツとビジネスの関係。人種や階級、格差、宗教問題。台頭す るナショナリズムやミリタリズム...。
アメリカが誇る文化と抱える問題とが、“ザ・ビッグハウス”という小宇宙に浮かび上がる。撮影は 2016 年 の秋、奇しくもドナルド・トランプ大統領誕生へと至る選挙戦の最中に行われた。

(C)2018 Regents of the University of Michigan

監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作:柏木規与子
製作会社:Laboratory X, Inc
配給:東風+gnome
(c)Laboratory X, Inc