10 月 5 日に発表された日系英国人作家カズオ・イシグロ氏 2017 年ノーベル文学賞受賞報を受け、Bunkamura ル・シネマで 10 月 28 日(土)~11 月 10 日(金) 2 週間、同氏代表作を映画化した『日の名残り』 特別上映を実施しました。

予想以上の反響があり、中には仙台や長野など遠方から駆けつけてくださった映画ファンの方や、会期中にリピートされる方も。全 14 回が早々に満席となる大盛況となったため、急きょ会期を 2 週間延ばし 11 月 24 日(金)まで上映を継続。この追加上映も全 14 回中、9 回が満席、5 回がほぼ満席となり、 特に終盤は駆け込みのお客様で劇場が溢れました。

客層は 、10 代から 80 代まで幅広い年齢層の来場がありましたが、朝の上映だった こともあり、シニア層が主体。「観たいのに観られない 」というお客様の声をうけ、この度、ストックホルムでノーベル賞授賞式が開催される 12 月 10 日(日)を会期に含む 12 月 9 日(土)~12 月 15 日(金)に夜の時間帯(連日 19:15~21:30)にアンコール上映が開催されています。

原作は 、1989 年に出版されたカズオ・イシグロ氏の第 3 作にして、代表作。
英語圏最高の文学賞とされるブッカー賞を 35 歳の若さで受賞した同氏 名前は一躍世界に知られ、イギリスを代表する作家となった。
1993 年に映画化された本作 、第 66 回アカデミー賞で作品賞、 主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚色賞、作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞 8 部門にノミネートされた。
特に、『ハワーズ・エンド』に 続く共演となった名優アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの 抑制された演技は高く評価された。いまは亡きクリストファー・リーヴや、 若き日のヒュー・グラントが脇をかためているのも魅力。

監督は、『眺めのいい部屋』『モーリス』『ハワーズ・エンド』をはじめとする数々の傑作で英国 伝統美とエレガンスの中に人間関係の機微を描き続けてきた名匠ジェームズ・アイヴォリー。
実際のカントリーハウス (英国貴族の邸宅)で撮影された本作に登場する麗しい調度や、当時の上流階級の紳士淑女や使用人たちの衣装、クラッシックカーの数々 、眼福の一言。
現在日本でも高い人気を誇る英国ドラマ「ダウントン・アビー」 の世界観にも通じる。今夏公開され話題となった『ハイドリッヒを撃て』に連なるミュンヘン会談の裏側を英国側の視点から描いており、歴史映画ファンにも興味深い要素がある。

Bunkamura ル・シネマ 2006 年にカズオ・イシグロ氏のオリジナル脚本をジェームズ・アイヴォリーが映像化した『上海の伯爵夫人』、 2011 年に同氏が原作・製作総指揮を務めた『わたしを離さないで』を封切り上映した縁があり、受賞を祝した今回 特別上映を決めた。 『日の名残り』をセレクトしたのは、1930 年代に別れて 1950 年代に再会した主人公ふたりのように、1994 年 3 月 日本封切から 24 年近くを経た今、観客の皆様にもこの作品に再びスクリーンで出会っていただきたいから。「もしかして、若い頃に背伸びして観て、退屈な映画だと感じた方もいるかもしれません。当時、働き盛りで、今は人生のたそがれ時を迎えている方もいるかもしれません。年齢を重ねて改めて見なおすと、また違った感情を抱く作品だと思います。原作と映画でラストが異なるので、本は読んだけれど映画は未見という方にも是非ご覧いただきたいです」と番組編成担当者は語る。
”恋愛シーンのない”ほろ苦い大人の恋愛映画の名作を、スクリーンで観れる数少ないチャンスとなる。

STORY
1958 年。ダーリントン邸の老執事スティーブンスのもとに、以前共に屋敷で働いていた女性ミス・ケントンから一通の手紙が届く。懐かしさに駆られる彼の胸には20 年前の思い出が蘇る。当時、主人に対して常に忠実なスティーブンスと勝気なケントンは仕事上の対立を繰り返していた。
二人には互いへの思慕の情が少しずつ芽生えていたが、仕事を最優先するスティーブンスがそれに気づくはずもなかった。そんな中、ケントンに結婚話が持ち上がる。それを知ったスティーブンスは激しく動揺するが・・・。

監督:ジェームズ・アイヴォリー
原作:カズオ・イシグロ
出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ジェームズ・フォックス、クリストファー・リーヴ、ヒュー・グラントほか
1993年/イギリス/134分/ブルーレイ上映/原題:THE REMAINS OF THE DAY
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 

12/9(土)~15(金) 1 週間限定 連日 19:15~21:30(予告なし) 鑑賞料金 1,200 円