30年前に”静かな騒動”を巻き起こした映画『ゴンドラ』を今の時代に問うー

30年前、時代はバブルの真っ只中。
一つの映画が”静かな騒動”を巻き起こした。
今以上に自主映画の公開が困難だった時代ーこの作品『ゴンドラ』が作られ、最初の自主上映の小さなさざ波から、拡散し評判を呼ぶ。
そして、翌年ついに劇場公開され観客の心に響いていった。

映画の評判は、国内の上映にとどまらず、国外でも多くの映画祭で受賞を果たし、上映が繰り返された。

そして、詩情あふれた映像のリリックな珠玉の作品として多くの人々の記憶に残るものの、それから再度上映されることもなく、いつしか伝説の作品となっていく。

伊藤智生監督の、描いたその作品はその時代の表層の華やかさとは裏腹に、疎外感、喪失感を持った一人の少女”かがり”と偶然出会った寡黙な青年”良”の心の物語。

ごく普通の登校拒否の少女の奥底に、秘めたその空虚な眼差しを描いた『ゴンドラ』。
30年の時を得て、今一度、35mmとデジタルリマスターで再上映し、昔以上に心を閉ざして、居場所のない子供たちがいる今の時代に再び問うという。

古いけれど新しい・・・大事な忘れ物を思い出させてくれるこの映画を、ますます先が見えにくくなったこの現代に彷徨い、浮遊する、たくさんの“孤立する魂”に、今、あらためて届けたいという願いから再上映を決心したというー

映画『ゴンドラ』シーン

TOHJIROこと伊藤智生監督インタビュー風景

シネフィルでは、この『ゴンドラ』の伊藤智生監督の生き方とこの幻になっていたこの作品にフォーカスして、単独インタビューを行いました。

この『ゴンドラ』のメガホンを取ったのは、AVの世界で、その作品数が1000本を超え知らない人のいないTOHJIRO監督。
当時の映画製作はフィルムでしか作れない世界。自主制作の作品だけに多くの借金を背負った監督は、ふとしたきっかけで、この世界に入っていく。

そして、その現場で出会う女優たちの多くが、『ゴンドラ』の主人公となる少女”かがり”が大人になった姿であることを感じたのだという。
そこから、いつしか30年近くの月日が過ぎ去った今、あらためて幻の作品『ゴンドラ』を世に出すのは、現代も、変わらずどこにでもいる多くの”かがり”の存在を知ってほしいという思いだったー

『ゴンドラ』が生まれたわけを語る伊藤智生監督

映画『ゴンドラ』インタビュー (前半)

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ストーリー
高層ビル街の上空で、ゴンドラに乗って黙々と窓を拭く青年。
窓ガラスの向こう側は彼にとって音のない別世界。
眼下にはミニチュアールな都会の光景
―ノイズが波の音に聴こえ、彼の目には海の幻が重なる ―。

11歳のかがりは、母・れい子とふたりでマンション暮らし。
母は音楽家の夫と離婚し、夜の仕事で忙しい。
かがりの晩ごはんは個食。
彼女のひとり遊びの相手は、二羽の白い文鳥、
そして音叉の響きに耳を澄ますことだった。
―Aの音― その響きは、かがりの心を落ち着かせ、調律した。

ある日、鳥かごの文鳥が激しく争い、1羽が傷つく。
瀕死のチーコを両掌に抱きとり、
茫然自失として立ち尽すかがりを、
窓の外を降りてきた窓掃除の青年が目撃する・・・そして・・・

伊藤智生監督『ゴンドラ』予告(完成版)

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出演
上村佳子・界 健太(新人)
木内みどり・出門 英
佐々木すみ江・佐藤英夫
鈴木正幸・長谷川初範(友情出演)
奥西純子・木村吉邦

原案・脚本 伊藤智生 棗 耶子
撮影 瓜生敏彦
照明 渡辺 生
編集 掛須秀一
音楽 吉田 智
音響 松浦典良
効果 今野康之
録音 大塚晴寿
助監督 長村雅文 飯田譲治
ネガ編集 小野寺桂子
衣装 藤井 操
美術装置 張ケ谷 実
メイク 立川須美子
アニメーション制作 スタジオぎゃろっぷ
制作進行 四海 満 小宮 真
プロデューサー 貞末麻哉子
監督 伊藤智生(TOHJIRO)
製作OMプロダクション 1986年制作 公開年度1988年
オリジナル・フィルム=35mm・スタンダード・イーストマンカラー・劇映画・112分
デジタル・リマスター版 制作・配給 Teamゴンドラ

2017年1月28日より 渋谷・ユーロスペースにて 一週間の限定レイトショー
(オリジナル35ミリフィルムで上映)
2017年2月11日より ポレポレ東中野にて二週間
(デジタル・リマスター版にて上映)