この春、話題の日本映画となっている『モヒカン故郷に帰る』と『下衆の愛』。
”モヒカン”と”ゲス”の監督座談会、独占公開 !
「南極料理人」「横道世之介」の沖田修一 監督最新作『モヒカン故郷に帰る』と『グレイトフルデッド』の内田英治監督『下衆の愛』をめぐってイギリスの映画プロデューサーアダム・タレルとのスペシャルな座談会---後編です。

沖田修一監督「モヒカン故郷に帰る」×内田英治監督「下衆の愛」
×アダム・トレル 海外配給プロデューサー 
公開記念特別座談会 後編

内田英治監督×沖田修一監督×アダム・トレル座談会 (後編)

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作品作りにおいて重要なことは何ですか。

内田「僕はやっぱり監督の個性がでてるものが好きですね。」

沖田「そうですね。」

内田「基本オリジナルが好きなんですけれども、原作ものでも、たまに個性がバーッとでる人っているじゃないですか。そういう作品を推します。」

沖田「この人が作ったっていうね。漫画とかでもこの人の画みたいな強さから映画館で観るときはありますよね。一目観てこの人の作品だってわかる。」

内田「でも、そういうのは最近ですね。昔は結構商業映画をやっていたので、全然そういうことを考えていなかったんですけれども、最近インディーズを意識し始めてますね。」

沖田「それはでも、どっからくるんでしょうね。」

内田「どっからくるんですかね。『キツツキと雨』も『モヒカン故郷に帰る』も沖田さん以外の人が撮ったら全然違う映画になるじゃないですか。同じ脚本でも。脚本の時点から監督がというか、僕は自分で書くのが重要だと思っていますけれども。そうじゃないっていう人も多いので、誰が撮っても同じだろっていう映画もありますからね。そういう意味では個性的な映画がいい。」

沖田「物凄い偏見に満ちていたりすると逆に笑えてきたりね。」

内田「それも凄い個性ですね。」

沖田「こだわっている部分っていうのがそれぞれあるから。撮っていて周りの人達がノッてこないけど、俺だけはこうしたいんだっていうときってありますか。」

内田「めちゃめちゃありますね。例えば彼なんかは(アダム・トレル氏を指して)編集とかは凄いうるさいんですよ。脚本とかは何もいわない。撮影終わった後のテクニカルな部分に関しては凄くうるさいんですけれども。やりたいことには何一つ言わなくて、逆にアドバイスを求めると「それはあんたが決めることだろ」って。」

アダム「プロデューサーの仕事は監督を自分の映画をつくれるようにお金とか色々なことを手伝っている。その後のプロモーションとか、プロデュースの仕事を持っている。現場は脚本も監督のやりたいことを監督が色々できるように応援とか、なんでもするんだけど。それは、監督のスペースだから。」

内田「日本のシステムとしてはやっぱり逆じゃないですか。テクニカルはどうでもよくて、脚本にとにかくプロデューサーが絡んでくる。沖田さんはかなり自分で自由にやられてる。」

沖田「まあそうですね。」

内田「かなり特殊な立ち位置で。」

沖田「書きながらやっぱり、ああでもないこうでもないですけれども。でも、頭からおしりまでプロデューサーと監督が仲の悪い夫婦を演じているみたいなことはあるような気がするんですけれども。

内田「比較的楽しんでますよね。」

沖田「僕は割とこうはじまりがそういう感じだったので、その延長線上にいるので、なんとなく仕事と割り切れないので、そういう風に撮らないと気が済まないというか。」

内田「地方で撮る理由とかも個性的で面白いかなとか。」

沖田「どうせ寝坊してもホテルの前で待っているしね。」

内田「次の映画で近郊で撮るか地方で撮るか迷ってて、沖田さんの言葉で地方にしようかな。」

沖田「でも、みんなが一つ面白いものをつくりたいなっていう雰囲気が現場に見えるといいなって思いますけどね。何のために撮っているのかわからないまま撮ることほどつらいことはないですからね。」

内田「僕は5年間それをやっていましたからね。」

沖田「なんかそうでありたいですよね。結果満足いくかどうかはわかんないけど、内輪受けで終わっちゃう可能性もあるんですけれども、そういうことでもいいなと思いますね。あと、体力。」

内田「だんだん低下してますけどね。僕自主映画撮ったことがないんですよ。雑誌記者だったんで。」

沖田「そうなの!?色々な経験を経てこうなってきたんですね、」

内田「記者から脚本にいって、演出みたいなね。だからこういう、みんなで仲間がいてなんかつくるみたいなのに憧れがあるのかもしれない。」

沖田「それなんか思ったんですよ。映画をつくっている周りの俳優さんたちとテツオ役の渋川さんたちと界隈のチームみたいな感覚って、なんていうか下北映画っていうことがそうだと思うんですけれども、劇団の雰囲気がしたんで、僕が知らないだけなのか、そういう風に映画を撮っている人達もいるんだなと思いました。」

内田「仲間意識で映画をつくっている人っていっぱいいるじゃないですか。一つあがった人たちでも、自主映画の団体でも。そういうものに憧れがあるのかもしれない。」

なぜこの映画を撮ろうと思ったのですか。

沖田「本当これはお父さんを看取る話、お父さんとの映画ということで思うところがあったんですよね。」

内田「僕も4年くらい前に父親が亡くなって・・・イメージと違いました。」

沖田「そうですね。これは不謹慎な映画ではあるんですよ。コメディで撮ろうと思っているので、観る人が観たら怒られるんじゃないかっていう部分もあるんですよね。ただ、そういうコメディ映画を撮りたいなと思っていて、台本もかなり前から書いていて。~~さんとの約束みたいのがあって、すきを見てこの脚本やろうやろうって言っていたので、やらなきゃいけないっていう感じだったんですよね(笑)」

内田「結構そういう気合の入った作品なんですね。」

沖田「そうですね。なんでこの作品を撮ろうと思ったのか忘れてしまったくらいですね。」

内田「父と子の葛藤みたいなのは」

沖田「それはなんかあるんじゃないですか。そういうテーマを選びたがるんですね。自分を投影していくと、親の具合が悪くなっていくとか、自分にも結婚だ子供だみたいな「家族」みたいな捉えかたが、親がいるっていうことの家族から自分がつくるみたいなことになっていって、そういう自分と重なる時期と同じようなときにこういう映画をつくりたくなるのかもしれないなと思っていますね。「モヒカン故郷に帰る」の主人公はガンになってお父さんに優しくしないといけなくなったんじゃないかと困る長男です。「やべぇやべぇ、どうしよう」って。」

内田「切り取り方がやっぱり独特ですよね。」

沖田「よくこれで映画になるなって思ってます。どこ映画にしとんねんという感じのことですよね。(笑)」

内田「(笑)二作品はどちらも同じ劇場ですね。(映画コピーより)バカヤロー!と下衆野郎ということで。」

沖田「ゲスっていう言葉は流行ってしまいましたね。(笑)」

内田「三年前からこうなんです。(笑)」

沖田「それに乗ったということには全く見えないですけれども。」

内田「いいような悪いような。それでは、終わりということです。テアトル新宿にてロードショー致しますので、是非足をお運びください。」

「「「ありがとうございました。」」」

この春、話題の2本!チェックすべし!『モヒカン故郷に帰る』&『下衆の愛』!

映画『モヒカン故郷に帰る』本予告

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LOWLIFE LOVE (下衆の愛) trailer - Directed by Uchida Eiji, Japan 2016

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