藤原季節や武田梨奈が審査員を務めた第 18 回田辺・弁慶映画祭にて木下マイスター賞を受賞、その後田辺・弁慶映画祭セレクション 2025 ⻄崎監督 WEEK にてテアトル新宿最終日満席の話題を呼んだ⻄崎羽美監督『よそ者の会(2023)』+『よそ者の会(2025)』二本立て連続上映が、この度ユーロスペースにて 2026 年 1 月 24 日(土)より一週間限定公開決定!今回の発表に合わせて、新たな予告編も到着いたし、11月21日(金)より解禁された。
予告編
『よそ者の会(2023)』+『よそ者の会(2025)』前代未聞の二作品連続上映|ユーロスペースにて2026年1月24日(土)〜30日(金)一週間限定公開!
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◼︎⻄崎羽美(監督・脚本)
ユーロスペース上映決定にあたり⻄崎羽美監督からのコメント、そして各界から『よそ者の会』への応援コメントも公開。
2023 年に撮った『よそ者の会』を、さまざまな経緯を経て翌年の 2024 年にもう一度撮り直すことになりました。一度完成した作品をあえてリメイクするという少し風変わりな試みを経て、気づけば『よそ者の会』は2023 年から現在に至るまで、私の映画づくりの軸としてあり続けています。
この二つの作品は、私の映画人生を確かに前へと導いてくれた、かけがえのない存在です。
2025 年 5 月、テアトル新宿で行った一日限りの二本立て上映は、ありがたいことに満席となり、多くの方とこの二つの『よそ者の会』を共有できたことが、何よりの喜びでした。
同じ会合を軸にしながらも、登場する人々も出来事も異なる二つの作品。
その間に流れる時間の重なりや、映像に滲む変化を感じながら、自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。
監督プロフィール
⻄崎羽美(にしざきはみ):2001 年生まれ、静岡県出身。映画美学校で映画制作を学び、現在は日本大学大学院芸術学研究科に在学中。『よそ者の会』(2023)は第 18 回田辺・弁慶映画祭キネマイスター賞受賞、また第 20 回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門に正式出品され、テアトル新宿をはじめとする劇場で公開を果たした。セルフリメイク版である『よそ者の会(2025)』は、第 26 回TAMA NEW WAVE コンペディション部門にノミネートされ、第 21 回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門にも正式出品された。
■九十九⻩助(俳優・YouTuber)
僕らを寄せつけまいとするひいた画にたんぱくな語り口
触れれば破裂してしまうような緊張感
苦悩諦め反骨心、彼らが静かに放つ世界へのサインは他人事ではいられない苦しさでよそ者たちがとても愛らしく映りました
■近藤亮太(映画監督)
映画はずっと、ゆるやかな緊張感に満ちている。もう忘れかけているが、きっと大学とはそういう場所なのだろう。
大学という場所について真剣に考えることは多分、学生として生きる、ある期間にしかできない。まさに今、その只中にいる監督の、大学という空間の隙間や歪み、愛おしさまでを見つめるまなざしが、唯一無二の切実で暴力の予感を孕んだ物語に昇華している。
自分は「よそ者」じゃないと思える人なんているんだろうか。あるいは「爆弾持って吹き飛ばしたい」なんて暗い願望を抱えずに生きられる人は?
だけどそれは今じゃない。それは希望でもあり、祈りでもあり、そして無期限の犯行予告でもある。『よそ者の会』はそういう映画である。
■酒井善三(映画監督)
もっともらしさのためのカットや、オーバーな説明的芝居もない。無粋なアップもなく、抑制がききつつ確実なカットが重ねられる非常に端正な演出......と思いきや、平穏な顔をしたその中では、圧力鍋のように破壊衝動が張り詰めていた!なんとパンクな作品だろうか......。いつの間にかヒリヒリした思いで一瞬も画面から目が離せず、見終った後は沸々と得体のしれない感情が湧いてくる。観客の中に何かを仕掛ける、会話劇でありつつ、冷たく熱い、まるでテロのような傑作中編。必見!
■高橋洋(脚本家・映画監督)
モラトリアムを描いた映画は数多いが、『よそ者の会』が描いているのは、いつかは終わるはずだったモラトリアムがいつの間にか終わらないものになっているんじゃないかということだ。自分は何者でもない、どこにも所属できないという感覚は一生続く。就職したところで自分たちは就職という形の引きこもりを選び取っただけだ。「よそ者の会」に集まったのはそのことに鋭敏に気づいた者たちである。
そんな彼らに「暴力」の問題が突きつけられる。今とりあえずの居場所である大学を吹き飛ばしたら
...。シナリオ執筆当時、現役学生だった作者のリアルが、雰囲気だけに終わらない、エンタメ性をはらんだ設定を通して描かれていることに僕は感心した。ちなみに作者の卒論は⻑谷川和彦の『太陽を盗んだ男』である。
■寺嶋夕賀(映画コラムニスト)
この空間が吹き飛んでしまえば、抱えたモラトリアムがさっぱり解決するのではと感じた瞬間が、かつて私にも存在した。よそ者である人々の間に共感を生むことで暗いトンネルから抜け出せるのだろうか。うまく言葉にできなくても、誰かに話したい想いを尊重して歩いていきたい。
■暉峻創三(映画評論家・大阪アジアン映画祭プログラミングディレクター)
社会からよそ者にされたと感じ、どうしようもない鬱屈や憤怒、破壊衝動を内に抱えて生きる男女の物語。しかしその爆発寸前の暴力性を、監督の⻄崎羽美は、徹底して端正な映画語法と静謐な音響設計、そして礼儀正しい会話と動作の積み重ねで炙り出していく。主題と方法論のこの対極性に、ぞくぞくせずにはいられない。
■中川奈月(映画監督)
特別、何にも感じていないというような顔で、「よそ者の会」の人間は不満を語り合う。ぽつぽつと話す言葉の奥で、見えない憎悪を燻らせている。その思いがどれほどのものなのか、私たちには推し量れない。彼らにも量れないからこそ、彼らは「よそ者」である。その黑い感情の矛先をどうすればいいのか、ゆるゆると大学を彷徨って、ギリギリまで迷っている。本当に必要なものは凶器ではなかった。誰かのためにと動き出す時、ようやく迷いを断ち切れるのだ。
■⻄山洋市(脚本家・映画監督)
昭和からずっとあるものと令和の現在がこすれ合って生じる軋り(きしり)のようなものを⻄崎さんは
発生させようとしているのかもしれない。もちろん⻄崎さんは昭和の人ではない。それでもここには(この映画には)異なる時間軸が重層的に存在しているような感触がある。
「よそ者」というのは、現在という時間からはじき出されて、いつでもなく、いつでもありうるような時間を生きる人と映画のことだろう。いま、そこで、軋りを立て始めた⻄崎さんの映画は、いずれは激しい衝突音を響かせてくれるだろう。
■深田晃司(映画監督)
よそ者同士であったはずの彼らがよそ者ではいられなくなる関係性の変転が緊張感を生んでいく。
持続低音のような川野邉修一さんの芝居に引き込まれ、大学のありふれた階段教室を全く異なる空間に見せてしまう演出に瞠目しました。
■藤井仁子(映画批評家)
器用な映画とはいえない。だが、人影の消えた大学キャンパスという「無」から「有」を生みだそうとした気概はこの時代に貴重なものだろう。とはいえ、高く跳ぶためにはまずは二本の足で大地をしっかりと踏みしめて立つ必要がある。その意味ではがらんどうの階段教室で、友達とも恋人ともいえない一組の男女が机の上を土足で歩きまわる物語上は無駄かもしれない固定のロング・ショットに、信ずるに足る何ものかを見た気がする。
■松崎健夫(映画評論家)
“よそ者”たちの眼差しは、どこか虚ろなのである。それは『ファイト・クラブ』に近似した危うい思想を孕みながらも、彼らの信念が揮発して浮遊しているかのように感じさせる由縁だ。今作は校舎内という閉じた世界を描いているにも関わらず、テロリズムによって疑似家族的関係を導くような社会性が伴っている。その要因のひとつは、学生側ではなく清掃に従事する大人の側を主役にした点にあるのだろう。まるで社会的弱者など存在していないかのように黙殺する、悪しき潮流に抗う⻄崎羽美監督の姿勢がここにある。“よそ者の会”に賛同するような人々は静かなる憤怒と不満を抱えながら、今日もどこかで破壊による社会の再構築を夢見ているからだ。
■宮崎大祐(映画監督)
俳優・川野邉修一に引き込まれた。
ウダウダ言ってないでさっさとやっちまえ。
あいつらに奪われたすべてを今すぐ取り戻せ。
◯作品概要
『よそ者の会』(2023)/42 分
★第 18 回田辺・弁慶映画祭にてキネマイスター賞
★第 20 回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門正式出品
監督・脚本・編集:⻄崎羽美
出演:川野邉修一、坂本彩音、比嘉光太郎
撮影:松田恒太 録音:色川翔太、大澤愛花
照明:根岸一平 助監督:中江伶乙、小林慶太郎
◆あらすじ
鈴木槙生は大学の清掃員として静かに働く傍ら、密かに爆弾作りに没頭している。そんなある日、構内で「よそ者の会・会員募集」と書かれたポスターを目にした槙生。入会の条件は、「よそ者」であること。興味を抱き会合に参加してみると、そこには日々の鬱憤や殺伐とした感情について語り合う学生の姿があった。その奇妙な集まりを主催するのは坂田絹子という女子学生。一見普通の学生に見える絹子も、意外な秘密を抱えていて・・。「どこにいてもよそ者だと感じる」。そんな「よそ者」たちが、ひとつの場所に集まった。
『よそ者の会』(2025)/45 分
★第 26 回 TAMA NEW WAVE コンペティション部門ノミネート
★第 21 回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門正式出品
監督・脚本:⻄崎羽美
出演:川野邉修一、坂本彩音、藤家矢麻刀、伊藤優気、みすみのり
撮影:松田恒太 録音:色川翔太、桂木友椰
照明:石塚大樹 助監督:小林慶太郎 編集:松本大志
◆あらすじ
鈴木槙生は、大学の清掃員として働く傍ら、誰にも知られることなく爆弾の製造に没頭していた。そんな中、学内で「よそ者の会」という会合が開かれていることを知り、興味本位で足を運ぶ。そこには、自らを“よそ者”と名乗る学生4人が集まり、社会や大学への違和感を語り合う姿があった。槙生も流されるように会に加わり、年齢も立場も異なる者同士の対話が少しずつ交差していく。次第に槙生は、自らの内に潜む破壊衝動を明かし、会員たちに“ある計画”を共有する。静かに、確実に、⻭車が狂い始めていく。『よそ者の会』(2023)のセルフリメイク版。
ユーロスペースにて 2026 年 1 月 24 日(土)〜30 日(金)一週間限定公開!(レイトショー予定)