写真:田村充
――まず本作の脚本を読んだ時の感想を教えてください。
大西 見たことのない映画に出演したいっていう願望があり、本作はそういった映画の部類だと感じました。「死んだ後のことを考えると怖くなる」と話す場面で、急に「母が他界して」と話し出すんですが、会話が噛み合ってない感じがすごくリアルだなと思って。脚本の梶原さんが映画の中で描きたいという言葉が、少し強めの激しい言葉で書かれている。そのアンバランスさみたいなのが。面白いなと思いました。
――マンガ家・夏川優希役ということで実際に描いた作品も映画の中に入っていますね?
大西 とても嬉しかったです。ライフワークというほどではないですが、趣味で描いているマンガが実際に美術として映画の一部に組み込まれて、とても幸せなことだなと思いました。ポスターのイラストも描かせて頂いたのですが、登場人物を全員分描くことを自ら決めてしまったので大変でした。映像を見返しながら。登場人物をどう組み合わせたらまとまりが出るかなと考えて描きました。
――共演者のみなさんについても伺えますか?
大西 観て頂けたら分かると思うのですが、クセが強い人たちばかりで(笑)それが面白かったですね。あの施設にいる方たちの奔放さ・自由さみたいなものを、役者さん自身が本当に持っていると思いました。カトウさんとは、何度も共演させてもらっていましたが、こんなにガッツリ一緒にお芝居させてもらうことなくて、本当に明るい人で。中島さんからも、かなりパワーを頂きました。中島さん演じる洋子さんと優希の映画でもあると思う。最後に向かうにつれタッグを組んで、介護業界の状況を支えていかなきゃみたいなぐらいのパワーを感じますよね。
――本作の撮影前と後で、介護について見方が変わったことなど有りますか?
大西 もし家族が人の手を借りないと生活するのが難しい…となった場合、まずは自分が世話をしなければいけないという考え方ってまだ根強くあると思うんです。でもその考え方が少し軽くなったというか、介護施設に対して前向きな印象を持てるようになりました。やっぱり介護のイメージって、身内を預けることが後ろめたいと思う方も多いように思うのですが、この映画を見ると、そういった気持ちが少し軽くなると思います。これは介護を放棄するとかではではなくて、やはりプロの方に見て頂きながら各施設で様々な色があって、そういったことを知ることが出来た事も本当に感謝ですね。
――映画の中で描かれている「死生観」については、どう感じられましたか?
大西 死を意識しながら生きるっていうことに関しては今回の映画を通して、私自身の大切な考え方になりました。今も根強く残っていて、これ以降の作品への考え方、取り組み方が若干変わった気がしています。終わりがあるという事はもちろん分かっていましたが、ここまで強く意識したことがなかったから。
――最後にご覧になる方にメッセージをお願いします。
大西 『また逢いましょう』は、主人公が居場所を見つける映画だと思います。父の怪我という悲劇が始まりではありますが、そこから色々な人たちや新しい考え方に出会って、自分が変わる感覚を覚え、表現したいものを見つけられるようになっていく。どんな悲劇的なことがあってもそのあとに良いことがあるかもしれない、そういった【小さな希望】を見つけられる映画だと思います。他にも様々な要素がある映画でもありますが、楽しんで観てもらえたら嬉しいです。