「28th Tallinn Black Nights Film Festival (タリン・ブラックナイト映画祭)」Critics' Picks Competition 部門にてBEST FILM賞を受賞した『北浦兄弟』に多くの著名人より絶賛のコメントが到着している。
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youtu.be清水崇(映画監督)
不思議と観届けてしまう......
主人公の成長譚や哀しい別れと再生、喜ばしい人生の謳歌ばかりが映画じゃない!
英雄への憧れ、スリルや恐怖、冒険譚への陶酔ばかりが映画じゃない!
憧れどころか、厭きれかえってしまう高学歴の中年馬鹿兄弟。
永遠のモラトリアム地獄を、流されるままに過ごすような二人を眺めながら......これも人間賛歌であり、映画なんだ......と思えた。
妙にリアルな芝居は、嫌悪感を掻き立てるが、不思議と観届けてしまうし、笑ってしまう......その笑いの裏で「実は世界中にたくさん居そう」とすら思わせる。
浮世離れしてるようで、そうでもない......妙に等身大なのが怖くすらなる。
社会不適合なクズ人間がクズ人間のままに描かれた、少子高齢化のブラックな珍道中に“現代の無常”を魅せられた気がした。
近藤芳正(俳優)
「情け無い、ちゃんと考えろ!馬鹿が!あちゃー!やってしまったよ!もう!」
そんな言葉がいっぱい出てくる。
駄目な人間の可笑しく愛おしい人間讃歌!!ほんと面白い!!
映画『北浦兄弟』(辻野正樹監督)より (C)「北浦兄弟」製作委員会
安倍照雄(脚本家)
『北浦兄弟』、面白い映画だった。ヒッチコックの『ハリーの災難』のような死体隠しをベースにしているが、徹底して乾燥させたブラックユーモアというか、独特な兄弟の距離、間があって、最後まで惹きつけられた94分だった。
自分が信じ、創りたいと願い、精神的、物理的困難を乗り越えてついに表現者として作品を結実させる。 久しぶりにそういう日本映画を観た気がした。
戸田彬弘(映画監督)
どうしようもない兄に、どうしようもない弟が加わって。
物語はアクセル全開。止まることなく転がっていく。
ただ、この弱さと卑しさには見覚えがあるし、どうにも共感できてしまう。
悪い冗談の行き着く先は、日本の沈んだ闇を想起させる。ピリッと痛快。僕は好きです。
映画『北浦兄弟』(辻野正樹監督)より (C)「北浦兄弟」製作委員会
ブラジリィー・アン・山田(脚本家・劇団チリ主宰)
サイテーすぎる兄弟だけど、そんなふたりになぜか感情移入してしまう辻野マジック!
主演の中野マサアキさんのなんともいえない佇まいがたまらない。令和の時代に、和製リッキー・ホイ誕生!
佐藤佐吉(映画監督・脚本家)
こんな愚かな兄弟が実際いたとしたら恐ろしいことだが兄弟姉妹というものはおおよそ彼らと似たりよったり。やや郷愁漂う作品だが兄弟の人間としてあまりのダメっぷりにそんな気配もすぐにふっ飛び終始大笑い。しかしこれ自分のことかもと戦慄が走る。そんな映画にキャッチコピーをつけるなら某作品にあやかり 『このへんな兄弟は、まだ日本にいるのです。たぶん』
北浦兄弟|監督:辻野正樹|2024年|日本|94分|5.1ch|アメリカンビスタ
製作:「北浦兄弟」映画製作委員会
宣伝:ブライトホース・フィルム / 配給:GACHINKO Film
https://g-film.net/kitaura/
2025年4月12日(土)より渋谷ユーロスペースほか劇場公開