独創的な絵画表現で今なお、人々を魅了する江戸時代の絵師・伊藤若冲(1716~1800)。
花鳥風月、日本の伝統的な四季折々の美しさを鮮やかな色彩で描きながらも、そこには常に新しさを追い求める、斬新さがあります。
色彩豊かに精密に描いた花々。鋭い観察眼で奇抜に表現した鶏をはじめとする鳥や動物、昆虫。伝統の中に新しさがある、水墨画。
独自の画面構成、絵画技法を駆使した「若冲ワールド」は、まさに「超絶技巧」。
300年の時を超えた今も、見る人を惹きつけ、感動させます。

このたび、開館5周年を迎える京都・嵐山の福田美術館では、70代の若冲が描いた貴重な絵巻物《果蔬図巻》を世界で初めて一般公開する展覧会「京都の嵐山に舞い降りた奇跡 !! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」が開催されます。

本展では、今年5月に福田コレクションに加わったばかりの、若冲と相国寺の大典禅師が舟で京から大阪へ下る間に見た風景を版画で表現した巻物《乗興舟》も公開されます。
また、2019年春、発見された若冲最初期の作品《蕪に双鶏図》をはじめとする初期から晩年までの若冲の優品およそ30点が一堂に展示され、ご堪能頂けます。

若冲が影響を受けた中国人画家・沈南蘋(しんなんぴん)やその弟子の熊斐(ゆうひ)、さらには、同時期に京・大阪で活躍した画家・円山応挙や曽我蕭白(そがしょうはく)など錚々たる画家たちの作品も展示されます。
是非、この機会に、美しい日本の自然と美術が融合した京都・嵯峨嵐山の福田美術館を訪れてみてください。

第1章:若冲と彼が影響を受けた画家たち

京都の錦市場の青物問屋の長男として生まれた伊藤若冲でしたが、世俗的なことには全く興味がなく、鳥の写生など絵画の修行に没頭していました。
やがて若冲が40歳の時、家業を弟に譲り、画才を認められた相国寺の梅荘顕常(大典禅師)のもとで、仏画の模写など一心不乱に精進し、遅咲きながら、絵師としてその天才ぶりを発揮していきます。

本章では、若冲の初期から晩年までの作品が展示されています。同時に、若冲が影響を受けた中国人画家の作品や黄檗宗(おうばくしゅう)の僧侶による作品なども展示され、若冲作品の背景に迫ります。

伊藤若冲《蕪に双鶏図》(18世紀)福田美術館蔵

《蕪に双鶏図》は、若冲が30代初めに描いた最初期の作品。
古くから鶏は5つの徳を備えた人格者の比喩として用いられ、若冲の絵画の中に多く描かれています。雌雄の鶏と植物を描いた作品は他にも※《花卉双鶏図》があります。

若冲は、長崎に滞在した中国人の画家・沈南蘋や、その弟子などの、当時最新の絵画を学びながら、画技を極めていきます。42歳から約10年かけて完成させた※《動植綵絵》はその集大成といえるでしょう。 
※の作品は本展では展示されていません。

伊藤若冲《鶏図押絵貼屏風》/右隻 (1797年) 福田美術館蔵 前期展示

伊藤若冲《鶏図押絵貼屏風》/左隻(1797年)福田美術館蔵 後期展示

《鶏図押絵貼屏風》は、色鮮やかに精緻に描く※《動植綵絵》とはまた違った趣のある水墨画です。

佚山《群鶴図》(18世紀)福田美術館蔵

若冲はこの佚山《群鶴図》を参考にして、鶴の重なる構図の※《梅花群鶴図》を描いたようです。梅に鶴という組み合わせは、伝統的な吉祥画題でした。

鶴亭浄光《蕃椒図》(18世紀)福田美術館蔵

鶴亭浄光は、江戸中・後期の長崎の寺の僧で、中国人画家・沈南蘋の弟子の熊斐に学びました。

第2章:《果蔬図巻》世界初公開 大典と大阪で活躍した画家たち

本章では、大典の跋文を含む《果蔬図巻》を世界で初めて一般公開すると共に、若冲と大典が京から大阪へ下るために乗った舟からの風景を版画で表現した《乗興舟》(じょうきょうしゅう)と、若冲が70代から85歳で亡くなるまでの作品が併せて紹介されています。

伊藤若冲《果蔬図巻》(1790年以前)(部分)福田美術館蔵

若冲筆《果蔬図巻》は約3メートルの絹地に様々な野菜や果物が描かれ、巻物に仕立てられた作品です。巻末には、相国寺の僧侶で若冲が40~50代の頃に親しく交流した梅荘顕常(ばいそうけんじょう)/(大典)が書いた跋文(ばつぶん)が付けられており、若冲の絵を絶賛するとともに、本作が浪華(現・大阪)の森玄郷(もりげんきょう)という人物から依頼されたものであることなどを伝えています。

伊藤若冲 下絵梅荘顕常 賛《乗興舟》(1767年)福田美術館蔵

《乗興舟》は幅28cm、長さ9mを越える長尺の絵巻で、若冲が50代の頃の「拓版画」の作品です。後に国宝として著名となった三十幅の大作※《動植綵絵》の制作を終え、新たな境地を開こうとしていた若冲のエネルギーが感じられます。絵巻には、京都の伏見から大阪まで若冲と川下りをした淀川沿いの風景に大典の漢詩が添えられており、美しいぼかしやグラデーションも見どころです。

第3章:若冲と同時代の画家曽我蕭白と円山応挙

第3章では、伊藤若冲とほぼ同時期に京都で活躍した画家、曽我蕭白(1730-1781)と円山応挙(1733-1795)に注目します。彼らは室町時代から続く狩野派の手法を学んだ後、自分の個性を頼りに思うままに自らの表現を打ち出しました。

曾我蕭白《柳下白馬図》(18世紀)福田美術館蔵

京の商家に生まれた曽我蕭白は、室町時代の画家・曽我蛇足の系譜に連なる「蛇足軒十世」と名乗りました。荒々しい筆致や大胆な構図で知られていますが、描く対象を的確に把握する力や細密で精確な描写も見逃せません。
※《富士 三保松原図屏風》では、左隻に富士を、右隻に、三保松原と虹を描きました。

円山応挙《虎図》(1786年)福田美術館蔵

円山応挙は、自然の美しさを重んじ、いつも写生帖を忍ばせ、鋭い観察眼で繊細に描き、円山派の開祖となりました。この《虎図》は全身の毛を微細に描いていますが、猫のようにも見えます。

若冲がその生涯をかけて、相国寺の大典禅師に捧げた※《釈迦三尊像》と※《動植綵絵》は、色彩豊かで、精密に描かれ、まさに「圧巻」の芸術作品です。
若冲独特の「生きとし生けるものを愛する」精神で描き、ユーモアセンス溢れる奇想天外な世界を見せてくれます。
これとは対照的に、《鶏図押絵貼屏風》はシックなモノトーンの水墨画で、まさに日本画の「粋」が感じられます。「古いけれど新しい」、「伝統的だけれど斬新」。
それが、私たちが若冲に惹かれてやまない理由でしょう。
世界初公開となる《果蔬図巻》で新しい若冲の魅力を感じてください。
※の作品は本展では展示されていません。

展覧会概要

展覧会名 開館5周年記念 「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」(略称:若冲激レア展)
会期 2024年10月12日(土)~2025年 1月19日(日)
※大幅な展示替えはありませんが、12月3日(火)に一部の屏風において、右隻・左隻の入れ替えを行います
開館時間 10:00〜17:00(最終入館 16:30)
休館日 12月3日(火)屏風の入れ替え
12月30日(月)~1月1日(水)年末年始
場所 福田美術館 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
入館料 一般・大学生:1,500(1,400)円 高校生:900(800)円
小中学生:500(400)円
障がい者と介添人1名まで:各900(800)円
※( )内は20名以上の団体 料金
※幼児無料
嵯峨嵐山文華館との二館共通券
一般・大学生:2,300円 高校生:1,300円 小中学生: 750円
障がい者と介添人1名まで:各1,300円

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?! 」@京都・嵯峨嵐山 福田美術館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年10月28日 月曜日 24:00
記載内容
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