10月5日より池袋シネマ・ロサで劇場公開される『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』の福田航平監督、主演の大根田良樹さんと伊藤大晴さんの座談会をお届けいたします。

撮影のはじまり

福田「伊藤くんとは結構長いよね。昔に撮影したアクション短編に出演してもらってから・・・」

伊藤「僕が大学一期生の頃」

福田「そうそう、何か印象に残って」

伊藤「経歴書・・・」

福田「あれはひどかった」

伊藤「僕もよく知らなかったから・・・」

大根田「どんな経歴書だったんですか?」

伊藤「そこらへんで撮影した写真張り付けて」

福田「いやいや、コンビニのトイレの前で仁王立ちで撮った写真」

伊藤「すみません」

福田「本来だったら完全にNGですし、一緒に映画創るアクション監督からも、こいつは絶対NGって言われたんですけど・・・何か惹かれて・・・自分の直感を信じて、アクション監督を説得して、映画に参加してもらってからだから」

伊藤「よく撮影に参加させていただけましたよね、ありがとうございます」

福田「で、今回の『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』を創ろうと思った時に、相棒役は伊藤くんしかいないと思って・・・伊藤くんに断られたらこの映画、辞めようとも思ったから」

伊藤「一回、断わろうかと思ったんですけど・・・(笑)嘘です。大喜びで受けました」

福田「大根田さんはオーディションで」

大根田「そうでしたよね。僕、東京だから、京都の監督とZOOMでお話して」

福田「そうでしたね。すぐに大根田さんにお願いすることになって。あらすじはできていたんですけど、お二人決まってから本格的に脚本が出来上がっていったかんじでしたね」

大根田「最初に脚本を読んだ時に・・・たくさんエンターテイメント要素がつまっていたので規模的に撮れるのかな、とはちょっと思ったんですよね。監督の持ち出しの自主映画で、この規模は・・・と(笑)」

福田航平 監督

現場のこと

福田「現場ではお二人のシーンに関してはカット割りせずに通しが多かったですよね」

大根田「そうそう」

福田「本来、カット割って、の段取りだったんですけど・・・大根田さん、伊藤くんのはまり方がよかったので通しでやったほうが・・」

伊藤「相棒ですから(笑)」

福田「二人のはまり方は現場でめちゃくちゃよかったです」

大根田「そんな、そんな。僕は、監督が率先して映画を創っていく、かじ取りに着いていく、そんな感じでした」

伊藤「監督って、映画小僧(笑)ですよね。映画の世界ができていて、そこに向かって映画を創っていく・・・そんな現場だったような」

大根田「そうそう、監督のピュアさ」

福田「(笑)」

大根田「裏表ないし、ほら役者とか色々な現場経験するので、その人の真意や裏を読み取るってことがあるんですけど、福田監督にかぎってはそんなことなく、真っ正直に楽しい現場でした」

伊藤「監督の人間性もそうですけど、僕は大根田さんにも引っ張っていただいて、ものすごくやりやすかったです。現場、しんどいこともたくさんあったけど、お二人のおかげで楽しかったなあ」

大根田良樹

アクションシーン

伊藤「アクションは大変でしたね」

大根田「そうそう」

福田「アクション監督やスタントマンが入ったりしたんですけどね」

大根田「それでも顔映るシーンや自分でアクションしなければならないところも多々あり」

伊藤「最近の日本のアクション映画の動きが、あまりにも訓練されすぎていて」

大根田「そうそう」

福田「殺人術を身につけたくらいの綺麗なアクションが多いから・・・もっと喧嘩的なアクションをと思ったんですよね」

大根田「アクション、難しかったですよね」

伊藤「いろいろと指導していただきながら・・・クオリティの高いアクションシーンができたと思います」

福田「自分で言う(笑)」

伊藤大晴

現場のコミュニケーション

伊藤「僕は、ほぼほぼ自分の素で役ができたような気がします」

福田「それは、あてがきだし(笑)」

伊藤「設定に関しては、色々と提案させていただきましたよね」

福田「そうそう、東映映画が大好き、とか(笑)。僕が考えていなかった設定も役にはまる設定を話してきたよね。煙草の銘柄は・・とかぴったりだったし」

伊藤「ありがとうございます」

福田「大根田さんは、キャラクター設定をお伝えしたらその役にしっかりと寄り添った役を創っていただきました感じでしたよね」

大根田「現場はどうでした?」

福田「現場でもお二人の役が違う、と思ったことはなかったです。思っていた通りの役を演じていただいたような気がします」

大根田「前もってお話していただいたので、とてもやりやすかったです。映像の現場って時間のない中で撮影していくので、信頼関係を先に培ってから現場に入る、というやり方は安心しました」

福田「あと、現場終わってから食事して色々と話したりして」

伊藤「だんだんと僕も演技がよくなってきたような気がします(笑)」

福田「この作品に関しては、本当にお二人とのコミュニケーションが取れたからよい作品になったと思います。ありがとうございます」

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ホラー映画の現場にありがちな・・・

伊藤「撮影期間中、ホラーもいくつかありましたよね」

福田「そうそう」

伊藤「合宿みたいな感じで宿泊していたんですけど、朝に監督が『伊藤くん、昨日、部屋に来た?』って」

福田「僕寝てるときに誰かが部屋に入ってきて電気いじったんですよ。カチカチって」

伊藤「そうそう、僕寝てる時間ですよ。その時、僕と監督しか泊まってないのに」

大根田「あと、神社の境内でいきなりモニター消えたり」

福田「そうそう、現場に来るなり消えて。電源入ってるのにモニターが真っ黒になって」

伊藤「ありましたね」

福田「現場終わって、宿に戻ったら急に電源入って。神社の撮影の時だけモニター真っ黒・・・」

大根田「伊藤くんが・・・」

伊藤「あ、それは言わないでください」

大根田「(笑)神社の近くで立ちションしたからかな」

伊藤「我慢できなかったんですよ」

大根田「神社から遠かったけど、神聖な領域内だったのかもね」

作品が人生をかえることもある

大根田「僕は、この作品に出逢わなかったら役者、辞めてたかも、と思ってるんです」

伊藤「ええええ」

大根田「僕、子役から演技の世界に入ってるんですけど。役者だけでなく制作や監督もするようになって、自分の立ち位置を考えていた時期もあったんですね。役者辞めようかとも思っていて・・・この作品が『横濱インディペンデント・フィルム・フェスティバル』で長編部門で最優秀賞を受賞して、役者やってってよかったなあと再確認したんです」

福田「映画祭の後で僕もきいてびっくりしました」

大根田「役者を辞めようかな、と思っていたんですけど・・・監督が冨樫興信所シリーズを含め映画を創り続けていくんだったら、僕も役者を続けていこうと決心して」

福田「いや本当にありがとうございます」

大根田「この作品に救われたといっても過言ではないです」

『怪人の偽証 冨樫興信所事件簿』
池袋シネマ・ロサ 10/5(土)~10/18(金)
横浜シネマ・ジャック&ベティほか全国順次公開

怪人の偽証 冨樫興信所事件簿|2023年|日本|69分14秒|日本語|DCP
監督・脚本・編集 福田航平
出演:大根田良樹 / 伊藤大晴 / 脇田敏博 / 大石隆希 / 氏師出雲 / 佐波太郎 / 内田竜次 / ワーキング西 / ヤリビト / 吉岡諒 / 石井陽(鳴海陽)
アクション監督:垣内博貴
公式WEB:https://togashi-koshinsho.com/
製作:BAD BOYS STUDIO
配給:GACHINKO Film

撮影:岩川雪依