ポルトガルの鬼才ミゲル・ゴメス監督の新作『グランド・ツアー』が、第 77 回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門へ選出されたことが発表となりました。本作は、ポルトガル、イタリアのスタジオ撮影に加えて、日本を含めたアジア 7 カ国のロケーションで撮影されました。日本側のプロデューサーとして、今夏に日本で劇場公開予定の『大いなる不在』の監督、近浦啓が参画しています。カンヌ国際映画祭コンペティションの選出の発表に合わせて、京都鴨川での撮影風景の写真が初解禁されました。

ポルトガル=イタリア=フランス=ドイツ=日本=中国の国際合作
ポルトガルの鬼才ミゲル・ゴメス『グランド・ツアー』が
第 77 回カンヌ国際映画祭《コンペティション部門》へ選出!

ポルトガル=イタリア=フランス=ドイツ=日本=中国の国際共同製作作品『グランド・ツアー』(ミゲル・ゴメス監督)が、現地日程 5 月 14 日(火)~5 月 25 日(土)開催第 77 回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミア上映されることが決定しました。

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2012 年に『熱波』で第 62 回ベルリン国際映画祭の国際映画批評家連盟賞とアルフレッド・バウアー賞を受賞、2015 年には 6 時間 21 分の大作『アラビアン・ナイト』を発表した鬼才ミゲル・ゴメス監督がメガホンをとった本作は、ポルトガル=イタリア=フランス=ドイツ=日本=中国の国際共同製作で制作され、日本を含めたアジア 7 カ国のロケーション、そしてポルトガル、イタリアのスタジオで撮影された。撮影は『ブンミおじさんの森(2010)』『君の名前で僕を呼んで(2017)』など国際的に評価の高い作品を多く手掛けてきたタイ出身のサヨムプー・ムックディプロームが担当。

撮影は 2020 年初頭に始まり、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピンの後、2020 年 2 月上旬に京都、長野、大阪などの日本各地で撮影された。日本撮影後はフェリーで中国・上海に渡航し撮影を行う予定だったが、新型コロナウィルスの蔓延により撮影は延期。ロックダウン期を経て、中国シーンは 2022 年にヨーロッパと中国を遠隔でつなぎ、ミゲル・ゴメス監督がポルトガルからモニター越しに演出して撮影を敢行。2023 年 2 月~3 月にはリスボン(ポルトガル)とローマ(イタリア)の撮影スタジオでアジア各国のロケ地を再現して撮影し、制作期間 4 年をかけて『グランド・ツアー』がいよいよ完成。カンヌ国際映画祭コンペティションで世界初上映される。

ミゲル・ゴメス監督プロフィール
映画監督。1972 年ポルトガルのリスボン生まれ。リスボンの高等演劇映画学校で映画を学び、2000 年、短編『Entretanto』で映画監督デビューし、ヴィラ・ド・コンデ国際短編映画祭で最優秀監督賞を受賞。2008 年、長編二作目『私たちの好きな八月』がカンヌ国際映画祭監督週間 に出品。2012 年、『熱波』でベルリン国際映画祭のコンペティション部門に招待され、国際映画批評家連盟賞とアルフレッド・バウアー賞を受賞。2015 年には、全 6 時間 21 分の三部作『アラビアン・ナイト』をカンヌ国際映画祭監督週間に出品。独特な視点と詩的な表現で、国際的に高く評価されている。最新作『グランド・ツアー』はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品が決定。

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本作の日本側のプロデューサーとして参画した近浦啓にとって自身の作品以外のプロデュースは本作が初となる。 近浦啓が監督した新作『大いなる不在(英題 GREAT ABSENCE)』は、昨年のトロント国際映画祭、サン・セバスティアン国際映画祭に選出され、サン・セバスティアン国際映画祭ではシルバーシェル(最優秀俳優賞 藤竜也)、アテネオ・ギプスコアノ賞の W 受賞を果たした。今夏待望の日本劇場公開。

近浦 啓(ちかうら・けい) コメント

2020 年の 1 月末、東南アジアでの撮影を終えたミゲル・ゴメス監督のチームを迎え、日本各地での撮影を満足いくものにするために奔走したことが懐かしく感じます。撮影では、ミゲル・ゴメス監督と名カメラマンのサヨムプー・ムックディプロームの即興的なコラボレーションを間近で見て、事物を観察しその光をレンズを通してフィルムに焼き付ける所作に強く感銘を受けました。そこで感じたことは、その後に撮影した僕自身の作品に大きな影響を与えてくれました。日本での撮影初期に「感染症が広がっていてこの後上海に行けなくなるかも?」というようなことをメンバーと冗談程度に雑談をしていましたが、日を追うたびにその冗談の「しゃれにならなさ」がじわじわと増してきました。最終日前夜に、大阪から上海へフェリーで送り出すことなくチームをそのままポルトガルに帰すことが決まった時は、背筋が凍る思いと共にその後の世界の変容を予感しました。あれから4年の歳月をかけ、様々な困難を乗り越えてこの作品を作り上げたミゲル・ゴメス監督の創作への情熱と理念には作家として多くの学ぶべきことがありました。映画祭での上映を経て、日本の劇場にも届けることができるように尽力したいと思っています。

近浦啓プロフィール
映画監督。2013 年、短編映画『Empty House』で映画監督としてのキャリアをスタート。以降、『The Lasting Persimmon』、『SIGNATURE』の 二本の短編映画を経て、2018 年『コンプリシティ』で長編映画監督デビュー。『コンプリシティ』は、第 43 回トロント国際映画祭でのワールドプレ ミアを皮切りに、第 23 回釜山国際映画祭、第 69 回ベルリン国際映画祭など、多くの国際映画祭に選出され、日本では第 19 回東京フィルメ ックスで観客賞を受賞。2023 年、長編第二作『大いなる不在(英題:GREAT ABSENCE)』が完成し、第 48 回トロント国際映画祭、第 71 回サン・セバスティアン国際映画祭、共にコンペティション部門にノミネートされる。サン・セバスティアン国際映画祭では、最優秀俳優賞(藤竜也)、 アテネオ・ギプスコアノ賞のダブル受賞を果たす。映画『大いなる不在』は 2024 年夏、日本劇場公開の予定。

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2025 年公開予定