カバー画像「没後100年 富岡鉄斎」2024年 京都国立近代美術館にて撮影 
photo by ©cinefil

独特の山水画で、日本の美を描き出した富岡鉄斎(1836〜1924)。
「最後の文人画家」と称えられた鉄斎の大回顧展 「没後100年 富岡鉄斎」が、5月26日まで京都国立近代美術館にて開催されています。

鉄斎は幕末、京都の商家に生まれ、近世都市の商人道徳を説いた石門心学を中心に、儒学・陽明学、国学・神道、仏教等を広く学びながら、南宗画、やまと絵等をはじめ多様な流派の絵画も独学で学び、深い学識に裏付けられた豊かな画業を展開しました。

良い絵を描くためには「万巻の書を読み、万里の路を行く」ことが必要であるという先人の教えから、日本全国を旅して各地の勝景を探り、理想の山水画を描きました。
人間の理想を説いた鉄斎の絵画は、画壇の巨匠達から敬われ、自由で斬新な画風は脚光を浴び、国内外で高く評価されてきました。
明治初期には神官として古跡の調査と復興に尽力し、官を辞した後、市井の画家として生きた鉄斎は、2024年末で没後100年を迎えます。
本展では、これを記念し、鉄斎の画業と生涯を辿ります。
89歳まで生きた鉄斎の画業は60歳代までに円熟期を迎えますが、70代、80代にかけて更に自由奔放に展開します。
晩年に制作した生命力溢れる充実した鉄斎の作品は、私たちに力を与えてくれます。

本展では、六曲屏風一双の大作《富士山図》、《妙義山図・瀞八丁図》、《富士遠望図・寒霞渓図》、《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》(重要文化財)や、掛軸の《三津浜漁市図》、《菟道製茶図・粟田陶窯図》双福、《嫦娥奔月図》など、鉄斎の代表作品が多数展示されています。
また、一般に公開されたことのない《土神建土安神社図・椎根津彦像・平瓫図》三幅対や、画集のモノクロ写真で知られるのみだった初期の屏風《山水図》、50年ぶりの公開となる《渉歴余韻冊》など、従来の鉄斎展では見ることのできなかった作品が紹介されています。
二曲屏風一双の大作《雪・月・花・茶詩書》など、書の名作や、膨大な量の印章コレクションも展示されています。
京都御所の近くの、室町通一条下ルに邸宅を構えていた鉄斎の日常空間を彩った硯や墨、筆、絵具、絵具皿、机など、遺愛の品々も多数展示されています。
それでは、今なお人々を魅了する文人画家・鉄斎の描く日本の美を辿っていきましょう。

展覧会風景
「没後100年 富岡鉄斎」2024年京都国立近代美術館にて撮影 photo by ©cinefil 

鉄斎が愛用した文机や筆掛け、眼鏡、虫眼鏡、朱肉入れなども展示されています。

富岡鉄斎《通天紅葉図》1882年47歳 清荒神清澄寺 鉄斎美術館  photo by ©cinefil 
第1~2期 (4月2日~4月29日)

富士山や琵琶湖、吉野山、月ヶ瀬など日本の名称を巡る旅は、鉄斎にとって理想の山水を思い描くための「万里の路を行く」行為であり、そういう場所に関する神話や伝説、古典などヘの理解を深める行為でもあったのでしょう。
京都の鴨川や嵐山、山科など日帰り可能だった場所も含め、鉄斎の旅をめぐる様々な作品をご鑑賞ください。

《漁樵問答図》(左隻)明治33年(1900) 65歳 京都市美術館 photo by ©cinefil 
展示期間 第1~2期(4月2日~4月29日)

《漁樵問答図》(右隻)明治33年(1900) 65歳 京都市美術館 photo by ©cinefil 
展示期間 第1~2期(4月2日~4月29日)

《漁樵問答図》では、樵者の問いに漁師が答える形で人間と世界の心理を説いています。

富岡鉄斎《富士山図》1898年63歳 清荒神清澄寺 鉄斎美術館 photo by ©cinefil 
展示期間 第1~2期 (4月2日~4月29日)

生涯において何度も富士山を描いた鉄斎ですが、本作は特に際立っていて、右隻に富士の山容を、左隻に火口を描く独特の構図となっています。
江戸期の文人である池大雅、高芙蓉、韓大年が連れ立って富士山、立山、白山の三霊峰に登った逸話を賛として記しています。

兵庫県宝塚市の清荒神清澄寺第37世法主光浄和上(1875~1969)は、鉄斎芸術に深く傾倒し、作品の蒐集とその研究に生涯を捧げ、昭和50年(1975)鉄斎美術館を開館しました。
《富士山図》、《三津浜漁市図》、《通天紅葉図》、《嵐山秋楓図》をはじめ多くの鉄斎作品が収蔵されています。

富岡鉄斎《富士遠望図・寒霞渓図》(左隻)1905年70歳 京都国立近代美術館 
展示期間 第4期 (5/14~5/26)

富岡鉄斎《富士遠望図・寒霞渓図》(右隻)1905年70歳 京都国立近代美術館 (
展示期間 第4期 (5/14~5/26)

富岡鉄斎《妙義山図・瀞八丁図》(左隻)1906年71歳 布施美術館
展示期間 第3~4期 (5月1日~5月26日)

富岡鉄斎《妙義山図・瀞八丁図》(右隻)1906年71歳 布施美術館
展示期間 第3~4期 (5月1日~5月26日)

富岡鉄斎《鮮魚図》1910年75歳 愛媛県美術館 photo by ©cinefil 
展示期間 第1~2期 (4月2日~4月29日)

富岡鉄斎 重要文化財《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》1914年79歳
公益財団法人辰馬考古資料館 photo by ©cinefil  
展示期間第1期(4月2日~4月14日)

重要文化財となった本作は、奈良時代に唐へ渡った阿倍仲麻呂が、月を見ながら故郷を想う情景が描かれています。水墨画の上に植物の緑や建物の朱色が重ねられ、色彩豊かな作品。
とても79歳の時に描いたとは思えないほど、力強く、生命感が感じられます。
セザンヌと似ていると評される鉄斎ですが、ゴッホの《糸杉》のような生命力に溢れています。

「没後100年 富岡鉄斎」で、文人画家・鉄斎が描き出した日本の美をご堪能ください。
晩年になっても更に充実し、斬新で、新鮮さを失わなかった鉄斎の理想の山水画の世界に、心癒される至福の時間をお過ごしください。

※本展は京都会場のあと、富山県水墨美術館、碧南市藤井達吉現代美術館に巡回しますが、《妙義山図・瀞八丁図》、《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》(重要文化財)、《雪・月・花・茶詩書》、《蜃楼海市図》などは京都会場のみの展示となります。

展示風景より 富岡鉄斎ポートレート photo by ©cinefil

展覧会概要

【展覧会名】 没後100年 富岡鉄斎
【開催期間】 2024年4月2日(火)~5月26日(日)
*会期中に一部展示替えがあります
第一期 4月2日~4月14日/第二期 4月16日~4月29日
第三期 5月1日~5月12日/第四期 5月14日~5月26日
【開館時間】 午前10時~午後6時 金曜日は午後8時まで開館
*入館は閉館の30分前まで
【休 館 日】 月曜日(ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
【観 覧 料】 一般1,200円(1,000円)、大学生500円(400円)
※( )内は20名以上の団体及び夜間割引(金曜午後6時以降)
※高校生以下・18歳未満は無料*。※心身に障がいのある方と付添者1名は無料*。
※母子・父子家庭の世帯員の方は無料*。*入館の際に証明できるものをご提示ください。
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
【会 場】 京都国立近代美術館[岡崎公園内](〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町)
【主 催】 京都国立近代美術館、清荒神清澄寺 鉄斎美術館、毎日新聞社、京都新聞
【協 賛】 ライブアートブックス
【お問合せ】 075-761-4111
[美術館公式HP]

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「没後100年 富岡鉄斎」@京都国立近代美術館シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年4月29日 月曜日 24:00
記載内容
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