明治から昭和まで京都画壇の中心として活躍し、「西の栖鳳、東の大観」と称された竹内栖鳳(たけうち・せいほう)(1864-1942)。
当時日本ではなかなか見られなかった珍しいトラやライオンなどの動物から、雀や犬、猫などの身近な動物まで多くの動物を描き、その卓越した描写力は、「動物を描けば、その匂いまで表現できる」と評されるほどでした。

このたび、京都市京セラ美術館では、開館90周年を記念して特別展「京都市美術館開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」が開催されます。

竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家です。
円山応挙を祖とする円山派と、その弟子・呉春に始まる四条派の両方を受け継いだ師・幸野楳嶺の教えを励行し、「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードし、近代京都日本画の礎を築きました。
画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡りました。
技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら上村松園や西山翠嶂、橋本関雪をはじめ、多くの弟子を育成したことでも知られています。

本展では、栖鳳の作品約130点が一堂に会します。本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、様々な資料もあわせてご覧いただけます。
当館所蔵の重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作を集めて展示し、その画業を振り返ります。
また、新発見となる《羅馬遺跡図》(1903年)を本邦初公開!イタリア、ローマの遺跡を描いたとされる貴重な作品で、栖鳳が渡欧した体験を反映したものです。
栖鳳の大規模個展が京都で行われるのは、10年ぶりとなります。(前回は2013年に京都市美術館で開催)。若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作が一堂に集結し、その変遷を辿ります。

竹内栖鳳

◆第1章 栖鳳登場 京都画壇の麒麟児

竹内栖鳳《観花》1897年 海の見える杜美術館蔵 後期展示

幕末京都の料理屋に生まれ、絵描きの道へ。若い頃より才を発揮し、画壇にて鮮やかなデビューを果たしましたが、踊る骸骨の絵、過激な画題で、本作は展覧会の出品拒否となりました。

◆第2章 栖鳳、世界へ まだ見ぬ美術を求めて

竹内栖鳳《金獅》1901年頃 株式会社ボークス蔵 *10/7~11/12のみ展示

栖鳳に運命の転機が訪れ、1900(明治33)年、ヨーロッパへの渡航。西洋文化を学び、作品は新たなステージへ。アントワープの動物園でライオンの実物に熱中。大迫力の獅子に皆を驚かせました。

竹内栖鳳《ベニスの月》1904年 髙島屋史料館蔵 前期展示

水の都ベニスの静かな夜。水墨画の手法で世界の風景を描きました。

竹内栖鳳《羅馬之図》(左隻)1903年 海の見える杜美術館蔵 *11/21~12/3のみ展示

竹内栖鳳《羅馬之図》(右隻)1903年 海の見える杜美術館蔵 *11/21~12/3のみ展示

イタリアローマの遺跡を遠近法などの技法を取り入れ、描きました。

◆第3章 日本画は一度破壊すべし 新しい時代へ

竹内栖鳳《アレ夕立に》1909年 髙島屋史料館蔵 前期展示

文部省美術展覧会が始まり、京都画壇の代表として出品を重ねた時代。
将来の美術はどうあるべきか。模索のなか、日本画の破壊と創生へ舵を切りました。
本作は、舞妓のしなやかな動きを表現し、「京都的」と評され、装飾と写実を高度に調和させた一作。

[重要文化財]竹内栖鳳《絵になる最初》1913年 京都市美術館蔵 後期展示

京都・東本願寺に天女の天井画を依頼された栖鳳。モデルの急逝のため、別の若いモデルに依頼したところ、慣れない女性が脱衣をためらう姿に、インスピレーションを受けて本作が描かれました。従来の美人画とは違う新鮮な作品が生まれ、まさに「新しい日本画」と評価され、重要文化財となりました。

◆第4章 躍動する写生

竹内栖鳳《蹴合》1926年 

対象を徹底して見つめ、うつす「写生」。 決まった型を脱却し、新鮮で生き生きとした筆づかいは、栖鳳の代名詞となりました。
暴れまわる鶏。翅の音が聞こえてきそうな迫力の写生表現。

◆第5章 栖鳳、旅に出る 心の風景を探して

竹内栖鳳《潮沙永日》1922年 京都市美術館蔵 前期展示

旅が大好きだった栖鳳。中国、潮来、湯河原など、心に刻んだ光景を絵にしました。
美しい青で表現された海。日本の自然が穏やかに描かれた作品です。

◆第6章 生き物たちの賛歌

竹内栖鳳《清閑》1935年頃 京都市美術館蔵

卓越した写生から、動物を描いて、においまで表わすと評された栖鳳。
身近な動物こそ、彼の十八番でした。見ているものを穏やかな気持ちにさせる愛らしい動物の寝顔。肉球にも癒されます。

竹内栖鳳《夏鹿》(左隻)1936年 MOA美術館蔵

竹内栖鳳《夏鹿》(右隻)1936年 MOA美術館蔵

「写生」を重要視し、卓越した描写力で、生き生きと動物たちを描き出した竹内栖鳳。
近代京都の日本画界を牽引し、新しい時代の日本画を切り拓きました。
栖鳳の技術の発展、表現の推移、挑戦の軌跡を是非、新しい京都市京セラ美術館でご堪能ください。

展覧会概要

展覧会名:京都市美術館開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー
会期:2023年10月7日(土)~12月3日(日) 
   前期:10月7日(土)~11月5日(日)
   後期:11月7日(火)~12月3日(日)
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階
開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
料金:一般:1,800(1,600)円
   大学・高校生:1,300(1,100)円 
   中学生以下無料
※( )内は前売、20名以上の団体料金
※京都市内に在住・通学の高校生は無料
※障害者手帳等をご提示の方は本人及び介護者1名無料
 (学生証、障害者手帳等確認できるものをご持参ください)
主催:京都市、京都新聞、ライブエグザム、BSフジ、日本経済新聞社
協力:株式会社サンエムカラー

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「京都市美術館開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」@京都市京セラ美術館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年10月23日 月曜日 24:00
記載内容
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