京都府の最南部、奈良市に隣接する地域は旧国名の山城国にちなんで、「南山城(みなみやましろ)」と呼ばれています。
木津川に育まれた風光明媚な地であり、独自の仏教文化が花開いたこの地には奈良時代や平安時代に創建された古刹が点在し、そこには優れた仏像が伝わり、絶え間なく信仰の場であったことを表わしています。
平安時代に貴族たちが極楽往生を願い、九体阿弥陀(くたいあみだ)(9体の阿弥陀如来像)を阿弥陀堂に安置することが流行しましたが、九体寺とも呼ばれる浄瑠璃寺には当時の彫像・堂宇が唯一現存します。9体の阿弥陀如来像が並ぶ様子はまさに極楽浄土の世界を表わしています。

このたび東京国立博物館(東京・上野公園)では、2023 年 9 月 16 日(土)から 11 月 12 日(日)まで、浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」が開催されます。
本展は、浄瑠璃寺の九体阿弥陀の修理完成を記念して開催される展覧会です。
南山城に伝わる国宝、重要文化財をはじめとする数々の貴重な仏像を通じて、その歴史や文化の奥深さを辿ります。

本展では、5か年に及ぶ保存修理が完成した浄瑠璃寺九体阿弥陀像のうち2軀が修理後、初公開され、その優美な姿を寺外で拝することのできる貴重な機会となります。

また現在、東京の静嘉堂文庫美術館と東京国立博物館が分蔵する十二神将像が、今回12軀揃って初めての里帰りとなり、実に140年ぶりに本尊の薬師如来と再会します。

緑に囲まれた神聖なる京都・南山城の地の多彩な仏像をご堪能頂き、心洗われるひとときをお過ごしください。
それでは展覧会の見どころと主な仏像作品を観ていきましょう。

浄瑠璃寺九体阿弥陀 明治期以来およそ110年ぶりの修理完成記念

何百年も前に作られた仏像が長い時間を経て今に伝わるのは、それを守ろうとする人々の意志のもと、繰り返し修理が行なわれてきたためです。このたび、浄瑠璃寺の九体阿弥陀はおよそ110年ぶりに大規模な修理が行われました。
次の100年へ伝えるための一大事業です。

浄瑠璃寺九体阿弥陀堂 画像提供:飛鳥園

浄瑠璃寺の本堂に安置される平安時代の9体の阿弥陀如来坐像が 2018 年度から 2022 年度までの5年をかけて修理されました。2020年度には最も大きい中尊像1体、それ以外は毎年度2体ずつ、本堂から奈良国立博物館の文化財保存修理所へと運び出し、公益財団法人美術院によって、像の表面の漆や金箔の浮き上がりを抑え、傷みや破損がある箇所の処置が行なわれました。

平安時代の仏像の変遷が一堂に見られる

国宝 阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀のうち) 平安時代(12世紀) 京都・浄瑠璃寺 

現存唯一の平安時代の九体阿弥陀のうちの1体。丸い顔立ちや浅い衣文表現など、総じて穏やかな作風は平安時代後期に流行した定朝様の特徴です。平安時代に仏の教えが廃れる末法(まっぽう)思想を背景に、阿弥陀如来が住む極楽浄土に生まれ変わることを願う信仰が隆盛しました。現世での行ないに応じて9段階の極楽往生の方法があるとされ、それに関わる9体の阿弥陀如来像いわゆる九体阿弥陀が作られ、専用の堂宇である九体阿弥陀堂に安置されました。記録の上では30例ほど確認できますが、当時の彫像と堂宇が現存するのは浄瑠璃寺だけです。

重要文化財 十一面観音菩薩立像 平安時代(9世紀) 京都・海住山寺

平安時代初期の木彫像を代表する名作。大半をきめの細かい一本の木材から彫り出し、材の特性を生かして目鼻や衣の襞を切れ味鋭く明快に刻む点に高い技術がうかがえ、全身を弓なりに反らせて右膝を少し曲げた流麗な姿勢は優れた造形感覚を示します。鎌倉時代に海住山寺を再興した興福寺僧・貞慶(じょうけい)の念持仏(ねんじぶつ)であったと伝わります。

重要文化財 十一面観音菩薩立像 平安時代(10世紀) 京都・禅定寺

高さ約3メートルもの巨大な十一面観音菩薩。禅定寺創建時からの本尊です。柔らかな顔立ちやなだらかな体つき、衣の襞を浅く表わす点は、彫刻造形が和様化し始めた平安時代中期の特徴を示します。禅定寺は藤原家の援助を受けて東大寺の平崇人が創建した奈良とゆかりの深い寺院で、本像の制作にも東大寺で活動した仏師の関与が想定されています。

3. 鎌倉時代の作品にも注目

重要文化財 阿弥陀如来立像 鎌倉時代・嘉禄3年(1227)頃 京都・極楽寺

鎌倉時代に奈良で活躍した慶派仏師の仏像。像内の納入品から、運慶とともに東大寺や興福寺の仏像制作を手掛けた快慶かいけいの亡くなった時期下限が分かる点が貴重です。作者は快慶の弟子の行快(ぎょうかい)とされ、整った顔立ちや細かい衣の襞(ひだ)など、師の作風を受け継いでいます。奈良の大寺院や鎌倉幕府に重用された慶派仏師たちが南山城でも活動したことが分かります。

京都・南山城の神聖なる浄瑠璃寺九体阿弥陀の明治期以来およそ110年ぶりの修理完成を記念する「京都・南山城の仏像」でまるで極楽浄土のような世界をご体感ください。

展覧会概要

◼ 展覧会名 : 浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」
Special Exhibition
Celebrating the Completion of Conservation Work on Jōruriji Temple’s Amida Statues
Buddhist Sculptures from Minami Yamashiro in Kyoto
◼ 会 期 : 2023 年 9 月 16 日(土)~11 月 12 日(日)
◼ 会 場 : 東京国立博物館 本館特別5室
◼ 開館時間 : 午前 9 時 30 分~午後5時 ※入館は閉館の 30 分前まで
◼ 休 館 日 : 月曜日(ただし、9 月 18 日、10 月 9 日は開館)、9 月 19 日(火)、10 月 10 日(火)
◼ 主 催 : 東京国立博物館、日本経済新聞社、テレビ東京、BS テレビ東京
◼ 協 賛 : JR 東海、竹中工務店、NISSHA
◼ 特別協力 : 京都南山城古寺の会
◼ 公式サイト : https://yamashiro-tokyo.exhn.jp
◼ 公式 SNS: @m_yamashiro2023 (Twitter)
◼ 問い合わせ : 050-5541-8600(ハローダイヤル)
◼ 観 覧 料 : 当日 一般 1,500 円 大学生 800円 高校生 500 円
※展示作品、会期、開館時間、休館日等については、今後の諸事情により変更する場合があります

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「京都 南山城」@東京国立博物館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年10月2日 月曜日 24:00
記載内容
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