『ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター』(以下、スタジ オツアー東京と略す)が 6 月 16 日(金)にグランドオープンしました。2012 年にオープンし、好評を 得ている「ワーナーブラザース スタジオツアーロンドン メイキング・オブ・ハリー・ポッター」に続き、アジア初となるハリー・ポッターの屋内施設としては世界最大規模のスタジオツアーです。

スタジオツアー東京は映画史上屈指のヒットシリーズとなった「ハリー・ポッター」シリーズや 「ファンタスティック・ビースト」シリーズの映画の世界を体験できるとともに、映画制作の舞台裏を学ぶことができる“知的なエンターテイメント”でもあります。アトラクションを中心としたテーマ パークを連想する施設ですが、スタジオツアーと銘打ったとおり、さながら自分が映画の出演者に なったか、もしかすると「ハリー・ポッター」の世界に迷い込んだかのように、映画の世界にリアル に没入する貴重な体験ができます。

このリアリティを実現している要となるのは3 D 映像や拡張現実の技術ではなく、実際に映画制作に 携わった世界最高峰のクリエイターたちの手により再現された実物大のセットに、キャラクターたち が劇中で纏った豪華な衣装や、物語に強いインパクトを与えた魔法動物たちが登場することで、魔法 の世界を現実のものとしているところにあります。

◯ホグワーツ魔法魔術学校を象徴する〈大広間〉

スタジオツアー東京の施設そのものは表の通りから見える車寄せの奥。敷地内のさらに奥の森に隠れており外観は隠されているかのようです。写真の右側の高い木々に隠れて、僅かに見えています。ここがスタジオツアー東京だと分かるのは、表通りに面して「ハリーポッター」の巨大なビルボードだけです。

ゲストがスタジオツアー東京でまず目にするのは、広大なロビーの手前で、睨みをきかせながら上か
ら見下ろしているドラゴンです。ロビー壁面に設置された巨大な帯状のスクリーンには「ハリーポッ
ター」の名シーンが投影されており、まもなくはじまるツアーに否応なしに期待が膨らみます。

ツアーエントランスを通りぬけると重厚な扉が現れます。この扉を開けるとそこには、あのホグワー
ツ魔法魔術学校を象徴する〈大広間〉に出ます。大広間奥の壇上では、中央にアルバス・ダンブルド
ア校長が立ち、その両脇にはセブルス・スネイプやルビウス・ハグリッドといったホグワーツの教授
や職員の姿もあります。

副校長のミネルバ・マグゴナルの前では組み分け帽子の儀式が行われており、大広間の両脇には、グ リフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの 4 つの寮、それぞれの制服が展示されています。その中でもグリフィンドールには、ハリー・ポッター、ハーマイオニー・グレンジャー、 ロン・ウィーズリーの3人の衣裳が展示されています。

◯〈大理石の階段〉が動き出す!

大広間を出ると次には数多くの肖像画が掛けられたホグワーツ城の廊下に出ます。見上げると、そこには〈大理石の階段〉があり、壁面には膨大な数の肖像画で埋め尽くされています。しばらくすると〈大理石の階段〉の一つが動きだしました。奥の壁面の階段上部が音もなく壁から離れ、来場者の頭の上を通り、手前の壁面に階段がかかりました。まさに魔法の世界を目の当たりにした瞬間です!

よく見れば肖像画の中には肖像が動くものがあります。肖像画の中に住む紳士、淑女たちが行ったり
来たりする映画のワンシーンの再現です。〈動く肖像画〉は来場者が撮影すると肖像画の中で自分の
動く姿が表示される仕組みになっています。

◯職人技が光る、美しい〈ロンドン魔法省〉

続いて通されたのが〈ロンドン魔法省〉。魔法省というワードは第1作から度々出ていたものの、実 際に映画に登場したのは第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』。事前に公表されていた情報
から面積が900m²を超え、壁の高さは 10m以上と知ってはいたものの、実際にはそれ以上の広大な空間に感じ、驚くべき迫力です。

特にメタリックな緑と赤のコントラストは強烈な印象を与えます。これほどのものを映画制作スタッフが手作業で作ったとは俄に信じ難い仕上がりです。

制作の舞台裏となる、さまざまなセットや小道具にリアリティを与える、エイジングなどの制作手法を明かした展示室があるのですが、そこでガイドスタッフの方にお教えいただいたのが、魔法省のメタリックなタイルは、木材に何度か色を塗り重ねて表現されたものとのこと。実際のタイルと見分けがつかない仕上がりに驚きます。

「Magic is Might(魔法は力なり)」と刻まれ、虐げられたマグルを表現したこの石像は、ヴォルデ モード卿政権下に魔法省に据えられた負の遺産ですが、この重厚な石のオブジェは一体何で出てきて いるのでしょう? どう見ても石にしか見えないんですけどね。

映画をご覧になった方はご存知と思いますが、魔法省の職員たちが通勤するのには、電話ボックスや トイレ、暖炉からフルーパウダー(煙突飛行粉)を使って移動するのですが、ここにある3 m 近い高 さの巨大な暖炉に入ると、フルーパウダーを体中に振りかけているかのような魔法の効果が再現され ます。ただし、どこかに転送されることはないのでご安心を。

一角には魔法省と縁深いキャラクターたちが並んでいます。左側にはニュート・スキャマンダーと 「ファンタスティック・ビースト」の人々。「ファンタスティック・ビースト」における魔法界の統 治機構といえば、MACUSA(アメリカ合衆国魔法議会)がお馴染みですが、第2作「ファンタス ティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」において〈ロンドン魔法省〉が登場します。右側にはピ ンクのワンピースが忌々しいドロレス・アンブリッジをはじめとした闇落ちした魔法省の面々も。

後半へ続く