企画展「救いのみほとけ お地蔵さまの美術」が根津美術館において7月2日まで開催中です。
館所蔵の仏画や仏像を中心として、日本における地蔵信仰の歴史とその広がりを概観する展覧会です。
*「記者内覧会で許可を得て撮影。展示室内は撮影禁止。」

公式サイトには、下記の説明があります。

「親しみを込めて“お地蔵さま”とよばれる地蔵菩薩は、おそらく日本人の誰もが知るほとけでしょう。日本では平安時代に入ってから本格的に信仰されるようになり、平安時代後期に衆生を救済するほとけとしての信仰が確立すると、それ以降は地域や時代を超えて崇められ、数多くの仏画や仏像が作られました。
本展では、館蔵品の仏画や仏像を中心として、日本における地蔵信仰の歴史とその広がりを概観します。この展覧会が、地蔵菩薩にかかわる美術の華麗で多様な世界を知る機会となれば幸いです。」

《地蔵菩薩立像》(重要文化財) 快助作 日本・平安時代 久安3年(1147) 根津美術館蔵
photo©︎moichisaito

その顔立ちや体軀に平安後期らしい穏和さがうかがえる重要文化財の《地蔵菩薩立像》。展覧会では、普段は見られない後ろ姿なども見られるのがありがたいです。

《地蔵菩薩立像》(重要文化財) 快助作 日本・平安時代 久安3年(1147) 根津美術館蔵
photo©︎moichisaito

《矢田地蔵縁起絵巻》(重要美術品)は、毎月決まった日に奈良・金剛山寺(通称矢田寺)に参詣し、地蔵菩薩に祈願すると、その功徳によって地獄での責め苦から救済されるという霊験を図示した絵巻です。12月24日の参詣し祈願すれば極楽への往生が決定されると説いています。

《矢田地蔵縁起絵巻》(重要美術品) 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵
photo©︎moichisaito

こちらは初公開の極めて珍しい、通常とは両手の上げ下げが逆の地蔵像。鎌倉時代に宋からもたらされた逆手の阿弥陀の図様を採用した可能性があるとのこと。

《地蔵菩薩像》 日本・室町時代 15世紀 根津美術館蔵
photo©︎moichisaito

こちらも初公開の《地蔵十王図》。もとは地蔵菩薩と十王を1尊づつ全11幅で描いたとみられるもの。左の秦広王図は、背後の衝立の描かれた山水表現などから、当代一流のやまと絵の絵師が描いた可能性が高いそう。

《地蔵十王図》(初公開) 日本・室町時代 15世紀 根津美術館蔵
photo©︎moichisaito

《如来立像》 朝鮮・新羅時代 7 ~ 8世紀 根津美術館蔵
photo©︎moichisaito

ふだん思い描く「お地蔵様」のイメージ通りのものもあれば、意外な姿に驚くものもあります。その時代時代でどのように信仰され、当時の作家がどのようにそのお姿を表現したのか、地蔵信仰の歴史を辿りながら楽しむことができる展覧会です。

展示室5において西田コレクション受贈記念Ⅲとして「阿蘭陀・安南 etc.」も開催中です。

このアプローチも根津美術館の魅力の一つ。
photo©︎moichisaito

開催概要

会期:開催中~2023年7月2日(日)
会場:根津美術館 展示室1・2
住所:東京都港区南青山6-5-1
時間:10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日:月曜日 
観覧料:オンライン日時指定予約 一般 1,300円 学生 1,000円
    ※障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
TEL 03-3400-2536
URL https://www.nezu-muse.or.jp/