淡いパステルの色彩と優美なフォルムで華やかな女性像を描き、一躍脚光を浴びたマリー・ローランサン。画家としてのみならず舞台美術家や室内装飾家としても活躍し、時代を切り拓いた女性です。
今年は、マリー・ローランサン生誕140年にあたり、「マリー・ローランサンとモード」が開催されています。東京、京都で人気を博し、名古屋市美術館では、2023年6月24日から9月3日まで開催されます。

また、マリー・ローランサンと同い年のココ・シャネルは、ファッションにおいて、男性服の素材やスポーツウェアを女性服に取り入れ、パリの社交界で瞬く間に注目を集めました。
二人は、二つの世界大戦に挟まれた 1920 年代のパリで、様々な芸術がジャンルを超えて交錯した時代を生きる女性たちの代表ともいえる存在です。

本展では二人の活躍を軸に、ポール・ポワレ、ジャン・コクトー、マン・レイ、ジャンヌ・ランバンなど、時代を彩った人々との関係にも触れながら、美術とファッションがそれぞれの境界を越えてダイナミックに展開していく様子を辿ります。
オランジュリー美術館やポンピドゥー・センター、マリー・ローランサン美術館など国内外のコレクションから、約 90 点の名品が紹介されています。
デザイナーカール・ラガーフェルドによる、ローランサンの色彩を蘇らせたシャネル・スーツを是非、ご覧ください。
それでは、シネフィルでも展覧会構成に従って、いくつかの作品を観ていきましょう。

マリー・ローランサン 《わたしの肖像》 1924 年 油彩/キャンヴァス
マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin photo by ©cinefil

第 1 章 レザネ・フォルのパリ

奇しくも 1883 年という同じ年に生まれたローランサンとシャネル。美術とファッションという異なる分野に身を置きながら互いに独自のスタイルを貫いた二人は、「レザネ・フォル(狂騒の時代)」と呼ばれた 1920 年代のパリを象徴する存在でした。

ローランサンは、女性美をひたすら追求し、社交界の女性たちを繊細優美に描いた肖像画で、瞬く間に人気画家に駆け上がりました。一方、シャネルの服を身にまとうことは、ひとつのステータス・シンボルとなっていきました。

マリー・ローランサン《ヴァランティーヌ・テシエの肖像》1933 年 油彩/キャンヴァス ポーラ美術館  
photo by ©cinefil

マリー・ローランサン《マドモアゼル・シャネルの肖像》1923 年 油彩/キャンヴァス オランジュリー美術館 
photo by ©cinefil

第2章 越境するアート

1920 年代のパリは、スペインからパブロ・ピカソ、アメリカからはマン・レイなど、国境を超えて集まった多くの若者たちがパリで才能を開花させた時代でした。そして美術、音楽、文学、ファッションなど、別々の発展を遂げてきた表現が垣根を超えて手を取り合い、「バレエ・リュス」などに代表される新たな総合芸術が活発になります。

ローランサンとシャネルも、その活動に参加することで表現の幅を広げ、新たな人脈を形成する糸口をつかみました。ジャン・コクトーなど、前衛と社交界を繋ぐ人物の存在もカギとなります。工芸や染色、ファッションなどの装飾美術が芸術的地位を高めたのもこの頃のこと。ローランサンもまたこの分野において貢献しました。

マリー・ローランサン《牝鹿と二人の女》1923 年 油彩/キャンヴァス ひろしま美術館

マリー・ローランサン《鳩と花》1935 年頃 油彩/キャンヴァス(タペストリーの下絵)マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin photo by ©cinefil

第3章 モダンガールの登場

第一次世界大戦を契機とした女性の社会進出、都市に花開いた大衆文化、消費文化を背景に、短髪のヘアスタイルにストレートなシルエットのドレスをまとった女性が街を闊歩しました。彼女たちは“モダンガール”と呼ばれ、世界的な現象となります。
ポール・ポワレによるコルセットからの解放、ココ・シャネルのリトル・ブラック・ドレスの発表を経て、さらにジャンヌ・ランバンを始め多くのデザイナーたちが競ってモダン・ファッションに取り組み、女性服は大きく変化を遂げたのです。

名古屋市美術館 展覧会風景 photo by ©cinefil

ガブリエル・シャネル 《デイ・ドレス》 1927 年頃 神戸ファッション美術館

ジャンヌ・ランバン 《ドレス》 1936 年 島根県立石見美術館

マリー・ローランサン《羽根飾りの帽子の女、あるいはティリア、あるいはタニア》
1924 年 油彩/キャンヴァス マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin

マリー・ローランサン シャルリー・デルマス夫人 1938年 油彩・キャンヴァス
マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin photo by ©cinefil 

エピローグ よみがえるモード

1983年から 30年以上にわたり、メゾン・シャネルのアーティスティック・ディレクターを務めたカール・ラガーフェルド(1933-2019)。ローランサンの色彩から着想を得て、コレクションを発表しました。ローランサンとシャネルの二人が、百年近い時を経て新たなモードの中で見事に融合したのです。

カール・ラガーフェルド、シャネル
ピンクのツィードのスリーピース・スーツ、刺繍が施された襟元とベルト2011 年春夏 オートクチュール コレクションより
2011 年 パリ、パトリモアンヌ・シャネル© CHANEL photo by ©cinefil

マリー・ローランサン《ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン》
1922 年 油彩/キャンヴァス マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin photo by ©cinefil 

絵画とファッション、ジャンルは異なりますが、燦然と光輝くマリー・ローランサンとココ・シャネルの芸術は、いまも色褪せることなく、私たちを魅了し続けます。

展覧会概要

展 覧 会 名 マリー・ローランサンとモード
会 期 2023 年 6月24日(土)~9月3日(日)【63 日間】
開館時間:午前 9 時30 分~午後5 時、8月11日を除く金曜日は午後 8 時まで
(いずれも入場は閉館の 30 分前まで)
休 館 日:月曜日(7月 17日、8月14日は開館)7月18日(火)
会 場 名古屋市美術館
〒460-0008 名古屋市中区栄 2-17-25 〔芸術と科学の杜・白川公園内〕
TEL:052-212-0001 FAX:052-212-0005
主 催 名古屋市教育委員会・名古屋市美術館、中京テレビ放送
協 力 ヤマト運輸、名古屋市交通局
後 援 在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本、名古屋市立小中学校 PTA 協議会
企 画 協 力 美術デザイン研究所
観 覧 料 一般 1,800 円(1,600 円)、高大生 1,000 円(800 円)、中学生以下無料
( )内は、前売・団体料金
展覧会公式ホームページ

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「マリー・ローランサンとモード」@名古屋市美術館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年6月26日 月曜日 24:00
記載内容
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