第18回大阪アジアン映画祭は、3月10日から19日までの10日間の上映を終え、閉幕いたしました。4年ぶりに国内外からのゲストを迎えての開催となり、最終日3月19日は、クロージング作品『サイド バイ サイド 隣にいる人』(伊藤ちひろ監督)世界初上映の前に、グランプリ以下各賞の受賞結果を次のとおり発表いたしました。

★グランプリ(最優秀作品賞)
『ライク&シェア』(Like & Share)|インドネシア|
監督:ギナ・S・ヌール(Gina S. NOER)

《授賞理由》
私たち審査委員全員が、この映画の突きつける明確かつ力強いメッセージに心を打たれました。それは若い女性たちの性への好奇心や欲望を肯定しながら性暴力に対しはっきりとNoを唱える、というメッセージです。
また、映画の持つスタイルも独創的です。前半、観客を魅了した甘くてポップなムーブは物語が進むにつれダークなものになり、私たちを戦慄させます。
強烈なスローガンを見事な演出で表現した本作は、今こそ見られるべき映画です。

<ギナ・S・ヌール監督コメント>
グランプリを受賞し大変驚いています。全ての観客、審査委員、そして関係者の皆さまに感謝いたします。この映画はトラウマや性暴力を扱っているので、話題としても取り扱いがたく、この問題を扱った映画を製作することも非常に難しい中、取り組んできました。結果としてこのような賞をいただき、光栄に思っています。ありがとうございました。

★来るべき才能賞
クー・チェンドン(Kai KO/柯震東)|台湾|黒の教育(Bad Education/黒的教育)監督

クー・チェンドン

《授賞理由》
クー・チェンドン監督は、ジェットコースターのように変化する3人の若者の心境をリアルに描き、観客はまるで彼らとともにクレイジーな一夜を体験するようでした。
映画全体に強烈なスタイル、明快で正確なテンポがありました。息もつかせぬ展開のストーリーは予想を上回り、決して退屈することがありませんでした。
初監督作にもかかわらず、クー・チェンドン監督はこのようなブラックなテーマを鮮やかに描いたことに加え、俳優たちの素晴らしい演技を引き出しています。今後のクー・チェンドン監督のさらなる活躍に期待が高まらざるをえません。

★ABCテレビ賞
『四十四にして死屍死す』(Over My Dead Body/死屍死時四十四)|香港|
監督:ホー・チェクティン(HO Cheuk Tin/何爵天)

★薬師真珠賞
ルー・シャオフェン(LU Hsiao-fen/陸小芬)|台湾|
『本日公休』(Day Off)主演俳優

★JAPAN CUTS Award
『朝がくるとむなしくなる』(When Morning Comes, I Feel Empty)|日本|
監督:石橋夕帆(ISHIBASHI Yuho)

★芳泉短編賞
『燕は南に飛ぶ』(Swallow Flying to the South/燕南飛)|アメリカ、カナダ、中国|
監督:リン・モーチ(LIN Mochi/林墨池)

★芳泉短編賞スペシャル・メンション
『できちゃった?!』(Daddy-To-Be /有了?!)|台湾|
監督:パン・カーイン(PAN Ke-yin/潘客印)

★観客賞
『本日公休』(Day Off/本日公休)|台湾|
監督:フー・ティエンユー(FU Tien-yu/傅天余)