2022年10月7日、ヒューマントラストシネマ有楽町にて、映画『42-50 火光(かぎろい)』初日舞台挨拶が行われ、宮澤美保、桂憲一、加賀まりこ、深川栄洋監督が登壇。

本作は、深川監督が 2019 年から作り始めた2つの異なる自主映画作品を「sideA」「sideB」と称し て連続して公開する取り組み=return to mYselF プロジェクトのうち、「sideA」として発表する 『42-50 火光(かぎろい)』。

子どもの頃は売れていた 42 歳・女優の佳奈と、脚本家の 50 歳の夫・祐司、ミドル世代に差し掛か った夫婦が、不妊治療というストレス、難病で死に向かう父、問題を複雑化させる姉妹、我が儘を 拗らせる親たちなど切実な問題に葛藤する姿をユーモアを交えて描くヒューマン・ドラマであり、実 の夫婦でもある深川栄洋監督と宮澤美保の結婚からの3年間を描いた私小説でもある。宮澤美保は自身の役を、そして夫の深川監督を桂憲一が演じる。
そして、深川監督と親交が深い加賀まりこが、監督の結婚祝いで伝えたある言葉が本作制作の大きなきっかけとなっている。 撮影は、2021 年の夏、2 週間かけて敢行された。

舞台挨拶のこの日の東京・有楽町は雨。司会の呼び込みと共に、宮澤美保、桂憲一、加賀まりこ、 深川栄洋監督が登壇。

宮澤は「この映画は誰に頼まれたわけでもなく、自主的に作ったとても小さな映画なんですけど、 このように立派な劇場で公開初日を迎えられること、とても嬉しく思っています。」とあいさつした。
夫婦でもある深川監督、宮澤をモデルにこの映画を撮った原点を聞かれると、深川監督は、「僕
は、20 歳から 27 歳くらいまで自主映画を撮ってたんですが、その時にお客さんが喜んでくれたの は、自分が体験したことや身の回りを題材にした作品。なので、久しぶりのオリジナル映画となる 本作では、自分たち夫婦が結婚して3年くらいの間に起こったことを私小説として映画にしたらお 客さんに響くのかなと思いました」と明かした。

最初に台本を読んだ時のことを聞かれた宮澤は、「最初は『お願いだからこれはやりたくない』と思いましたね(笑)。あまりにも自分たちのことが描かれすぎて、世の中の人にお伝えしていいんだろうか」と感じたことを振り返った。

そして、深川監督自身の役を桂憲一にオファーすることになったのは、「私の提案だった」と宮澤。「19 年前に(桂さんと)一緒に舞台をやったことがあって、そこから連絡は取ってなかったんですけど、演技がとても素晴らしいのはもちろん、なんとなく(深川)監督の持っている雰囲気と似たものがあるなと思い、監督におすすめしました」。

そのオファーを受けた桂は、「監督と会ってお話しし、そし て台本も読んだところ、是非やらせていただきたいなと思いました。宮澤さんには、よくぞ僕のことを思い出してくれた!と思いました」と、喜んで引き受けたそう。

そして、祐司にアドバイスする“女優”を演じた加賀まりこが、「私が監督の結婚祝いの時に言ったことをベースに、この作品の脚本を書いたと口説かれて、それは責任取らなきゃと思って」と、オファーを受けた理由を明かすと、深川監督は、次のように説明した。
「僕が 40 歳で妻と結婚した時に、加賀さん、天海祐希さん、内田有紀さんが結婚祝いの食事会を開いてくれて。その時に加賀さんが『あなたはこれからどんなことがあっても妻の味方にならなきゃダメなのよ』とおっしゃって。それが 結婚生活の中で、ずっと自分の中の指針になっていました。夫婦の間の潤滑油にもなっていましたね」。

そして、最初に脚本を読んだ時の感想を聞かれた加賀は、「ちょっとあまりにも私小説すぎない?お客さんに素敵な夫婦って思ってもらえるのかな?」と不安を感じたものの、「この夫婦のことを『素敵!』と思うか、『気持ちワル!』と思うかどちらかね。私は 2 人をよく知ってるので、素敵と思いました」と感想を吐露。
さらに完成した映像を観て「美保さんさん、よくやった!」と感じ たという。宮澤も「自分の家が撮影現場だったので、朝起きて、役を演じるまでが全部繋がっていて(笑)、とても不思議な感覚だったんですけど、後にも先にも今回しかできないだろうなって思って楽しかったです。」と振り返った。

一方、加賀との共演シーンについて聞かれた桂が「大女優さんだから私は緊張していたんですけど、加賀さんがその緊張を解いてくださったおかげで、とても和やかな雰囲気の撮影現場でした。」と話すと、加賀は「私は監督ととても親しいので、その親しさが映像に出ればいいなと思ってたんですけど、(桂さんの)目は怯えてたよね(笑)」と、桂を落ち着かせようとした理由を明かし、場内は笑いに包まれた。

ここで時間となり、次のように宮澤と深川監督が最後のメッセージを伝え、舞台挨拶の幕が閉じた。 「この作品の輪をこれからゆっくり時間をかけて広げていきたいなと思っています。よろしくお願いします」(宮澤)
「僕自身の大きなチャレンジとなった作品なので、一人でも多くの人に観ていただきたいなと思っております。監督と役者が夫婦というのはあまりない状況ですけど、この映画を観ていただくと、そこにも親近感を持っていただけるんじゃないかなと思っています。この映画を観ていただいた方は“親戚”だと勝手に思っておりますので、ご友人やご家族にもこの作品の輪を広げていってください。」(深川監督)

映画『42-50 火光(かぎろい)』は、ヒューマントラストシネマ有楽町・下北沢トリウッド他全国順次
公開中。なお、下北沢トリウッドでは連日、上映後にトークイベントも実施する。

下北沢トリウッド連日トークイベント開催

10/9(日)13:10
宮澤美保・春日井静奈(佳奈の友達/恭子役)
10/10(月・祝)16:20※上映前
深川栄洋・宮澤美保
10/12(水)19:00
宮澤美保・市原洋(祐司の仕事関係/リサーチャー本田役)
10/13(木)19:00
宮澤美保・八木さおり(祐司の次姉/亮子役)
10/14(金)19:00
宮澤美保・棚橋ナッツ(祐司の次姉の夫/康介役)・佐々木史帆(鍼灸院の職 員/鶯谷のゴッドハンド役)

『42 50火光』予告編

予告編「42 50火光」10/7(金)公開 ヒューマントラストシネマ有楽町 下北沢トリウッド return to mY self プロジェクト sideA

youtu.be

<あらすじ>
50歳、祐司は脚本家。42歳、佳奈は女優。2人は2年前に結婚した夫婦であり、夫の母と同居している。佳奈は最近、自分の演技に限界を感じていた。「子供を産んだことのない自分には、母親の役が上手く出来ない」と。夫の祐司とは積極的に子作りを意識していなかったが、家族会議で不妊治療を始めることになる。夫婦は不妊治療の現実を知ると、42歳はかなり遅いスタートになったと理解する。色んな情報や困難に悩みながらも、子供という希望が二人の日々を明るくしていく。しかし、ある時、佳奈の父、徹(69)が難病指定のA L Sを発症していることが分かる。夫婦の生活は不妊治療と難病の父を支える日々。ストレスが重なる佳奈は、同居する祐司の母、容子とボタンの掛け違いを生んでいく。「姑と妻の問題」に直面した祐司は、離れて暮らす姉妹に相談するが、「二人の小姑」の存在は問題をより複雑に炎上させていく。
ミドル世代に差し掛かる夫婦には、若い夫婦よりも2倍3倍のストレスが降りかかる。不妊治療というストレス、難病で死に向かう父、問題を複雑化させる姉妹、我が儘を拗らせる親たち……。東京で暮らす夫婦の実態を見つめた映画を通じて、観客は日本人の今(リアル)を知ることができる。結婚について、親と子について、妊娠について、死について、私たちは答えを出せるのだろうか―――。

宮澤美保 桂 憲一
白川和子 吉田幸矢 須永千重 八木さおり 棚橋ナッツ
春日井静奈 古山憲太郎 梅里アーツ 市原洋
加賀まりこ /
柄本明

監督・脚本:深川栄洋

プロデューサー:不二正人
撮影監督:安田光 録音:植田中 音楽:平野真奈
仕上げ:豊里泰宏CG:田中貴志 整音効果:丹雄二 キャスティング:原田信
助監督:遠藤健一 金子周平 撮影助手:髙橋慶太 編集:坂東直哉 宣伝:平井万里子

2022/日本/94分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch  
©2022 スタンダードフィルム

製作・配給:スタンダードフィルム
配給協力:ポレポレ東中野

10月7日(金)より
ヒューマントラストシネマ有楽町・下北沢トリウッド他全国順次公開中