ジェラルド・バトラー主演、ジョー・カーナハン監督の最新作『炎のデス・ポリス』がTOHO シネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー公開中です。

「炎のデス・ポリス」

 ネヴァダ州の砂漠の真ん中にある警察署を舞台にして、殺し屋集団、警察官、留置場に収容されている容疑者の三つ巴の攻防を描く壮絶アクション編。誰が主役なのか分らぬほどフォーカスされる人物が転々としていくスピーディな展開が爽快感をうむ。 
冒頭のカーチェイス、牧場での襲撃、ショッピングモール前での逮捕劇とオープンスペースでのアクション場面に引き続き、さまざまな人物(ほとんどがワルかノロマ)がガンクリーク署に集結し、密閉空間でのアクション、サスペンスが繰り広げられていく。

 ネヴァダ州の司法長官が買収を拒否したためマフィアに暗殺され、買収工作に携わっていたテディも命を狙われて逃走、わざと逮捕されて、砂漠の警察署に身を隠す。署長と新米婦警ヴァレリーを除く警察官はみなたるんだ連中(うち一人は汚職警官)で、砂漠とは不釣り合いなクロームとグラスでできた超モダンな警察署との対比もあざやか。尋問にのらりくらりと答えていたテディも、酔っ払いのボブが隣の房に収容されると大慌て。ボブは伝説の殺し屋で、標的のテディ同様にわざと逮捕されて留置場に入れられ、機会をうかがって彼を殺そうとするが、ヴァレリーの機敏な行動で阻止された。
 次にやってきたのはマフィアに雇われたアンソニーで、堂々と正面玄関から入ってきて、警察官を次々に射殺し、狂笑する。「あんたはサイコパスだ」と非難されていたボブは、「ちがうね。俺はプロフェッショナル、サイコパスはあいつだ」と切り返すが、サイコパスと呼ばれるにふさわしいアンソニーのキャラクターは、銀幕悪人番付でも三役は固いところ。同僚は全滅したが、ヴァレリーだけは危うく防弾ドアのついた留置場へ逃げ込む。今度は留置場の壁をハンマーでぶち壊し始めた。危機一髪の状況で、テディ、ボブ、ヴァレリーの三すくみの中で、誰が敵で、誰が味方なのか、わからぬまま。二転三転する人間関係が実にスリリング。

©2021 CS Movie II LLC. All Rights Reserved

 猫とネズミ遊びのような追いつ追われつの対決、ワルサーPKK、セミオート銃、ウジ機関銃と様々なタイプの銃火器を使った激しい銃撃戦が署内の廊下、階段、留置場、ロッカーで勃発。ド派手な破壊と緊迫感あふれる身のこなしが見ごたえのある作品だった。主要人物四人が再起不能と思われるほどの傷を負っても立ち上がるところは映画的な嘘だけど、スカッとするし、後味のいいラストもよかった。

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 ボブに扮したジェラルド・バトラーが製作にも参加しており、自分だけでなくテディ役のフランク・グリロ、ヴァレリー役のアレクシス・ラウダ—、アンソニー役のトビー・ハスにもバランスよく見せ場が作ってあった。監督は「NARC ナーク」(02)で注目され、当時の『ヴァラエティ』紙でも注目株と称賛されたジョー・カーナハン。大化けはしなかったが、フィルモグラフィーを見るとわかるように、小味なアクションを作り続けており、今でも注目すべき映画監督ではあるようだ。

北島明弘
長崎県佐世保市生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻し、1974年から十五年間、映画雑誌「キネマ旬報」や映画書籍の編集に携わる。以後、さまざまな雑誌や書籍に執筆。
著書に「世界SF映画全史」(愛育社)、「世界ミステリー映画大全」(愛育社)、「アメリカ映画100年帝国」(近代映画社)、訳書に「フレッド・ジンネマン自伝」(キネマ旬報社)などがある。 

『炎のデス・ポリス』予告篇

どいつもこいつもゲス野郎 7月15日(金)公開『炎のデス・ポリス』予告篇

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監督:ジョー・カーナハン 『特攻野郎AチームTHE MOVIE』『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』『コンティニュー』

脚本:クルト・マクラウド、ジョー・カーナハン

出演:ジェラルド・バトラー 『ジオストーム』『300』『エンド・オブ・ホワイトハウス』、
フランク・グリロ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』、
アレクシス・ラウダー 『ハリエット』、
トビー・ハス 『ハロウィン』

原題:COPSHOP/2021年/アメリカ/英語/107分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/日本語字幕:橋本裕充/PG12

配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
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