21世紀になっても人は戦争がしたいのです

ロシアとヨーロッパに挟まれるその立地から、親ロシア派と親欧米派に分かれて対立してきたウクライナ。そんなウクライナの欧州連合やNATO加盟を警戒し、ロシアのプーチン大統領は圧力をかけてきた。ことの発端は2013年9月当時のヤヌコーヴィチ大統領が欧州連合との連合契約に署名しなかったことに遡る。これを受け、親欧米派の野党や大統領の汚職を批判する市民による大規模な反政府デモが勃発。翌年、ヤヌコーヴィチ大統領は国外へ逃走し、ロシアによりクリミア半島が併合される。さらにルハーンシク州とドネツク州では、親ロシア分離派が分離共和国を宣言。両共和国を反政府武装勢力とみなしたウクライナとの紛争状態に陥った。その渦中にいた国民に何が起きたのか。この状況をどう捉えてきたのか。生活はどう変わったのか。

©All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televízia Slovenska

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2010年より旧ソ連の国々を取材してきたスロバキア人写真家ユライ・ムラヴェツJr.が2015年にウクライナ入りし、ドネツク側とウクライナ側の両方の生の声を記録。ドネツク側では、戦場に参加した鉱夫と参加しなかった鉱夫、ウクライナ兵にスパイと間違えられ拘束された人、「プーチンに助けてほしい」と言う女性、ウクライナ側では、大佐、手榴弾で手足を失った退役軍人、老女、子供、ホームレスなど幅広い人の証言を網羅。当時の記憶を辿ることで、ウクライナで起こっている紛争の本質が見えてくる、今見るべき貴重なドキュメンタリー

8月6日(土)の渋谷ユーロスペースでの公開を皮切りに、8月26日(金)にシネリーブル梅田(大阪)、名演小劇場(名古屋)、アップリンク京都、9月2日(金)に八丁座(広島)、9月3日(土)にキネマ旬報シアター(柏)、9月16日(金)に静岡シネギャラリー、9月下旬予定で上田映劇(長野)と、続々上映劇場が決定している。

©All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televízia Slovenska

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この度、予告編、追加場面写真、及び劇場パンフレットにも寄稿する神戸学院大学教授・ウクライナ研究会会長の岡部芳彦氏よりコメントが届いた。

<岡部芳彦(神戸学院大学教授・ウクライナ研究会会長)推薦コメント>
ドンバス出身のウクライナ軍兵士はなぜ戦争が始まったかと思うかと問われ、「みんな学校で勉強しなかった。歴史を知らないんです。ちゃんと勉強すればこんなことにはならない」と言ってのけた。これはウクライナの人々だけに向けられたメッセージではない。我々の中でも、自国の歴史を正確に理解していると胸を張って言える日本人はどれだけいるだろうか。
この作品に出演したさまざまな人々が立場は違えど言いたいことはきっとただ一つ、「ウクライナから平和を叫ぶ」、そうあってほしいと心から願ってやまない。

『ウクライナから平和を叫ぶ』予告編

『ウクライナから平和を叫ぶ』予告編

youtu.be

<あらすじ>
2013年にウクライナで起こった大衆デモ・ユーロマイダンによって、親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領は追放され、親欧米派の政権が樹立された。しかし、ウクライナ東部のドネツク州とルハーンシク州では、ロシアを後ろ盾とする分離主義勢力とウクライナ政府の武力衝突に発展。分離主義勢力によって14年4月にドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立が宣言される。15
年4月、スロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツJr.は、ユーロマイダンの中心地だったウクライナ・キーウを出発、分離主義勢力が支配する東部のドネツクに向かう。分離主義勢力が支配する村を取材するムラヴェツに、戦争の悲しみと平和への望みを語る住民たち。クリフリク村最後の住民となった老婆は「プーチンに助けてほしい」と訴える。16年2月、ドネツク人民共和国情報省によって入国禁止ジャーナリストとして登録され、入国できなくなったムラヴェツは、今後はウクライナ支配下の村やウクライナ-ドネツク紛争の最前線マリウポリでウクライナ側の人々の取材を開始する。ドネツク側とウクライナ側の両方の住民に平等に話を聞くことで見えてくる、「繰り返される戦争の理由」とは?

監督・脚本・撮影: ユライ・ムラヴェツJr.

キャスト:ユライ・ムラヴェツ
Jr.、ウクライナの人々、ドネツクの人々

原題:Mir Vam (英題:Peace to You All)

2016年/スロバキア/ 1時間7分/カラー・モノクロ/ 1.85:1 /ステレオ/スロバキア語・ウクライナ語・ロシア語

配給:NEGA  
配給協力:ポニーキャニオン
監修:岡部芳彦

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公式ツイッターアカウント: @MIRVAM_JP2022
公式Facebook: https://www.facebook.com/MIRVAMJP2022

8月6日(土)より渋谷ユーロスペースにて緊急ロードショー