先ごろ発表された第3回大島渚賞受賞の藤元明緒監督(『海辺の彼女たち』)による新作短編『白骨街道 ACT1』とデビュー 作『僕の帰る場所』を同時上映するミャンマー支援企画 『映画を観て、ミャンマーを知る Vol.2』を4月16~22日、ポレポレ東中野ほか全国18館の劇場で同時期開催いたします。
大島渚賞受賞で注目の藤元明緒監督によるミャンマー支援イベント
新作短編『白骨街道 ACT1』も劇場初公開!
昨年公開の『海辺の彼女たち』(2020/日=ベトナム)で、第3回大島渚賞、第26回新藤兼人賞金賞など多数の映画賞受賞の快挙を遂げた藤元明緒監督。藤元監督と配給元の株式会社E.x.Nが、国軍によるクーデター以降、市民弾圧が続くなかで混迷を極めるミャンマー市民への支援の一環として、イベント「映画を観て、ミャンマー を知る Vol.2」を開催する。
同時上映の2作品のうち、新作短編『白骨街道 ACT1』は今回が劇場初公開となる。舞台は、第二次世界大戦のビルマ戦線の舞台の一つ、ミャンマー北西部のチン州。1944年、多くの日本兵が命を落とすこととなる「インパール作戦」が決行されたこの地には、今も彼らの遺骨が数多く残されている。藤元監督を始めとする制作チーム5名がチン州を訪れたのは2019年1月。チームの一人、撮影の岸建太朗は、祖父をビルマ戦線で亡くしている。岸のカメラが見つめる景色、そして現在、遺骨収集作業を中心となって行っている少数民族ゾミ族の人々の存在が、私たちの"今"と"昔"を結びつける。鍬を振るう若者たちの手によって地表から立ちのぼるのは、未だ漂い続ける恐怖と戦慄。これまで日本に生きるアジア人を描いてきた藤元監督が、アジアの人々の仕事を通じて、私たちの“戦後”を描きだす。
なお、『白骨街道』は今後長編化を視野に入れたシリーズを構想しており、本作はその第一弾となる。
このたび完成した予告では、『白骨街道 ACT1』と『僕の帰る場所』の映像とともに、空族の相澤虎之助さん、ライターの望月優大さん、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんからのコメントを紹介している。 応援コメント全文は下記の通りです。 (五十音順・敬称略)
山の精霊に祈りをささげ、遥か山々に広がる雲海に向かって石を投げるゾミ族の若者たち。『僕の帰る場所』、『海辺の彼女たち』などアジアの人たちと映画を撮り続けている藤元組のまさに原点が『白骨街道』に宿っている。戦争、労働、難民たち。この不条理な世界を生きる私たちの足下にも石はつねに転がっているのだ。
――空族 相澤虎之助(映画監督/脚本家)
関心を育てること。小さな気づきを素通りにせず、一人ひとりの葛藤へと近づいていくこと。ミャンマーを知り、日本を知り、その狭間にある無名の人生を知ること。そのきっかけになる時間が、この上映会にはきっとあるはずです。
――望月優大(ライター/ニッポン複雑紀行編集長)
日本の戦争も、家族を引き裂く入管収容も、ミャンマー軍の暴力も、全ては一本の線でつながっている。そして、私自身にも。だからこそ今、映画から聞こえてくる、それぞれの声に耳を傾けたい。
――安田菜津紀(認定 NPO 法人 Dialogue for People 副代表/フォトジャーナリスト)
本イベントは、東京・ポレポレ東中野を始めとする全国18館で、ミャンマーの新年にあたる4月16日より同時期開催となる。(一部時期が異なる劇場もあり、詳細は公式サイトにて) なお、このたびの上映による配給収益の一部と、設置した募金箱への 協力金はミャンマー市民を支援する活動に寄付する。
『映画を観て、ミャンマーを知るVol.2』 予告
上映作品
1 『白骨街道 ACT1』
(英題:Bleached Bones Avenue ACT1)
ミャンマー北西部のチン州。少数民族ゾミ族の一団が、日本兵の遺骨を発掘するため、かつて第二次世界大戦の戦場だった場所に向かう。鍬を振るう若者たちの手によって地表から立ちのぼるのは、かつての争いの記憶。彼らの仕事を通じて見つめる私たちの“戦後”。
構成・監督・編集:藤元明緒
撮影:岸建太朗、音響:弥栄裕樹、プロデューサー:渡邉一孝、キタガワユウキ
日本、ミャンマー/2020年/16分/日本語・英語字幕
©E.x.N K.K.
2 『僕の帰る場所』
(英題:Passage of Life)
難民申請中の在日ミャンマー人家族の実話を基に描くヒューマン・ドラマ。日本で先の見えない生活を余儀なくされる一家の不安と、日本育ちの幼い兄弟のアイデンティティに揺れる葛藤を切なくも心温まるタッチで綴る。 東京国際映画祭〈アジアの未来〉部門にてグランプリ受賞作。
脚本・監督・編集:藤元明緒
日本、ミャンマー/2017年
企画・配給:株式会社E.x.N
協力:藤元組FSC
『映画を観て、ミャンマーを知る Vol.2』
◇開催期間 2022年4月16日(土) ~4月22日(金)
◇開催劇場 全18館
<東京>ポレポレ東中野
<神奈川>シネマ・ジャック&ベティ、あつぎのえいがかんkiki
<群馬>シネマテークたかさき*
< 北海道>シアターキノ*
<宮城>フォーラム仙台*
<新潟>シネ・ウインド
<福井>メトロ劇場
<富山>ほとり座*
<石川 >シネモンド
<長野>上田映劇
<愛知>名古屋シネマテーク
<大阪>シネ・ヌーヴォ
<兵庫> 元町映画館
<広島>横 川シネマ*
<山口>山口情報芸術センター、萩ツインシネマ*
<佐賀>シアター・シエマ*
*下記の劇場については、スケジュールが一部異なります。
各劇場の公式サイトをご参照ください。