2018年7月、広末涼子映画デビュー作『20世紀ノスタルジア』監督・原將人の自宅が不慮の火事で全焼。すべての家財道具と、監督作品の映画フィルム機材を焼失してしまう。原監督と家族のゼロからの再起を希望とユーモアあふれるタッチで綴ったドキュメンタリー映画『焼け跡クロニクル』(2月25日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開)公開を記念して、原將人監督の代表作を集めた「伝説的映画監督、原將人特集上映」開催が決定した。
広末涼子の映画デビュー作『20世紀ノスタルジア』35mm上映ほか、瀬々敬久監督、犬童一心監督らが映画監督を志すきっかけとなった『初国知所之天皇』等4作品上映
1968年、麻布高校在学中に『おかしさに彩られた悲しみのバラード』で第1回フィルムアートフェスティバル東京グランプリとATG賞をW受賞。10代で大島渚監督『東京戦争戦後秘話』の脚本を手掛け、瀬々敬久、大森一樹、犬童一心らが「映画監督を志したきっかけは『バラード』と『初国知所之天皇』」と公言するなど、当時の若者世代に多大な影響を及ぼした「伝説的映画監督」原將人。
1月に新文芸坐で一日限定上映され、大好評を博した広末涼子映画デビュー作『20世紀ノスタルジア』のアンコール上映をはじめ、インディーズ映画の傑作として語り継がれる『初国知所之天皇』、東京ドキュメンタリー映画祭2018グランプリ作品『双子暦記・私小説』の3本に、原の活動を8年間にわたり追ったドキュメンタリー『映画になった男』を加えた計4本が上映される。
特集上映は3/11(金)アップリンク吉祥寺、アップリンク京都、京都みなみ会館を皮切りに、東京、大阪、横浜、名古屋、神戸で開催。今後上映館も増える見込みだ。
【上映作品】
『20世紀ノスタルジア』(1997年)
『初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと)』2022デジタルリマスター版(1973年)
当時23歳の原將人が、8ミリを手に北海道から九州まで日本縦断の旅をするロードムービー。同世代の映画を志す若者たちに熱狂的に支持され、伝説のフィルムと呼ばれた本作。火災でオリジナルを焼失するが、イマジカラボに保管されていたネガからデジタルリマスター版が制作された。
『双子暦記・私小説』(2018年)
63歳にして双子姉妹の父親となった原は、生活費を稼ぐために人生初のフリーター生活を始める。だが行く先々でトラブルに巻き込まれ…。古都京都を舞台に、現代日本のブラックな労働環境に翻弄される己の姿を赤裸々に、時にユーモラスに描く。最新作『焼け跡クロニクル』の前日談となる作品。
『映画になった男』(2018年)
2009年『マテリアル&メモリーズ』制作時より、8年間にわたり原將人の活動を追ったドキュメンタリー。60年代後半の衝撃的デビューから2000年代に至るまで、幻の作品や生演奏付き上映などのレアなフッテージを交えて映画作家・原將人の軌跡を綴っていく。監督は『森のムラブリ』(3/19よりシアター・イメージフォーラムにて公開)の金子遊。