3月25日、テアトル新宿を皮切りに全国ロードショー公開される映画『蜜月』。

『捨てがたき人々』など、これまで社会の片隅で生きる男たちを描き定評のある榊英雄監督が、7年越しに取り組み、リアルな親としての感情をぶつけ、“家族の愛”という新境地を切り開いた。

『MOTHER マザー』など一貫して社会的抑圧や差別を題材にした作品を生み出した脚本家・港岳彦によるオリジナル脚本。ヒロインを演じたのは、自身の監督作を発表するなどマルチに活躍する佐津川愛美。傷つきながらも愛を求め一線を越えてしまう17歳、秘密を抱えながら夫を愛し平穏な暮らしを望む32歳、過酷な家族環境下、懸命に生きる一人の女性の成長という難役を見事に演じきった。
美月の母五十鈴役に、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作『淵に立つ』(16/深田晃司監督)で第71回毎日映画コンクール女優主演賞など多数の賞を受賞した演技派女優筒井真理子
美月の義父靖男役には独特な存在感が光る俳優板尾創路
美月の義弟伊織役に、大河ドラマ『龍馬伝』で坂本龍馬の子供時代を愛嬌たっぷりに演じお茶の間の人気者となった濱田龍臣。伊織の恋人香澄役にネクストクリエーターから引手数多な森田想
陶芸家で美月の夫哲郎役に、ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』(16)などで日本人俳優として初めて出演作が3年連続でカンヌ国際映画祭出品となった国際派俳優永瀬正敏

この度、娘(佐津川愛美)と母(筒井真理子)の怖くて切ない愛憎シーン特別映像と、過去と現在が交錯するミステリアスなポスタービジュアル新規スチール7点とともに解禁となりました。
さらに、家族社会学者・永田夏来さんによる寄稿も到着いたしました。

【ポスタービジュアル】

©2022「蜜月」製作委員会

主人公の美月(17歳)の“秘密の情事”を、現在の美月(32歳)が意志的な射るような眼差しで見つめている。金色の蜜の色彩が、甘く危険な香りを際立たせる。「母にはできないことをしました」と、15年間隠してきたことを告白しているストーリーになっており、観る者の心を鷲掴みするミステリアスなポスタービジュアルに仕上がっています。胸にささるコピー「母には…」は港岳彦の脚本から名セリフをとったもの。

【特別映像】

映画『蜜月』特別解禁映像

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母五十鈴(筒井真理子)は娘美月(佐津川愛美)の少し派手な下着をハサミで切り刻む。娘は母の用意した地味な下着を火にくべる。
その美月を追いかけ、髪をつかんで引きずり倒す五十鈴。夫靖男(板尾創路)は慌てて止めに入る。見つめる義弟伊織(濱田龍臣)。
気まずい食卓。ふと五十鈴は泣きながら美月を抱きしめる、美月も泣いて五十鈴に縋る。
桜並木。美月は杖を突いた五十鈴を伴って歩く。五十鈴、厳しい顔で娘の腕を振りはらう。

【スチール写真】

①道、靖男、後ろめたそうな顔つきで歩いていく、美月、他人のふりで歩いていく――

©2022「蜜月」製作委員会

②病室、美月そっと目を開ける、夫哲郎(永瀬正敏)、美月の手を握る、美月、胡乱な目で見つめ返す、哲郎「良かった」。

©2022「蜜月」製作委員会

③病室、美月、立ち上がろうとするが崩れる、義弟伊織(濱田龍臣)、美月に近づこうとするが、恋人香澄(森田想)に止められる。

©2022「蜜月」製作委員会

④ 鏡台の前の五十鈴を美月が髪を梳く。美月の靖男との「秘密」の冗談に五十鈴のひんやりとした雰囲気になる。

©2022「蜜月」製作委員会

⑤庭で記念写真、バドミントン後、みんな笑顔、平和で幸福な昼下がり――

©2022「蜜月」製作委員会

⑥庭、美月白い下着を燃やす、驚く靖男と伊織、美月、五十鈴をにらみつける。

©2022「蜜月」製作委員会

⑦リビングで寛いでいる、美月、靖男に気安くしなだれかかる、五十鈴は編み物しながら不安げな視線、それを伊織気にしながら漫画を読む。

©2022「蜜月」製作委員会

【寄稿】

厚生労働省によれば、2020年に児童相談所等で新規受理・途中発覚した18歳未満の家庭内性被害事例は全国で704件だったという。被害者の大半は女児である。加害者で最も多いのが実父の250件であり、ついで多いのは実父以外の「父」は161件であった。
 「父親」から「娘」への加害が最も多いという調査結果からは、「年長の男性が上」で「年下の女性が下」であるという典型的な権力構造が見えてくる。『蜜月』で興味深いのは、この典型に収まらない人間関係を丁寧に描写した点だと私は考える。主人公の美月は実父を軽蔑し、義父を屈服させ、実母をネグレクトし、義弟とは共依存である。若い娘が家庭を支配する過程は異様であるが、それ故に彼女は孤立し、大きな代償を払うことになるのだ。一筋縄ではない人間関係と孤独を正面から演じ、魅力的な主人公を体現した佐津川愛美は本作見どころの一つだと感じた。 
 家族に関する美談は世間に溢れているが、実父から性的に加害される女児は実際に存在する。美月のように、我が身を差し出してでも家族に復讐したいと願う者もいるはずだ。実際の家族のあり方はさらに複雑で、ものごとを単純化しすぎているきらいもなくはない。美月をめぐる家族関係をどう解釈するのかによって、本作の評価は分かれるだろう。
永田夏来(家族社会学者)

映画『蜜月』予告編

映画『蜜月』予告編

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【ストーリー】
山奥の古民家。優しい陶芸家の夫と穏やかに暮らす美月32歳。弟が15年ぶりに現れ、母の死を告げる。封印していた家族の過去があふれ出す。愛する夫との暮らしを守るために美月は過去の黒歴史と対決する――
母親は、ある“事件”がきっかけで離婚し心にトラウマを抱える。美月は子どもながらに不安定な母を支え、母子で必死に生きてきた。母が新たな伴侶を得て、四人家族となったとき、美月は、やっと温かな居場所ができることを期待した、美しい17歳に成長していた。
だが、その『女という性』に対し、母はかつての事件のトラウマから、嫌悪・嫉妬し、激しく抑圧する。
美月は母への反抗心から、義父に接近する。ささやかな反抗心だったが、次第に深みにはまっていく。再び“事件”が起こり、家族が崩壊していく・・・
15年ぶりに故郷の実家へ戻る美月。義弟から15年間にわたる過酷な義母の介護も知らされ、その代償の重さに押しつぶされそうになる。目を背けてはいけない。夫に封印した「秘密」を告白する。その切なすぎる真実に涙する―――

監督:榊 英雄--(榊は、木**へんに神)--
脚本:港岳彦 音楽:和(IZUMI)

出演:
佐津川愛美
筒井真理子  板尾創路  濱田龍臣  森田 想  永瀬正敏

製作:「蜜月」製作委員会(メ~テレ、UNITED PRODUCTIONS、アークエンタテインメント、ファミリーツリー) 

配給:アークエンタテインメント  
©2022「蜜月」製作委員会

2022年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/130分/R15+

TWITTER:mitsugetsumovie インスタグラム:mitsugetsu_movie

3月25日 テアトル新宿ほか全国ロードショー