加賀まりこ主演、塚地武雅と親子役で初共演を果たした映画『梅切らぬバカ』が全国公開中です。母親と自閉症を抱える息子が社会の中で生きていく様を温かく誠実に描く本作。愛情と包容力にあふれる母親・珠子を演じるのは、54年ぶりに主演を務める加賀まりこ。軽口を叩きながらも、小柄な身体で大きな息子の世話をする姿はとてもチャーミング。だからこそ、やがて訪れる“息子が1人で生きる未来”を案ずる横顔が、より一層切なく観る者の胸に迫る。息子・忠男役には『間宮兄弟』で日本アカデミー賞新人賞を受賞し、NHK連続テレビ小説「おちょやん」など俳優としても活躍中のドランクドラゴンの塚地武雅。地域コミュニティとの不和や偏見といった問題を取り入れながらも、揺るぎない親子の絆と、他者との触れ合いを描き、あたたかな感動をもたらす。

©2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

『梅切らぬバカ』公開記念舞台挨拶
日時:12月5日(日)12:30~12:55
場所:新宿バルト9 スクリーン9(新宿区新宿3丁目1-26新宿三丁目イーストビル13階)
登壇ゲスト(敬称略):加賀まりこ(77)、塚地武雅(50)、和島香太郎監督(38)

加賀、塚地、和島監督が揃って上映後に観客に対して舞台挨拶をするのが初めての為、いつにもなく緊張した面持ちでステージに登壇。
加賀は「実はご覧になったお客様にご挨拶するのが初めてのことなので、今とても恥ずかしく、緊張しています。今日、この映画を観るためにお時間を割いてくださったことに感謝しています。ありがとうございます」と深々とお辞儀し、感謝を述べた。塚地が観客に「皆さんいかがでしたでしょうか?」と感想を尋ねると大きな拍手が鳴り響き、「ほんとうに小さな小さな作品だったのが、たくさんの皆さんの口コミのおかげでどんどんと広がっていって嬉しいです」と満面の笑みで挨拶をした。また、いつも声が小さいと加賀、塚地から登壇の度に指摘を受けてきた和島監督は開口一番に「声は聞こえてますでしょうか(笑)」と問いかけると、すかさず、塚地から「もう少し声を張って!」突っ込まれ、和気あいあいとした雰囲気で舞台挨拶が始まった。公開から約3週間が経ち、改めて周囲からの反響を尋ねられた加賀は「普段お付き合いのない方々から突然、感想の連絡がきて、びっくりの連続です(笑)今までの人生でこんなに褒められたことがなかったので、毎日驚いています」と教えてくれた。

上映館数現在119館まで広がっていることを受け、塚地は「ここまで広がっていくということを加賀さんも監督、スタッフの誰もが予測をしていなかった。小さな映画だったのに、今はなんと119館!皆さんの口コミのおかげでどんどん広がっています。しかも予告編動画の再生回数が360万回になっていて!!」と喜びを伝え、「アイドルやイケメン俳優が出ていないとここまで再生回数は伸びない・・・あ、どうもイケメン俳優の塚地です」と爽やかな笑顔を見せる。
加賀が「ここまできたら、もう47都道府県全部で上映してもらいたいよね」と明かすと、塚地は「秋田県と高知県での上映がまだ決まってないらしいんですよ。秋田県はもちろんのこと・・・私、高知県の観光特使を担当しているんです!なのになぜ高知で・・・是非上映して欲しい!私の親族も住んでいます。塚地村も塚地峠、塚地坂トンネルや塚地休憩所もあるんですよ」と熱い想いを訴えた。また、塚地は先日、ロケで訪れた三重県での嬉しいエピソードも披露。「お手洗いを借りようと入った喫茶店の80代ぐらいの方に、“あなた、梅の人よね。テレビで見て、映画観に行こうと思ってるんだ”と仰っていただいて、そしたら、“お父さん!ほら、加賀まりこさんの息子さん!”と呼ばれたんです(笑)」と塚地は本作が全国に広がっていることを実感したのこと。
和島監督は「自閉症のお子さんを育てている親御さんたちがどう思うのかが心配だったのですが、今生きている自分の不安だったりとかをそのまま肯定してもらえるような、普段のモヤモヤが澄み渡っていくような気持ちになったと言われたのは嬉しかったです。映画館へ観に行ったのですが、終わった途端に、“え、ここで終わるの?”という声を聞いて、僕自身、戸惑ったりもしましたが、良かったという親御さんの声を直接聞けたので良かったです」とほっとした胸の内を明かした。

思い出に残ったシーンについて尋ねられた加賀は、「緊張したのは子役の坊やとのシーン。芝居をしている風にもなりたくないし、押しつけがましくもしたくないし、珠子さんというお母ちゃんとしての立場を守って、その少年に対して大人として接するというのが考えれば考えるほど難しかったです」と振り返った。塚地は「馬とのシーンですね。相手は馬ですからね。監督がどうしてもカメラの右側に捌けて欲しいというこだわりがあったんですが、何度やってもどうしても左に行ってしまう。寒い時期に雨も降る中で、薄手の半袖のパジャマでの撮影だったし、馬も休み休みにしか撮影できないので大変でした」と打ち明けると、和島監督も「トータルで13回ぐらい撮影したと思うのですが、『もう一回』と言う度に現場の空気が段々重くなって…馬が狙い通りの動きをして撮り終えた時には、現場で拍手が起こったことを覚えています」と恐縮した表情で回想した。

加賀演じる珠子が息子・忠さんに対して「忠さんがいてくれて、母ちゃんは幸せだよ」と伝えるシーンは、子供を持つ親御さんからの感動と共感の声が多数聞かれる本作屈指のシーン。演じた加賀が「生まれてきてくれて、ありがとう」という想いを込めて演じたこのシーンにちなみ、それぞれが“生まれてきてくれて、ありがとう”と感謝を伝えたい相手について尋ねられると、塚地は「母です。母が生まれて来てくれないと僕も生まれないので。この映画は僕や母親にもオーバーラップするところがあったので、自分の母親に観てもらえて良かったです。映画を観て(母親が)泣いたそうです。あと・・・ついでに相方かな(笑)」と語る。
和島監督は、「この映画のシナリオを書いてる最中にコロナ禍になってしまい、なかなか人と出逢えなくなったが、この映画のおかげで人と出逢い、関わることができました。だから、この映画が生まれてきてくれたことに感謝しています」と作品を通して関わった方々への思いを明かした。最後に加賀は「監督からこの台本をいただいて、やるべきかどうか考えました。その時、私の連れ合いが自閉症の子供を持っているので、こうゆう役を演じるのは嫌かと尋ねました。そしたら、彼は、“自閉症の子を悪者にしてなくて、生まれてきてくれてありがとうということが書かれているから出たら?”と言ってくれたんです。2週間の撮影期間、ずっと出ずっぱりなことも不安だったのですが、“僕があなたを支えてあげる”と言って、毎日、私に付き添ってくれました。心から感謝しています。だから、連れ合いに、“生まれてきてくれてありがとう”です」と涙を浮かべながら感謝の気持ちを伝え、会場からは割れんばかりの拍手が送られた。
また、大ヒットを記念して、くす玉が用意された。加賀と塚地はその大きさに驚きながらも、本作の益々のヒットを祈願するように念を込めて、イベントを終えた。

『梅切らぬバカ』本予告

11月12日公開『梅切らぬバカ』本予告

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【ストーリー】
父親代わりの梅の木が運んでくれた“小さな奇跡”とは・・・?
山田珠子は、息子・忠男と二人暮らし。毎朝決まった時間に起床して、朝食をとり、決まった時間に家を出る。庭にある梅の木の枝は伸び放題で、隣の里村家からは苦情が届いていた。ある日、グループホームの案内を受けた珠子は、悩んだ末に忠男の入居を決める。しかし、初めて離れて暮らすことになった忠男は環境の変化に戸惑い、ホームを抜け出してしまう。そんな中、珠子は邪魔になる梅の木を切ることを決意するが・・・。

加賀まりこ   塚地武雅
渡辺いっけい 森口瑤子 斎藤汰鷹 / 林家正蔵 高島礼子

監督・脚本:和島香太郎   
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ

文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」長編映画の実地研修完成作品  
©2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト
公式Twitter:@umekiranubaka

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