昨年の「コントラ」に続き『JAPAN CUTS〜』大林賞に輝いた山西竜矢監督『彼女来来』、スペシャルメンション中濱宏介監督『B/B』各1日限定で東京での受賞記念上映決定！

ジャパン・ソサエティー(JS)映画部が主催する9月2日までオンラインとJS劇場内上映のハイブリッド形式でお届けしている北米最大の日本映画祭・第15回 『JAPAN CUTS〜ジャパン・カッツ〜』。
その中で、若手の映像作家の活動を後押しすることを目的に昨年から導入されたネクストジェネレーション・ コンペティション部門。

本映画祭唯一の審査部門であるネクストジェネレーション・ コンペティション部門では、映画関係者による審査の結果、最も完成度の高い作品に「大林賞」（Obayashi Prize）が授与されます。
「大林賞」は、2020年4月に82歳で逝去された故・大林宣彦監督の偉業を称えて名付けられました。本賞は、大林氏の遺志を継ぐとともに、、日本のインディペンデント映画のさらなる発展を促すために設けられ、2020年の、第１回大林賞には、アンシュル・チョウハン監督の『コントラ』が輝き、その後公開され口コミで拡がりロングランでヒットとなりました。
そして、この度第2回となる大林賞は山西竜矢監督の『彼女来来』に贈られました。

今年の審査員は、日本映画の字幕・翻訳家のドン・ブラウン氏、映画史研究家の平野共余子氏、パシフィック・アーツ・ムーブメントのアーティスティック・ディレクター、ブライアン・フー氏の3名です。本年度審査委員は次のように述べています。

受賞理由
「山西竜矢監督は、絶妙な視覚と聴覚のデザイン・演出により魅力的で別世界のミステリーのような人間の本質や家庭の不安に対する考察を描いています。本作品では、平凡な環境が不安によって変化するという主人公の感情的な旅を通して、映画表現の可能性を追求しています。『彼女来来』は、日常生活における微妙な人間関係を描くという日本映画の伝統を踏襲しつつ、Jホラーの要素を加えることによって世界を取り巻く現代の不安や不確実性を表現しています。世界の映画史では、人間のファンタジーへの欲求とリアリズムの追求を組み合わせたものを課題としますが、本作はこの課題に巧みに取り組んでいます。」

また、今回は同部門において、スペシャルメンションの受賞もあり、中濱宏介監督の『B/B』が受賞しました。審査員に「驚くほどダイナミックで野心的な作品であり、中濱監督の名刺ともいえる。本作品はその創造性によって十分に力を発揮している」と評価されて受賞となりました。

中濱宏介監督より上映へのコメント
「映画の完成とほぼ同時に日本国内でもコロナ禍が始まり「ただでさえ誰も観ない学生映画をどうやって世に出せばいいんだ！」と当時は頭を抱えていましたが、シネリーブル梅田(大阪アジアン映画祭)でスクリーン上映を果たし、JAPANCUTSで海を越えて、今度は代官山で上映出来るなんて、世の中そう悪い事ばかりじゃないと感無量です。
この映画はとてもパーソナルな作品です。是非、パーソナルな映画をパーソナルな映画館でお楽しみ頂けたら幸いです。」

この度、受賞記念上映として、10月4日中濱宏介監督『B/B』10月5日山西竜矢監督『彼女来来』の各1日だけの受賞記念上映が決定しました。
（尚、10月4日は監督が登壇して、トークイベントを予定）

チケット予約は下記より

https://theaterguild.co/movie/

山西竜矢監督『彼女来来』

STORY
─ある日、彼女が別人になった─
恋人・茉莉と穏やかな毎日を送っていた紀夫に訪れた、ある夏の奇妙な物語──
都内郊外のキャスティング会社で働く男・佐田紀夫、30歳。
彼は交際三年目になる恋人・田辺茉莉と、穏やかな毎日を送っていた。
ある夏の日。紀夫が家に帰ると、窓から強い夕陽が差し込んでいた。焦げるようなその日差しを目にした瞬間、紀夫は奇妙な感覚に襲われる。気付くとそこにあるはずの茉莉の姿は無く、代わりに見知らぬ若い女がいた。
困惑する紀夫に、女はここに住むために来た、と無茶苦茶なことを言う。
透き通るような白い肌のその女は「マリ」と名乗り─
突然失踪した恋人を探しながら、別人との奇妙な関係に迷い込んだ男を描く、
奇妙さと写実性を両立した恋愛劇。

本作「彼⼥来来」は、演劇ユニット ピンク・リバティの代表をつとめ、劇作家・演出家として評価を⾼めている⼭⻄⻯⽮が、映画監督として作り上げたオリジナル企画による初⻑編作品。
キャストには、若⼿実⼒派俳優が集結。奇妙な事象に翻弄される主⼈公・紀夫を、繊細かつ巧みな演技で⾒事に演じたのは、個性派俳優として期待される『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』の前原滉。
失踪する最愛の恋⼈・茉莉を『あなたの番です』などで⼤きな注⽬を集める奈緒が、突如現れる謎の⼥マリを『そして、ユリコは⼀⼈になった』の天野はなが好演。
⾳楽は、関⻄から世界を魅了する異⾊バンドであり、テレビ東京で放送中のドラマ『⽣きるとか死ぬとか⽗親とか』の劇中⾳楽も担当するVampilliaのヴァイオリニスト・宮本玲がヴァイオリンのみで制作し、不穏かつ不可思議な世界観を増幅させる。
本作は、⼭⻄にとっての初⻑編作品ながら、⾳楽×映画の祭典『MOOSIC LAB [JOINT] 2020-2021』コンペティション部⾨にて先⾏上映され、準グランプリ・最優秀男優賞（前野滉）・⼥優賞（天野はな）と三部⾨で受賞。また、⾏定勲監督がディレクターを務めるくまもと復興映画祭2021へ選出されるなど、⾼い評価を得た。

2021年／91分／
監督: 山西竜矢　
出演: 前原滉、天野はな、奈緒、村⽥寛奈、上川周作、中⼭求⼀郎、葉丸あすか、⼤⽯将弘、千葉雅⼦

中濱宏介監督『B/B』

STORY
2020年、日本。コンビニ経営者が殺害された通称「イカロス事件」。
被害者の一人息子「岸本　士郎」と不思議な交流を結んでいた「亜咲美　紗凪」は刑事から取り調べを受ける。解離性同一性障害を患う彼女と彼女の中に存在する人格たちはそれぞれの視点から回想をはじめるが…

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020国内コンペティション部門に入選し、オンライン配信という形でワールドプレミア。
その後、大阪アジアン映画祭2021インディフォーラム部門に入選し、同部門グランプリである「JAPAN CUTS Award」を受賞。
更に北米最大の日本映画祭JAPAN CUTSで海外初上映を果たし「Special mention」を受賞した。
11月19日より開催される第15回田辺弁慶映画祭での上映を控えている。
主演は「街の上で」「ミは未来のミ」の倉嶋かれん。
劇伴を『トロピカル〜ジュ！プリキュア』主題歌等の堀本陸、馬瀬みさきが務める。

2020年/77分
監督: 中濱宏介
出演:倉嶋かれん、中澤康心、ひと：みちゃん、佐波太郎、西村風音、騎馬穂乃佳、ジャン •リジェ、米倉愛、波佐本麻里、野之原千万里、正木泉、川口新五、青木健太、井上まい

10月4日『B/B』10月5日『彼女来来』シアターギルドにて1日限定上映