11 月 12 日(金)より渋谷ユーロスペース、池袋シネマ・ロサ、キネカ大森、 イオンシネマ他にて全国順次公開となる仲村トオル×杉野希妃×斎藤工×中村ゆり等の出演、鬼才・万田邦敏監督待望の新作となる『愛のまなざしを』。
この度、公開にあたって、今作の脚本を手がけられた万田珠実さんによる集中連載が、「シネフィル」で掲載されることとなりました。
制作の裏側などを交えた、公開までの制作日誌となります。

第一回 クランク・イン前 その1 (自己紹介を兼ねて)

『愛のまなざしを』の脚本を書きました、万田珠実と申します。
今までに書いた脚本は、夫の万田邦敏が撮った『UNloved』と『接吻』の2本だけで、これが3本目となります。とても脚本家を名乗るような者ではありませんが、便宜上その呼称を使わせていただくと、通常脚本家は、脚本が完成したあとは、あまり出番がないものだと思います。が、今回は企画段階の打ち合わせから、脚本の完成後も、キャスティング、衣装合わせ、リハー サルにも顔を出し、撮影もほぼ全ての現場に参加させていただきました。

 現場では当初、撮影風景を遠くから見守る程度のつもりだったのですが、今は簡単に動画が撮れる時代、プロデューサーの「メイキングに使えるかもしれない」というお言葉にすっかり便乗して、気付けばiPadを両手に構え、役者さんと監督のやりとりを見逃すまい、聞き逃すまい、撮り損ねまいと夢中になってしまい、周囲の「あれは誰?」、「何やってんの?」、「何でここにいるの?」という3Wの熱い視線にも気付かぬまま、グイグイと前に出ていっておりました。
俳優、スタッフの皆様には、恥を晒すとともに、大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びしたい心境です。が、自分にとってはまた とない貴重な体験を味わえる日々でありました。それを今回、制作日誌という形でまとめる機会をいただき、これが少しでも何かの役に立てばという願いを込めて、始めさせていただこうと思います。

踊る演出家と、それを狙うメイキング班

2019年7月29日(月) 

 今作が映画デビュー作となった藤原大祐くんのオーディションがあったのがこの日でした。ひときわキラキラと輝きを放っていた藤原くんを、参加スタッフの誰もがほぼ迷いなく選んだのは無理もないことでした。が、実を申せば、脚本家である自分としては、ちょっとした懸念が…。思春期に、家族のあり方や父親の人間性に疑問を抱くような、重く暗い悩みを抱えた少年にしては、自信と希望に満ち溢れすぎていないだろうか。まあ要は、カッコ良すぎやしないか? と思ったのです。
しかしそんなつまらない私の心配は、全くの杞憂に終わりました。1ヶ月後のリハーサルの場で、藤原くんはすっかり祐樹という少年になっていたのです。聞けば、その1ヶ月の間に、彼は事務所のスクールの先生に指導を仰ぎ、台詞の一つ一つに込められた意味や気持ちを考えて、何度も何度も口に出して練習したとのこと。監督に役づくりの方向性を確認し、少し修正を求められると、即座に理解し、納得した上でその要望に応えることもできる。皆、呆れるほど感心していました。この時が初対面だった父親役の仲村トオルさんも、きっとこの時すでに彼に魅了されていたと思います。

仲村トオル 藤原大祐 親子「これからもよろしくお願いします」

「愛のまなざしを」特報

「愛のまなざしを」特報 11月12日(金)公開

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【STORY】
亡くなった妻に囚われ、夜ごと精神安定剤を服用する精神科医・貴志のもとに現れたのは、モラハラの恋人に連れられ患者としてやってきた綾子。恋人との関係に疲弊し、肉親の愛に飢えていた彼女は、貴志の寄り添った診察に救われたことで、彼に愛を求める。いっぽう妻の死に罪悪感をいだき、心を閉ざしてきた貴志は、綾子の救済者となることで、自らも救われ、その愛に溺れていく…。しかし、二人のはぐくむ愛は執着と嫉妬にまみれ始めるのだった――。

出演:
仲村トオル 杉野希妃 斎藤工 中村ゆり 藤原大祐
万田祐介 松林うらら
ベンガル 森口瑤子 片桐はいり

監督:万田邦敏
脚本:万田珠実 万田邦敏

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2021 年 11 月 12 日(金)より渋谷ユーロスペース、池袋シネマ・ロサ、キネカ大森、 イオンシネマほかにて全国順次公開!