アメリカを代表する現代アート作家の大規模な個展がスタート!

箱根の豊かな森に囲まれたポーラ美術館で、国内の美術館では初となるロニ・ホーンの個展が開かれています。近年の代表作であるガラスの彫刻作品をはじめ、1980年代から今日に至るまでの約40年間におよぶ実践の数々を紹介しながら、水のようにしなやかに変容する、彼女の作品のあり方をダイナミックに辿る企画です。

《水による疑い(どうやって)》(部分)
2003-2004年12点のピグメント・プリント(6組)メッキされたアルミニウムの支柱、アクリルのグレージングCourtesy of the artist and Hauser &Wirth © RoniHorn Photo: Koroda Takeru 
 

ロニ・ホーンは写真、彫刻、ドローイング、本など多様なメディアで、コンセプチュアルな作品を制作し、世界から高い評価を得ています。

《トゥー・プレイス》(部分)
 1989-2011年 布装丁の本、オフセット・リトグラフィー
 Courtesy of the artist and Hauser & Wirth © RoniHorn Photo: Koroda Takeru 

「連続と差異」という一貫した問題意識

女性の表情の微妙な変化を記録したポートレートの連作、「あなたは天気 パート2」。今回展覧会のメイン・ビジュアルにもなっているこの作品は、アイスランド各地の温泉で6週間にわたり同じ女性マーグレットを100枚のクローズアップショットに収めたもの。一見同じような写真も少しずつ表情は違うのです。同じように見えるものの中にこそ、絶え間ない変化が潜むことに気づかされます。

《あなたは天気 パート2》(部分)

2010-2011年 64点のCプリント、36点の白黒印刷、PVCボードにマウント Courtesy of the artist and Hauser & Wirth © Roni Horn Photo: Koroda Takeru    

言語や文学も重要な作品のモティーフに

言語や文学は、ロニ・ホーンの作品を形づくる重要な要素です。中でもアメリカを代表する詩人、エミリ・ディキンスンは特別な位置を占めています。「エミリのブーケ」はディキンスンが書いた手紙の言葉の中から選ばれたシリーズ。刻まれた言葉は側面から見ると言語の形体をなさず、文字は純粋な「形」として解体されています。このような「形」の自己反復からは、活動の初期に完成されたものを必要最小限まで削ぎ落し省略する表現「ミニマリズム」の影響を受けた彼女の背景が窺えます。

《エミリのブーケ》(部分)

2006-2007年 アルミニウム、成型した白いプラスティック、6本組 
Courtesy of the artist and Hauser &Wirth © Roni Horn 
《ゴールド・フィールド》
1980/1994年 焼鈍した純度99.99%の金箔 Courtesy of the artist and Hauser &Wirth © RoniHorn
Photo: Koroda Takeru

自然の景色を映し出す円柱のガラス彫刻

水を湛えた器のように見えるこの作品は、実は数百キロものガラスの塊です。気の遠くなるような時間をかけて、ガラスがゆっくりと鋳造される過程は、透き通った水が器に静かに満ちてゆく様を思わせると同時に溢れ出る灼熱のマグマが流れて固まり、地面を形成したアイスランドの大地や地層をも想起させます。近年の代表作である計9つのガラス彫刻は、窓のある開放的な展示室と、屋外の森の遊歩道に設置されています、周囲を映し出しながら、また巨大なレンズとして光を拡散しながら、静と動、穏やかさと荒々しさ、表層と深淵、透明感と重量感といった相反する性質を内包しています。

《無題(「…どの家でも、土間の上、敷物の上、板寝床の上で、村人たちは動かず、黙って横になっていた。その顔は汗だらけ。村全体がさながら深海の底の潜水艦であった—確かに存在はしているのに、声も、動きもなく、生きているしるしがない。」)》
2018-2020年 鋳放しの鋳造ガラス Courtesy of the artist and Hauser & Wirth  
© Roni Horn Photo: Koroda Takeru  

《無題(「 必要なニュースはすべて天気予報から手に入れる。 」)》
2018-2020年 Courtesy of the artist and Hauser &Wirth © Roni Horn Photo: Koroda Takeru

移りゆく季節とともに過ごす《内省》のひととき

ロニ・ホーンは初期から一貫して「自然」をモチーフに作品を制作しています。特に彼女が偏愛するアイスランドの、火山と氷河が生み出した荒々しい風土からは、ことさら強いインスピレーションを受けていますが、火山列島である日本、古来の温泉地である箱根は、アイスランドと多くの共通点を有しているといえるでしょう。自然に包まれたポーラ美術館の中で水のように自在な変化を見せる、ロニ・ホーンの作品を心ゆくまで味わいたいものです。

鳥葬(箱根)2017-2018年 鋳放しの鋳造ガラス ポーラ美術館 © Roni Horn Photo: Koroda Takeru  

ビームスがプロデュースしたロニ・ホーン展グッズ

「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」展の開催にあわせて、BEAMS DESIGNプロデュースによる、展覧会オリジナルグッズが展開されています。 代表作の「あなたは天気(You are the Weather)」をはじめ、作家の作品をモチーフにしたオリジナルTシャツ、トートバッグなど、この機会にしか手に入らない限定グッズが多数。特に作家自身も気に入っていると言う《White Dickinson》のお箸は手に入れたいグッズのひとつ。ポーラ美術館の公式オンラインショップでも展開中です。 https://shop.polamuseum.or.jp/shopbrand/ct49/

❖ ロニ・ホーン/Roni Horn

1955年生まれ、ニューヨーク在住。写真、彫刻、ドローイング、本など多様なメディアでコンセプチュアルな作品を制作。近年の主な個展は、ポンピドゥー・センター(パリ、2003年)、テート・モダン(ロンドン、2009年)、ホイットニー美術館(ニューヨーク、2009-2010年)、バイエラー財団(リーエン、 スイス、2016年、2020年)、グレンストーン美術館(ポトマック、アメリカ、2021年)等で開催。

展覧会概要

展覧会名:「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」展
会場: ポーラ美術館 展示室1, および2 遊歩道
住所:〒250-0631神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
会期:2021年9月18日(土) ~2022年3月30日(水)
開館時間:9:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日: 会期中無休
観覧料:一般 1,800円、大学、高校生 1,300円、65歳以上 1,600円
障がいのある人(一般) 1000円、
※中学生以下無料
※一般以外の料金で利用の場合は証明できるものを当日要提示
駐車場(隣接):乗用車163台収容 1日¥500(施設の利用による割引はなし)
問い合わせ先:0460-84-2111 (公益財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館)

ポーラ美術館公式サイト https://www.polamuseum.or.jp/

「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」展
 @箱根 シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」展@箱根 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送りいたします。
この招待券は、非売品です。転売業者などに転売されませんようにお願い致します。
応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
*応募締め切りは2021年11月2日 (火曜日)24:00
1、氏名
2、年齢
3、当選賞品の送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  ※建物名、部屋番号の明記がない場合、郵便が差し戻される事が多く当選無効となります。
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  また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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