旧朝香宮邸に、
拡がるラリック リミックス

「リミックス」というと、まずクラブミュージックを想像してしまうのは私だけでしょうか・・?
再構築するという意味で、音楽用語がもととなる「リミックス」は、素材の本質を見出し実感し、深く知る事なしには、為し得ない。
今回、リミックスという切り口で館内を廻ってみると、「ラリックのリミックス」とか、「ラリックをリミックス」とか…考えながら。

すると、
現代デザインの在り方や本質ってなに?
と、ラリックに問われているような気がしてくる。
この度の催しで、新館ギャラリーには独特な展示空間があり、旧朝香宮邸の「訪問者」となってインスピレーションが拡がる感覚を味わうことができるのかもしれない。

ルネ・ラリックがキャリア初期に手掛けた希少なジュエリー

斬新な素材の扱いと多様なインスピレーションによって創り出されたジュエリー。

ラリックは、ブルジョア達の注文であっても金持ちだという事を見せびらかすような作品は決して作らなかった。むしろ、それは下品であると諭すかのように、ある意味「バランス」のとれた作品を目指して創っていたように思う。

バタフライ・ブローチ《シルフィード》 1900年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

提供 東京都庭園美術館

浮世絵にインスピレーションを得て、パリ郊外の自邸付近で撮影した雪景色を表現したペンダント。こぼれ落ちるように施された一粒のパールは、溶けたばかりの雪の雫のようで、思わずすくってみたくなる。

ペンダント《冬景色》1898年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート
提供 東京都庭園美術館

自宅付近でラリックが撮影した雪景色の写真をもとにデザインされたペンダント。
左右非対称の構図や、自然の一瞬を切り取る感性に日本の自然観が重なる。

ラリックは素材の価値よりも作品の造形性を重視し、これまであまり使われてこなかった獣角
オパール、七宝、ガラスなどを積極的に用いて
植物や昆虫、女性、あるいはそれらのモチーフが融合した象徴的なジュエリーを作り出した。
「モダン・ジュエリー」のスタイルを確立し一世風靡した。

ブレスレット《ヴェロニカ》1900年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

提供 東京都庭園美術館

自然光のなかでみるラリックのガラス作品

ルネ・ラリックの作品は本来建具やプロダクトとして同時代の都市生活のなかで使われていた。1933 年、ラリックが生きた時代に建設され、実際にラリックが作品を提供している旧朝香宮邸では、ラリックのガラス作品がもっとも美しく見える自然光の中で、その魅力を存分に体験することが出来る。

常夜灯《二羽の孔雀》1920年、大村美術館(角館)蔵
©️シネフィル

夜、灯を灯すと、こんな感じに。

常夜灯《二羽の孔雀》1920年、大村美術館(角館)蔵

提供 東京都庭園美術館

花瓶《ヒョウタン》1914年、ギャルリー オルフェ

提供 東京都庭園美術館

1920年前後からガラス作品の制作に注力しはじめる。芸術性が高く、なおかつ量産にも応えることのできるプレス成形や型吹き成形で、香水瓶などの小品からモニュメンタルな建築用の大作まで手がけた。

香水瓶「カシス」1920年 北澤美術館蔵
©️シネフィル

香水テスターケース「コティの香水」コティ社
ルネ•ラリック製金属プレート付
1911/ルネラリック製プレート:金属に金メッキ(木製ケースに12種類の香水見本を入れた小瓶を収納)
北澤美術館-Inv.18782

©️シネフィル

近代資本主義社会の大量生産化に基づく芸術運動が掲げたスローガン「L’art de vivre」生きることの芸術、「生活の芸術」を、ラリックは洗練されたデザインと知的センス、そしてある種の「謙虚さ」をもって表現し創作していたように思う。
「今日よりも明日を良くしよう」というデザインの、ちからを感じる。

建築家・中山英之氏による新館ホワイトキューブの展示デザイン

本館にあたる旧朝香宮邸の空間と対照的な新館ギャラリーでは、 中山英之氏(建築家)による
「もうひとつの邸宅」が、待っている。窓から漏れる明かり越しに想像する、架空の生活。
そんな空想を抱きながら家に入ると、一転してグラフィックデザイナー岡崎由佳さんによる、立体的な図鑑の世界が現れる。ラリック作品のバックグラウンドを「3D図鑑」のように体験できる独特な展示空間 となっており、斬新な「ラリック リミックス」を感じた。

提供:東京都庭園美術館

架空の邸宅の窓辺に飾られたラリックの作品たちを、まずは窓の外から観る。そして、架空の生活を想像しながら,足を踏み入れ、邸宅の内側から観る。
鑑賞者は、作品や資料からラリックを多方向に捉えて鑑賞する展示になっており、ラリックの考えたデザインの本質を深く知ることができる展覧会となっている。

「ルネ・ラリック リミックス」展は、東京都庭園美術館にて、2021年9月5日(日曜日)まで開催中。
尚、緊急事態宣言などにより、会期が変更されることがあります。お出かけの際はウェブサイト等で、ご確認の上ご来場下さい。

たかはた菜緒

展覧会概要

ルネ・ラリック リミックスー時代のインスピレーションをもとめて
RENÉ LALIQUE REMIX
Searching for Inspiration in the times
会期 開館時間 休館日 会場 入館料
2021年6月26日(土)–9月5日(日)
10:00–18:00 *入館は閉館の30分前まで
毎週月曜日 *ただし7月26日、8月2・9・30日は開館、8月10日(火)は休館 東京都庭園美術館 本館+新館 一般=1,400(1,120)円/大学生(専修・各種専門学校含む)=1,120(890)円
中・高校生=700(560)円/65歳以上=700(560)円
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金 ※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料

東京都庭園美術館 「ルネ•ラリック リミックス」
cinefilチケット・プレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「ルネ・ラリック展」 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効。
この招待券は、非売品です。転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
締め切り 2021年7月22日(木曜日)24:00

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
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