『舟を編む』で日本アカデミー賞監督賞を最年少で受賞、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』でアジア・フィルム・アワード、最優秀監督賞を受賞し、その他にも『生きちゃった』『茜色に焼かれる』など数々の名作を発表し続けている石井裕也監督の最新作『アジアの天使』が7月2日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショーとなる。石井監督が、あらためて初心に返り、これまでの経験値に頼らずにオール韓国ロケで挑んだ意欲作。優しさと力強さが調和した人間ドラマであり、誰も見たことのない「アジアの家族映画」が完成した。

主人公の青木剛を演じたのは『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『町田くんの世界』、『ぼくたちの家族』など、石井監督作品には欠かせない顔である池松壮亮。剛が身を寄せることになる韓国在住の兄には、石井監督演出のTVドラマ「おかしの家」で主演をつとめたオダギリジョー。元アイドルで売れない歌手のソル役には『金子文子と朴烈』のチェ・ヒソが扮している。

生きるのは不器用でも裏表がなく人のいいソルの兄・ジョンウは、『ビューティー・インサイド』(16)、『サイコキネシス 念力』(18)、『新感線半島 ファイナル・ステージ』(21)などのキム・ミンジェ、ソルの献身を素直に受け取れず反発する妹・ポムは、制作スタッフを経て短編映画や舞台で演技経験を積み、近年はNetflixオリジナルのゾンビ時代劇『キングダム』(19)にも出演したキム・イェウンが、それぞれ演じている。

池松壮亮、オダギリジョー、佐藤凌が演じる日本の家族が韓国で出会った3兄妹役のキム・ミンジェ、チェ・ヒソ、キム・イェウンのインタビューコメントが到着!

ソルの兄・ジョンウ役/キム・ミンジェ

自身の役柄について「ジョンウという役は、絶えず何かを探している人です。彼は家長としての責任もあり、消えていく共同体としての家族を、もう一度蘇らせたい。そんな内なる熱が盛り込まれた役という気がしました。演じながら、自分の幼い頃を思い出し、家族について考えるようになりました。」と振り返る。また、石井監督との初めての出会いについて聞かれると、「初めて会った時に、脚本についての話はほとんどせず、お互いの歩んできた人生について率直に話をしました。石井監督は僕の希望するもの、叶えたいものに興味を持ってくれたみたいでした。その時、本当の友人になれたと思います。

私の俳優としてのキャリアとか私が持っている背景ではなく、本当に私が生きてきたことを尊重してくれたように思います。それが、出演するための最大の理由になかったと思います。また、他人を介して自分を見ることができ、誰かのために献身する。こういう物語は、実は今の韓国映画では相当少なくなってしまったような気がします、だから私はこういうストーリーを求めていました。」と出演の経緯を明かした。

日韓のキャストとの共演については「(日韓の)違いは少なからず感じる部分はありましたが、それが互いを尊重するきっかけに変わったと思います。撮影をともにするうちに段々と心の扉が開いていく感じがしました、壮亮さんとオダギリさんは本当に素晴らしい俳優で、本当に惚れてしまいました!お互いの目を見ながら演技をしていると、彼らの今までの人生の内面が垣間見られるような瞬間を多く持てました。私たちは撮影を通じて本当の家族になれたような気がします、この共演そのものに感謝しています。」と撮影期間中の交流を懐かしんでいた。

チェ・ソル役/チェ・ヒソ

ソル役のチェ・ヒソは幼少期に日本に住んでいたこともあり、日本語が堪能で撮影中、日韓のキャスト、スタッフのコミュニケ―ションの一助を担っていたという。石井監督との会話もほぼ日本語で成り立っていたそうだ。

「通訳の方も入ってくださっていましたが、俳優の立場としてもう少し細かいニュアンスが伝えられるのではないかと思い、少しお手伝いをしました。」

石井監督については「監督は、はっきりしたビジョンがある方です。この作品はコメディのようでもあり、時々突拍子もなく可愛い場面もあります。でも最終的に言いたいのは、家族と愛に関することです。監督はとても心が温かい方で、そのカリスマ性に圧倒されますが、実は、少年のような心を持っている方です。」とかねてよりファンだった石井監督の印象を語り、また、自身のソルという役柄については「剛(池松壮亮)という日本人男性に会って、家族にも見せられなかった自分の最もやわらかい、最も弱い部分が出てしまう。この人を通じて、もう少し純粋に自分の心を表現できるようになる、とても大きな人生の曲がり角で予期せぬ出会いによって新たな自分の姿を探していく。そういう女性です。」と続けた。

池松、オダギリとの共演については「壮亮さんは、日本映画で、主演であれ助演であれ、いつも抜群の演技を見せてくれる、本当にエネルギッシュな俳優だと思っていました。そんな方が相手役で、一緒に演技できて、とても嬉しかったです。それから、オダギリジョー先輩(笑)、私は大学の時、授業をさぼって映画館に行きオダギリさんの主演映画を観たことがあるほど大ファンでした。共演できてうれしかったです!壮亮さんもオダギリさんも印象的だったのは出番でないときにも遠くで離れて待機したりせず、その場に必ずいてくれました。本当に撮影が終わるまで、現場を離れない。そんな俳優さんたちを初めて見ました。彼らの演技に向けた態度と真心がものすごく感動的でした。最後に「国籍も違うし、明らかに出演してきた映画のジャンルとかキャラクターも違うはずなのに、この作品で、皆一緒に集まると、ちょっと不思議なくらい呼吸がよく合う。それがとても不思議でした。」と締めくくった。

ソルの妹・ポム役/チェ・ヒソ

妹ポムを演じたキム・イェウンは自身の役柄について「見掛けは誰よりも無愛想で、水と油のように家族に溶け込めない。自分が一番賢くて、誰よりも世間を切り抜けていけると思っているが、一人で多くの苦悩を抱え、ずっと痛みと悲しみを背負っているような人物だと思います。」と説明。

撮影中のエピソードを聞かれると「韓国の家族の中では、ミンジェ兄さんとヒソ姉さんとの撮影ではいつも2人が気遣ってくれて本当の兄妹のように過ごしました。壮亮さんとオダギリさんはいつもユーモアと笑いがあり、気持ちを楽にしてもらいました。演技面でも日本人俳優のお二人からたくさん学びました。リハーサルでも100%の最善を尽くし、常に瞬間瞬間に取り組むことを教わりました。そんな二人の姿にとても感動しました。また、撮影がないときも壮亮さん、オダギリさん、凌くんは家族のようにずっと日常生活を過ごしていましたね、池松壮亮さんもお父さんのように子供に接し、オダギリジョーさんも伯父のように接していたように思います。数少ない私の演技経歴の中でも、一日一日が最高に楽しく、たくさんのことを学べた映画は初めてでした。」と学びの多かった撮影現場だったことを明かした。

イェウンは最後に、本作について「この映画は、言葉の通じない二つの家族が、集まることによって、お互いの足りないところを満たしていき、幸せを見つけ始める。おかしくて面白くて温かくて、初めて見るようだけど、どこかで見たような。恐らく、私たちが生きてみて感じたことすべてが詰まっている作品です。ぜひ多くの方に観ていただきたいです」と語った。

<STORY>
8歳のひとり息子の学(佐藤凌)を持つ小説家の青木剛(池松壮亮)は、病気で妻を亡くし、疎遠になっていた兄(オダギリジョー)が住むソウルへ渡った。ほとんど韓国語も話せない中、自由奔放な兄の言うがまま怪しい化粧品の輸入販売を手伝う羽目に。元・人気アイドルのソル(チェ・ヒソ)は、自分の歌いたい歌を歌えずに悩んでいたが、亡くなった父母の代わりに、兄・ジョンウ(キム・ミンジェ)と喘息持ちの妹・ポム(キム・イェウン)を養うため、細々と芸能活動を続けていた。しかし、その時彼らはまだ知らない。事業に失敗した青木と兄、学たちと、資本主義社会に弾かれたソルと兄、妹たち ── どん底に落ちた日本と韓国の2つの家族が共に運命を歩む時、ある“奇跡”を目の当たりにすることを・・・。

『アジアの天使』は2021年7月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開

出演:池松壮亮、チェ・ヒソ、オダギリジョー、キム・ミンジェ、キム・イェウン、佐藤凌  
脚本・監督:石井裕也
製作:五老 剛、竹内 力、ハン・ドンヒ、浜田稔、森田 篤、永田勝美、宮前泰志/エグゼクティブプロデューサー:飯田雅裕/プロデューサー:永井拓郎、パク・ジョンボム、オ・ジユン/共同プロデューサー:神保友香/音楽:パク・イニョン/撮影監督:キム・ジョンソン/助監督:藤本信介/美術:渡辺大智/韓国美術:イ・アヨン/録音:チェ・ジェワン/スタイリスト&ヘアメイク:ナム・ジス/編集:ジョ・ヒョンジュ、岡崎正弥、石井裕也/VFXスーパーバイザー:赤羽智史
製作:『アジアの天使』フィルムパートナーズ (朝日新聞社、RIKIプロジェクト、D.O.CINEMA、北海道文化放送、UNITED PRODUCTIONS、ひかりTV、カラーバード)
制作プロダクション:RIKIプロジェクト、SECONDWIND FILM
配給・宣伝:クロックワークス
助成:文化庁ロゴ 文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会 KOFIC、ソウルフィルムコミッション、カンウォンドフィルムコミッション